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愚物語



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【この小説が収録されている参考書籍】
愚物語 (講談社BOX)

愚物語の評価: 3.87/5点 レビュー 30件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.87pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全21件 21~21 2/2ページ
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No.1:
(4pt)

今までとは若干違う構成

今までの物語シリーズは、継続する伏線はあれど、大体単巻で一つの物語に決着がついていましたが、今回は、一度物語シリーズが完結した後のオフ・シーズンということで、割と自由な感じでやってます。
 西尾氏自体はあとがきで『第零話集』という風に言っていますが、この巻に収録される話だけでは、うまく収集がついていない感じ。物語の長めのプロローグを、ヒロイン三人分収録した感じと言いましょうか。
 章タイトルくらいならそれほどネタバレにならないと思いますので書きますが、収録話は『そだちフィアスコ』、『するがボーンヘッド』、『つきひアンドゥ』の三本です。
 一旦、シリーズが完結しましたので、自分としては例えば斧乃木余接が憑藻神として成立する辺り――つまり、忍野メメ達の大学生時代等の思い切った時間の跳躍をやってみて欲しいな、と思っていなくもなかったのですが、基本的に時系列は引き継がれています。
 終物語や、花物語から地続きの時系列と考えていいでしょう。
 『するがボーンヘッド』と『つきひアンドゥ』に関しては、収録されている尺があまり長くないので、短編としてはまとまっていますが、この続きが仮に執筆されるとしたら、その出来で物語の評価が決まってくる感じかもしれません。
 ただ、表紙は『つきひアンドゥ』の魔法少女風斧乃木余接の絵なのですが(それがどういうことなのかは本編を読んでください)、しかし本編で半分くらいを占めていて、ちゃんと物語として読み応えがあるのは、『そだちフィアスコ』です。
 これが酷いです。
 不憫女子萌えの俺としては、なかなか垂涎と言えなくもなかったのですが。
 何て言うか、物語シリーズの売上って、終物語(中)でちょっと下がったみたいな話を聞くんですよね。
 で、売上って、その巻が面白いかどうかでは決まらないところがあると思うんですよ。
 だって、中身がわからないままに、皆買うワケだし。
 だから、シリーズモノで読者の気持ちが引いてしまった場合、問題の巻である次の巻で売上が下がるのではないか、という分析を俺はしています。
 んで、目覚まし時計の長い言葉遊びや、ラストあまり盛り上がりきらずに終わった『憑物語』の次でも売上はそれほど落ちなかったのに、終物語(上)の次である終物語(中)は落ちた。
 終物語(上)は、登場人物を少なくするというテーマで始まった物語シリーズの中では珍しく、第一話がめだかボックスかよ、と感じるくらいにクラスの登場人物を一杯に描写した、『犯人当て』のミステリテイストだったりして、いつもと違う感じだったのも影響したでしょうが、一番売上に悪影響を与えたのは、老倉育の境遇が笑えないくらいに酷過ぎるし、物語シリーズの楽しい掛け合いも少なかったからではないでしょうか。
 現実ではあまり救いという救いがなかった老倉育ですが、続・終物語において、パラレルっぽい育が出てきたりもして、何だかんだで阿良々木暦の心の中では前向きに処理されたと言えなくもなかったし、それに読者的にはファイナル・シーズンの最終巻でしたから、ボーナス・トラックとして楽しめたと思います。
 ところがどっこい、物語は続いてしまった。
 阿良々木暦の心の中では良い感じに処理された老倉育の現実は相変わらず悲惨であり、境遇ゆえに前向きになれず、そして、阿良々木暦への憎しみだけで保っているような、かなり危ないバランスで――その人生は何の解決ももたらされることなく続いていることを見せられてしまうと、『物語が続いてしまう』ことの暗黒面を目の当たりにさせられた気分になるというか、何というか。
 主人公に攻撃的であるどころか、憎悪を抱いてしまった、偏執的な女子――誰かに対する憎悪で保っているようなヒロインって、主人公からしてみたら救いようがないと言いますか、阿良々木暦が千石撫子の問題をどうにも出来なかったように、老倉育も阿良々木暦には救えないタイプのヒロインなのでしょう。老倉育は阿良々木暦のことしか考えてないような有様なのに、ベクトルが全力でネガティヴだし、距離も離れてしまったから、阿良々木暦が救える範囲にいない。
 『そだちフィアスコ』は、悲惨な境遇から、捻くれた自虐的な性格になってしまった老倉育が、新しい転校先でも人間関係のいざこざに巻き込まれ、それに片をつけたと思ったら、今度は更に悲惨な出来事が降ってくるみたいな物語です。
 悲惨な奴の人生は悲惨な出来事が起こり、悲惨だからこそ一生悲惨、みたいな展開にかなり抉られました。
 『するがボーンヘッド』と『つきひアンドゥ』は短編、短々編としてまとまっていると言えなくもないですが、『そだちフィアスコ』はあれで終わりだったら、流石に人気作家として許されない終わりだとは思いました(笑)
 久しぶりに、「オチてないよねっ?!、それ絶対オチてないよ!!」と叫びたい気分になりました。
 育ちゃんは賛否両論のヒロインだと思いますので、好みが分かれるところがあるでしょうが、報われない彼女の人生の先に興味がある人は間違いなく『買い』の一冊です(ただ物語としては完全に解決してないよね、というかこれからどうなっちゃうのかを早く読みたい感じです)。
 俺も西尾氏がどう落とし前をつけてくれるのか(愚物語を読み終えた直後ではありますが)、楽しみに待とうと思います。
 愚物語のレビューでありながら、若干これまでを振り返ってしまいましたが、今巻は話のボリューム的にも育がメインと言っていいんじゃないかと思います。
愚物語 (講談社BOX)Amazon書評・レビュー:愚物語 (講談社BOX)より
4062838893

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