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うさぎ強盗には死んでもらう



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【この小説が収録されている参考書籍】
うさぎ強盗には死んでもらう (角川スニーカー文庫)

うさぎ強盗には死んでもらうの評価: 3.60/5点 レビュー 5件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.60pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(2pt)

前半がキツい

群像劇・多視点というのは、基本的に主人公一人に視点が固定されている小説よりもとっつきづらい。
 なのでなるべく早めに、『この物語は大体こういう話だよ~』というのを示して欲しいのだが、それがうまくいっていない気がする。
 まず、キャラ付けが弱い気がする。キャラ付けというのは表面的な振る舞いの奇矯さじゃなくて、『このキャラはこういう主張を持っていて、だからこういう行動を取る』という部分。この物語において中心的なキャラとなるのは、うさぎ強盗&その相方のヒロイン、ということになるのだが、過去編はともかく現代編における彼らの行動理由がかなり曖昧で弱い気がする。最後まで読み通してみれば、凄腕の主人公たちがちょっとした理由で事件に介入し、しかもバンバン金を使いまくる、というギャップを狙いたいのはわかるのだが、取りあえず明確な目的が示されないというのは、前半においてとっつきにくさの理由の一つになっていると思う。
 あと、過去編では殺し屋のコードネームで呼ばれていた登場人物が、現代編ではどんな風な名前で呼ばれているか? というのが一つの謎みたいになっているのだが、それが序盤、『キャラが弱い』段階を更にわかりにくいものにしているというか、俺は序盤読んでいて『このシーンでは登場した人物の内、一体誰が殺されたんだ?』とわからない一幕があって、しばらく読み返してしまった。同じ特徴を持っているキャラがいたり、同一人物なのだが違う呼ばれ方をするキャラ、こういうのがかなり序盤から登場する。こういう意味不明なシーンがあると、どうしてもページをめくる手が鈍る。誰が誰なんだ? と普通に流れで理解できないのだ。伏線として巧みに機能しているのならまだしも、読者に混乱させるようなシーン説明とまでなってしまうと、あまりいいできとは思えない。
 この物語が面白く感じられてきたのは過去編と現代編が絡み始めてきた後半からで、読み通してみれば過去編のこのキャラが、現代編ではこんなことになってる、というパズル的な面白さはあった。
 しかし、前半の『うまくシーンを把握しづらい』『主要登場人物の事件中における明確な目的が見えない』『名前トリックがわかりづらく、誰が誰だか読者側で整理が必要』という三点が、群像劇というただでさえ煩雑になりがちな物語を、更にとっつきづらいものにしている。
 本を読み慣れている人ならいいかもしれないが、主人公が明確な目的を持って動いたり、事件が主人公勢の凄腕感に見合ったくらい魅力的なものだったり、というわかりやすいキャッチー感が欠けているため、万人受けはしにくいのではないか。
 そういう通好みの仕様の時点で、あるコンテストの大賞だとしても、広く読まれるには至らない作品ではないか、と感じてしまった。
 最初、とっつきづらくても一冊を読み通すことができ、パズル的なカタルシスが好き、という人にはオススメできる。
うさぎ強盗には死んでもらう (角川スニーカー文庫)Amazon書評・レビュー:うさぎ強盗には死んでもらう (角川スニーカー文庫)より
4041052459

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