タイムカプセル浪漫紀行



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    初公開日(参考)2016年12月
    分類

    長編小説

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    タイムカプセル浪漫紀行 (メディアワークス文庫)

    2016年12月22日 タイムカプセル浪漫紀行 (メディアワークス文庫)

    「探しに行こうよ、タイムカプセル!」考古学者である父の「遺跡ねつ造」事件で、同じ考古学者となる夢を砕かれた青年・英一。失意の日々を過ごす彼の前に現れたのは、10年前に亡くなった幼馴染の少女・明日香だった。驚く英一をよそに、明日香は10年前と同じ屈託のない笑顔で話しかけてくる。彼女は幽霊なのか。それともよく似た他人なのか。困惑しつつも英一は、明日香と共に「タイムカプセル探し」の旅に出るが―。(「BOOK」データベースより)




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    タイムカプセル浪漫紀行の総合評価:8.00/10点レビュー 5件。Bランク


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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
    未読の方はご注意ください

    No.5:
    (5pt)

    隠れた良作

    良いです。
     わたしはこの作品とても好きです。
     確かに「雨の日のアイリス」と比べれば見劣りするかもしれません。しかしそれは「母の作った肉じゃがよりも、シェフ特製カレーの方が美味しい」みたいな話だと思います。
     特製カレーはおいしいでしょう。インパクトがあり、高級で、癖がなく、味の整い方も尋常ではないと思います。
     しかし、母の肉じゃがだって旨いのです。インパクトや高級感こそ特製カレーに劣りますが、優しい味と母の愛情という点では他の追随を許しません。
     そして、この2つ、材料はさほど変わらなかったり。

     つまりですね、過小評価だといいたいわけです。

     既読の方も未読の方も、一度よく読んでみてください。構成がしっかりしていることがわかるはずです。

    (以下、多少ネタバレ注意です。なるべく本編には触れないように気をつけますが……)

     物語の始まりでは、
    ・本編の伏線(タイムカプセルとヒロインの話)の仕込み
    ・主人公の置かれた状況と問題の説明
    ・問題の顕在化
    がなされ、そこからヒロイン登場→本編開始(タイムカプセルを探す)となります。

     この時点で非常に丁寧な物語運びがなされていることが分かります。上から読めばするっと理解できるようになっていむす。また、感情移入しやすく、タイムカプセルに少し謎を感じるようにもなっています。

     次にタイムカプセルを探しに行きます。
     ここも、
    1.手がかりを元にタイムカプセルを探す
    2.道中、主人公の心の問題を解いていく
    3.次の手がかりを見つける
    ……ざっくりですが、こんな形の流れを3回ほど繰り返す構成になっています。
     非常に綺麗です。慣れていないと話ごとに全く別のやり方を選択してしまって、まとまりがなくなってしまうところですが、この話はほとんどこの構成から外れることがありませんでした。とても読みやすいと思います。
     また、この繰り返しの間に幕間のように、ヒロインとの会話シーンが入るのも良いです。これはラストへ向かうための準備になっています。

     そして、トラブルが起き、一気にラストへ向かいます(勿体ないので詳細は省きます)。
     ちゃんと今まで用意していたこと(伏線、ヒロインとの会話シーン、……など)がすべて活かされていました。
     特に、「このラストシーンだけ力をいれている」という点が……なんといえか「ニクいな」と思いました。
     イラストでもそうですが、全てに力を入れてしまうと、上手い人でない限り空回りしてしまいます。どこをみればいいかわからなくなってしまったり、メリハリがなくなってしまったりします。
     なので、「1番効果的になる部分だけ力を入れる」というのがセオリーです。(自分では勝手にそう思っています)。効率という面でも、この手法は効果的です。
     そういう点が、上手い、というより、「巧いな」と。「戦術的というより、戦略的だな」と。「戦い方そのものが上手いな」、と思いました。わたしはこういう玄人っぽい書きぶりは非常に好きです。

     最後に、ラストがサクッとしたハッピーエンドなところも、やはり玄人っぽいです。(ここはまあ、このくらいで。スポイラーになってはいけないので)。

     さて、わたしは「構成」という点に絞ってここまでレビューしましたが、これだけでも一読の価値はあるのではないでしょうか。
     特になにか物を書く方であれば、読まないのは損だとすら言えます。

     まとめると、「細かいことはいいから読もう!」です。

     以上です。
    タイムカプセル浪漫紀行 (メディアワークス文庫)Amazon書評・レビュー:タイムカプセル浪漫紀行 (メディアワークス文庫)より
    4048926144
    No.4:
    (5pt)

    楽しく、切なく、愛しい素晴らしい作品

    亡くなってしまった幼い少女との奇跡の再開。そして、かつて約束したタイムカプセルを探すたびへ…人生のどん底にいた主人公は、死んだはずの彼女にとまどいながらも、大切なものを思い出していく…。この設定に心惹かれる方には全力でお勧めしたい作品です。
    意外と低いレビューがされていてビックリです。どうしても「雨の日のアイリス」と比べてしまうのでしょうが、「アイリス」はそうそう出てくるようなものではない大傑作です。毎回あの水準が保たれるわけがありません。「アイリス」に比べれば小品ではありますが、この作品も他のメディアワークス文庫作品と比べれば間違いなく素晴らしい傑作と呼んで良い作品です。
    「タイムカプセル浪漫紀行」は、亡くなってしまった「明日香」のキャラ造形が素晴らしく、主人公「英ちゃん」との関係も抜群に微笑ましい。二人とともに不思議な旅を出来る…この本を読んでいる間、ずっと楽しく、切なくも愛しい時間を過ごすことができました。笑いどころも多く、テンポがよく、夢中で作品世界に浸りました。
    そして、あまりにも切ない「タイムカプセル」の中身…あれと明日香という少女の真っ直ぐな想いが胸に焼きついて離れません。
    クライマックスからラストシーンまでは確かに表現がよくあるものだったり、最大の謎の根拠がイマイチだったり、もうひとひねり欲しい感じですが、それでも☆5つであることはゆるぎない素晴らしい作品です。
    タイムカプセル浪漫紀行 (メディアワークス文庫)Amazon書評・レビュー:タイムカプセル浪漫紀行 (メディアワークス文庫)より
    4048926144
    No.3:
    (4pt)

    ちょっと泣いた。…うそ。けっこう泣いた。

    ライトノベル業界でいちばん優しくて切なくて心に光を灯す短編として名高い「雨の日のアイリス」の松山さんの初メディアワークス文庫レーベルの本です。
    読もう。
    ストーリーはベタ。でも、きっと、この話が自分の胸に届くのを待ってる人が、ぜったいにいる。そう思えるお話。
    読もう。
    タイムカプセル浪漫紀行 (メディアワークス文庫)Amazon書評・レビュー:タイムカプセル浪漫紀行 (メディアワークス文庫)より
    4048926144
    No.2:
    (3pt)

    可もなく不可もなし

    『雨の日のアイリス』でボロボロに泣かせられた松山剛さんの小説がメディアワークス文庫から出てるのを見て即決で買いました。
    昔死んだはずの幼馴染が主人公の元に現れる、というのは『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』を彷彿とさせられますが、当作も同じように泣かせに来るジャンルのお話です。
    『あの花』や『ここさけ』が好きな人なら楽しめると思います。

    ただ、個人的には色々と物足りませんでした。『雨の日のアイリス』は絵に描いたような可愛らしいヒロインが、震えるほど過酷な状況に放り込まれてそれでも頑張る様に心を惹かれたのに、当作では主人公がそれほど苦しそうに見えなくて、謎が明らかになっていくラストにもあまりカタルシスを感じられませんでした。

    とは言え読後感は爽やかでとてもすらすら読める文章なので、買って損はありません。
    タイムカプセル浪漫紀行 (メディアワークス文庫)Amazon書評・レビュー:タイムカプセル浪漫紀行 (メディアワークス文庫)より
    4048926144
    No.1:
    (3pt)

    還ってきた幼馴染と共に見失いかけていた夢を取り戻す旅へ出た考古学青年の物語。良く言えば「鉄板」、悪く言えば「ありがち」という既視感の強い作品。

    松山剛の作品は随分前に読んだ「雨の日のアイリス」とあと一冊ぐらい読んだ後は長い事放置。
    初のメディアワークス文庫進出という事で作風の変化に注目しながら拝読。

    物語は主人公の羽村英一が大学の事務局に退学届を提出している場面から始まる。
    理由を尋ねる事務員に「考古学を学び続ける事が苦痛になったから」と答える英一。
    「それでも大卒資格を失うのは勿体ない」、「転部や休学ではダメなのか」と
    と考え直すよう訴える事務員にもう決めた事だからと気が変わらない事を訴える英一だったが
    学費を出している親は同意しているのかという問いに「親は関係ないだろう」と感情を剝き出しにしてしまう。

    英一の提出した書類の保証人欄にあった「羽村忠弘」。
    かつては日本考古学界でずば抜けた知名度を誇り、特に故郷のN県福野原市で発見した「熊川遺跡は
    世界の考古学の常識を覆すと騒がれた人物であったが、
    一年前に発掘現場に他の移籍で発掘された土器を埋めていたという「遺跡捏造事件」が発覚。
    一大スキャンダルとして英雄の座から転落した忠弘は疑惑を晴らすために
    過去に発掘を行った遺跡を巡っていたが、ある日山中で転落事故を起こし還らぬ人に。

    退学届を出した帰り道、過去を振り返る英一の心を過ったのは「英ちゃん凄いね。将来は学者さんだね」と
    幼い頃から化石採集などで河原を歩き回りながら楽し気に微笑んでいた幼馴染・中神明日香の記憶だった。
    小学四年生の時に病死してしまった明日香の期待を裏切った様な思いに駆られる英一だったが、
    携帯電話の着信音で我に返る。

    奇しくも電話の主は明日香の父親の耕太郎だった。
    来月明日香の法事を行うから英一が来れるかと予定を尋ねてきた耕太郎は
    思い切って明日香の遺品を整理しようと考えている事を伝えてくる。
    明日香の顔を思い出しながら歩いていた英一だったが、目の前に信じられない物を見る。
    それは十年前そのままの姿をした明日香だった。

    「久しぶりだね、英ちゃん」と声をかけてきた明日香とアパートに戻ってきた英一だったが、
    目の前の明日香を幽霊か、幻覚かと判断しかねるものの
    当の明日香は呑気に買い置きの菓子パンを貪り、牛乳を飲むなど幽霊とも思えぬ行動を取る。
    明日香しか知らない筈の記憶を持つその少女の出現を中神家に知らせようとする英一だったが、
    何故か自宅への連絡を拒否される事に。

    自分が戻ってきた理由は分からないが、やりたい事は一つあるという明日香の願い。
    それは「大人になったら掘り出そう」というタイムカプセルを探しに行く事、だった。
    明日香の願いを断る事も出来ないまま、英一は苦い思い出の詰まった故郷・福野原へと旅立つが…

    うん、「よく出来ている」。
    泣かせ系の話としてツボはちゃんと抑えているし、ストーリーの展開も奇抜なところは無い。
    死んだ筈の幼馴染が蘇り、傷付いた主人公とともに失くした夢を取り戻す旅に出る…
    なんというか、まさに「鉄板」とでも言うべき構成。
    が、なんというか「王道」と言えば聞こえは良いけど、「新鮮味」という点から見れば
    ひどく凡庸というか、どこを切っても「あ、この部分は別の作品で似た様なのを見たな」という
    既視感が溢れているという「ありがち」、「ありきたり」感も強く感じた。

    物語の方は16年前に実際に起きた遺跡捏造事件(「ゴッドハンド」を覚えている人も多いかと)を
    ベースにしたスキャンダルでマスコミの集中砲火を浴びた父を事故で亡くし、
    自身も傷付いた主人公の英一が突如姿を見せた十年前に亡くなった筈の幼馴染・明日香と
    故郷に戻り、二人で埋めたはずのタイムカプセルを探して歩く、というのが主な筋書き。

    父のスキャンダルの巻き添えで世間から物笑いの種になった故郷に向かうだけでも辛いのに
    そこで自分の事を覚えている=恨んでいるであろう人々と顔を合わせるのはもっと辛い。
    そんな英一を十年前の小学生の姿そのままで現れ、中身の方も完全に小学生そのものな明日香が
    持ち前の天真爛漫さで引っ張り回し、幼馴染の猿やんや熊ゴン、父の研究仲間だった小学校の恩師といった
    人々の事件のことなど無かったかの様な温かい態度に触れさせることで少しずつ英一を癒していく、という
    「癒しの物語」としても読めるかと。

    まあ、天真爛漫な明日香が所々で英一と同年代っぽい、ちょっと小学生らしくない言動を取る辺りは
    大目に見るとして(小学生が自宅にこっそり忍び込み、お金を持ち出して何時間も掛けて東京に来たり、とかね)
    「悪人」が一人も出てこない話ってのはちょっと珍しい。
    「世間の悪意」みたいな漠然とした「悪」は出てくるけど、登場人物がみな善人なのである。
    そのせいか、話全体の雰囲気が非常にのんびりとしている。

    終盤の泣かせに来るクライマックスは結構うまく出来ている。
    明日香がこの世に戻ってきて考古学を諦めようとしていた英一が「何で考古学を学ぼうとしたのか?」
    という事を思い出させる流れを古代人が埴輪に込めた意思に絡めてくる辺りは王道ではあるけど
    実際読むとホロリとさせられる部分がある。

    とはいえ、やっぱり全体的に既視感の強い作品という印象は否めない。
    特に演出面が在り来たりというか。
    冒頭の英一が入院している明日香と「交わしていた約束」の話をして「また明日来るから」と
    分かれる流れで「あ、こりゃヒロインが死ぬな」と思っていたら案の定一ページ丸ごと使って
    「明日香がその夜に容体が急変して死んでしまった」と書いてあったり…ベタその物。

    終盤の英一がタイムカプセルを見付ける前後の流れも…特に光り輝きながら
    天に召されていく明日香の姿とか「うわあ…この演出見るの何度目だ?」となるぐらいにベタ。
    正直、もうちょいヒネってくれないかと終始演出面での凡庸さばかりが気になった。
    おかげで全体的な雰囲気がチープなものに成ってしまっている。

    「王道」もお約束を踏み外すまいとし過ぎてしまうと、「ありがち」感が出てしまうという
    難しい問題を抱えてしまった作品。
    「ハズレ」では無いのだけども、「これまでに見た事がないもの」を求めると
    「うーん、これは…」となる、そんな一冊。
    タイムカプセル浪漫紀行 (メディアワークス文庫)Amazon書評・レビュー:タイムカプセル浪漫紀行 (メディアワークス文庫)より
    4048926144



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