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重力ピエロ
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重力ピエロの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.65pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全267件 161~180 9/14ページ
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伊坂さんはおそらく宮部みゆきさんのような良心的エンターテイメント大作家になっていくだろう。 綺麗事だけど綺麗事でない綺麗事を上手に書けるのは物事をまっすぐ見ながらも斜めから見ることを忘れないでそれでもまっすぐ見ようとする姿勢が必要であり、 それには人という生き物に対する信頼と知性と大衆性が必要だと感じるからだ。 旧作の本作も新作の「ゴールデンスランバー」にしても会話と構成が本当に上手だと思う。 TVや映画でドラマ化できないようなもう少し甘さ控えめな作家のほうが個人的には好みな俺だけど、 「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」という台詞には思わずホロッときてしまった。 あと何か説明に困ると安易にすぐDNAのせいにする人が嫌いなので春の台詞には共感するところが多くて嬉しくなった。 | ||||
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派手な衣装と化粧をし、サーカスなどで玉乗りや司会を行う人のことをピエロとよぶのは日本だけであり、正しくは「クラウン」とよばれる。本来のピエロは、コメディア・デラルテに登場する、顔は真っ白で哀愁を漂わせ、好きな人を殺してしまうことでしか愛情表現できないキャラクターが起源とされる。(ウィキペディアより引用)。 高校の時、戦争は怖くないけどもピエロと爪が剥がれるのは怖いと言っていた友人との会話を思い出した。 「ピエロは無言のままパントマイムを続け、泣き顔のメイクをしているのもかかわらず、陽気にタップを踏み、私たちを混乱させた。大きな玉にの上に乗り、警戒に動き回るピエロは、この世にいてはいけない者にも見えた。違和感があったのだ。違和感を背負いつつも、表情を変えずに、次々と観客から笑いを引き出している。」 ピエロは僕らにとって非日常だ。サーカスと言う非日常の世界を引き立てるピエロ。彼らが現実にいたとしたら、底知れない思わず目を覆いたくなる様なバックグラウンドを感じずにはいられない。ピエロは泣きながら笑っている。 この物語ではピエロが宙を舞う。 「ふわりふわりと飛ぶピエロに、重力なんて関係ないんだから」 ピエロは私たちが信じている重力を笑い飛ばしてしまう。僕らは毎日、重力を意識して暮らしていない。信じてはいるけど、大した問題ではないからだ。 「重いものを背負いながら、タップを踏むように」 ピエロが飛ぶには重力なんだ。彼らにとって大切な事だからこそ重力は消える。そして飛ぶ。 「ピエロが空中ブランコから飛ぶ時、みんな重力のことを忘れるんだ」 僕の周りにも愛すべきピエロはいる。 | ||||
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個人的にとても好きな小説です。 曖昧ですが、いろんな意味でいろんなことを考えさせられる内容だと思いました。一番わかりやすいのは家族の関係について。DNAがどうとかこうとか、確かに読んでてアルファベットがいっぱいでわかりにくい場面もありましたが、結局言いたいことは最後にどーんと書かれている気がします。 印象的なセリフ、文章、人物、偉人の話。 自分は伊坂さんの小説のこういう雰囲気が好きなので、この重力ピエロもお気に入りの一つです。とくに話の中で何度となく交わされる「会話」は、私にとって名言に値するものもあります。 | ||||
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素直に良い作品だった。こういう本の初心者のワタシでもオチは分かったし、あっと驚く展開もなかったと言えばなかった。 でもこの作品の本質はもっと深いところにあって、親が子を殺したり子が親を殺したりするのが当たり前なこの世の中と時代の中で、ワタシたちがどう家族と向き合っていくべきなのか、ということを考えさせられた。文章も軽快で読みやすいし、読んで損はない作品だと思います。ちなみに文庫本の456ページの父親の台詞には鳥肌が立ちました。 | ||||
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ここで自分の経験から言わしてもらうと1回目に読んだ時(中学3年生)はなんだ 平凡な作家だなと思ったきりそんなにいい作品であるとは思いませんでした。 2回目に読んだ時(大学生の時)は会話のふしぶしまで意味が分かり「文学的」におもしろいと思いました。 この違いは何なのかというと読み方の違いだと思います。 1回目に読んだ時は「ミステリー」として読んでしまい、こんなトリックなんか 最後まで読まなくても分かるよといった感想しか持ちませんでした。 2回目に読んだ時は文学的立場すなわち 「レイプされた親から生まれてきた春の苦悩」 ・・・自分の存在を認めればレイプを認め、レイプを否定すれば自分の存在を否定するということ という観点からみると遺伝子にまつわる話の意味、なぜ春がガンジーがすきなのか ジョーダンバットにこめられた思いなど様々な事柄が一気に分かります。 この作品を読んでつまらないと思った人もこれから読む人もぜひこのような点も 考えて読んでみたらいかがでしょうか? | ||||
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伊坂さんの小説は、非常に作者の味がでているので人によっては「もうちょっと読み手に合わせろよ!」と思うやもしれません。魅力とも欠点ともとれる登場人物の一直線さ。この物語では罪悪感も何もかも飛び越えてしまっています。それこそ重力なんて無いかのように。従来の分類の仕方ではこの本の「位置」は決められないと私は思います。(作中の人物も「定義」が嫌いだって言っていましたし。)物語の中心は確かに謎解きなのですが、あくまでそれは形式であって、魅力を感じるとすれば春や泉水や父親の「繋がり」、クサく言えば「信頼」だと思います。心が温かくなって涙する様な作風ではありませんが、何か目を背ける事が出来なくなる一冊です。間違いなく得るものがあります。同一著者の作品の「グラスホッパー」もおすすめさせて頂きます。こちらは当作とは違い「罪悪感」が前面に押し出されている感じです。「罪と許し」「殺人と家族愛」「火と遺伝子」。春が自分のことを狂人だと言ったのが悲しかったです。 | ||||
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伊坂先生の本は色々と読んでいますが、個人的にはこの話が一番好きで、お勧めです。 話の内容は明るいものではありませんが、それでも救いがあり、赦しがあります。 家族のあり方、血の繋がりの何たるかを考えさせられました。 読後感も爽やかで、今でも何度も読み返しています。 | ||||
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兄弟愛・家族愛の話・・のように感じた。 だけど少し特殊な家庭事情を抱えた家族の話。 母親がレイプされるという大変な事件の末に 生まれた子供、春という名の弟のお兄さんが主人公。 謎の放火事件を巡り、推理を巡らせ、奮闘する間、 個性的な登場人物や、遺伝子の話、人類のルーツ、 ネアンデルタール人やクロマニョン人の話など、 いっぱい話が広がっていって面白い。 実の父親はレイプ犯。 その現実と戦う弟。 それは、とても想像できないことだけど。 親の立場から、もし、そんな事件から子を授かった場合、 産むことを決断するのは、とても困難な道。 それも、とても想像できないことだけど。 生まれてくることの意味、 遺伝子・・実の父親と、育ての父親・・。 色々なことを考えさせられる、 とても重みのある内容の話だった。 | ||||
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ひとつのテーマを、全体の小説通して書いているって気がしました。 ものすごく重く書いてるわけでもなく、でもエピソードひとつひとつ 読んでいくとこの結末(読んでくうちに結末がわかってしまうんだけれども) にも、私は納得できたというか、違和感を感じなかった。 キャラクターが魅力的。 私にとって2冊目の伊坂作品で、今 ラッシュライフを読んでますが、 もしかして順番に読んでいったほうがいいみたい?です。 他作品と同じ登場人物がでてくるので。 | ||||
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遺伝子の話/グラフィックアートの謎。はたまた、後藤郷子の立ち回り。ストーリーそのものよりも、ディテールの趣の輝く作品でした。 冒頭に二階から突拍子も無く兄の足元に落ちてくる弟の姿を象徴としたヒューマンドラマが本編のテーマである。とんでもない出生の秘密、愛情あふれる家族愛。育ての父と義理の兄との美しい愛情に、心から感動しました。 たとえるならば、伊坂版「カラマーゾフの兄弟」と位置づけます。 | ||||
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小説だから許されるラストなのだろうとは思います。 これを是とするか、否とするかは人によって異なると思いますが、私は大変すがすがしいラストだと感じました。 現実社会の理不尽な犯罪について憤りを感じている人も多いのではないでしょうか? それが法治国家だといわれても、「罪を憎んで人を憎まず…なんてキレイごといってられるかぁ!!」と思ってしまうことはありませんか? そんなときに、この小説は救いになると思います。 私は大好きな1冊になりました。 ちょっと芝居がかった登場人物の台詞や行動も魅力的です。 | ||||
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魅力的なキャラクター達に引っ張られて楽しく読めました。 伊坂さんは伏線を作って、ここぞ!というシーンで魅せるのが上手い! この作品はそんな伊坂さんの真骨頂といえる作品だと思います お勧めです | ||||
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美人な母、穏やかな父、優しい弟と『私』 一見普通の家族だが、裏には辛い過去があった この作品は性的暴力を取り上げている話です 弟の春と同じよう、私も性的暴力に関しては文章にしても過敏に反応してしまう方で、 この作品を読むのを最初はためらったのですが さすが伊坂さんというか、爽やかに穏やかに最後はまとめてありました その問題自体はやっぱり胸がムカムカとするような思いをしましたが、 それを家族の絆が少しずつ和らげてくれたように思います いつもながらに所々に散りばめられたヒントが最後にはちゃんと綺麗に回収してありました 血が繋がらなくても家族 思いあえれば遺伝子など関係ない テンポは淡々としていて、ドキドキするようなスリリングさ等はありませんが それが私は良かったように思います | ||||
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ジョーダンバット、遺伝子、DNA、TTAGGG。全くなんのことやら、という話が続く。でもこれがちゃんと最後の最後には、他とつながって大きな一枚の絵になる。その最後のできあがりを楽しむために、一行たりとも気が抜けない。気を抜いたら、楽しみが半減してしまう・・・。すごく高いステージで繰り広げられる会話。シュールなジョーク。よーく読まないとわからない。でもよーく読まなくても楽しめる。きっと、私たちの日常でも同じ体験をした仲間で話をしている内容っておそらくこんな感じで、そこだけ切り取ったら何の話かわからないんだろうな。小説の中では、お節介にならないくらいさりげなく解説してくれている。一気に読む、そしてあとから噛みしめる本だ。 | ||||
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家族の絆というものを深く感じました。 産みの親より育ての親といいますが、この家族にはこの言葉がぴったりです。 主人公・泉水その弟は春。どちらも英語でスプリングです。 こんなところにも、親の愛情を感じます。 春の出生には秘密があります。 どちらかといえば、不幸な出来事です。 それでも、わけ隔てなく二人を育てた両親に感服しました。 物語は、壁やシャッターなどに、落書きがされそのすぐ後に近くの建物で放火があります。 犯人は春なのですが、その行動には、ウラがあります。 なぜ、春はこんなことを繰り返すのか・・・? 春の出生に関係してるのですが、ここでは伏せておきます。 みなさんもぜひご一読を! きっとこの家族の生き方に感動するはずです。 | ||||
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初めて手にしたのがこの作品。伊坂ワールドにはまっています。「生みの親より、育ての親」。この作品はテーマは家族という解りやすい題材で、私には今の現代に「何を信じていいのか解らない」とその何かも解らずに悩んでいるような人に読んで欲しいなーと思う作品です。 「泣く」と言う事は私もしかりで、「自分の目の前にあるものを信じてもいいんじゃない」と 最後に気持ちよく言い切ってくれる作品だと思います。 | ||||
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起こるのは謎の落書きと、それに引き続く連続放火事件ですが、家族愛の物語でした。 主人公泉水の弟春は、母が未成年の男に襲われ、生まれた子です。 類い希な美貌と、家族の誰にもない絵の才能を持ち、不安定な青年春。 その春を愛し、見守る家族。 とてもよかったです。 ただこの家族が、春を追いかけるストーカー女、通称夏子さんに寛容なのにちょっとびっくり。 これが男女逆だったら、すごく怖いストーカーだと思うんですが。 最近読み始めた作家さんですが、文章も好きだし、何よりも温かい雰囲気がいいです。 | ||||
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読後感はさわやかで、人間のぎりぎりの選択の結果に善悪はなく、これからの人生を送る上での光明を誰もが求めているということなのでしょうか。こういうのもありでしょう!! 各章が短く、それが場面の切り替わりの早さや話のリズムを独特のものにしていると思いました。読み始めは少し、リズムに乗りきれなかったのですが・・・。 放火の犯人が分かるくだりが、私としては、いきおいが感じられなかったのが、残念なところ。 | ||||
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スタートからして引き込まれる設定であるが、ミステリー小説という枠組みにとらわれない傑作。 後半になって次々に今までの謎が繋がっていくが、絶妙な言い回しの登場人物たちのセリフの面白さとともに、感心させられる。 もはや「伊坂節」というか、「伊坂幸太郎」という一つのジャンルがここにあるようだ。とてもあたたかい気分にさせてくれる良作だと思う。 | ||||
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この世は悪意を持った人間が犯罪を起こそうと思えば簡単に起こせるほど隙だらけで、 運悪くその被害者となった善意のみをもついわゆる善良な市井の人はまったくの やられ損という不条理に満ちた世界である。 凶悪な犯罪が起きるたびにそんなことを考えさせられる。 この作品の主人公である家族もその凶悪な犯罪の被害者である。 しかしながら、被害という「重力」に地面に叩きつけられることを拒否して明るく生きる。 あたかもサーカスのピエロが笑いながら空中ブランコにいどむように。 そしてその不条理にある形での落とし前をつけるのだが、これにある種の爽快感がある。 「オーデュボンの祈り」もそうだったが、この作品世界に住めたらシアワセなんではないか と思わせるものがある。 ミステリーの体裁のようだが、「犯人探し」という意味では、犯人も動機も誰の目にも明らかな 伏線が張られている。しかし主人公は終始一貫して鈍感で、全然気が付かない。 そこがこの作品の企みの一つというか、愛すべき点の一つだと思う。 これから読む人は、その前に「オーデュボン」を読んでおくことをお勧めする。 | ||||
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