生ける屍の死

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評判

生ける屍の死の評価:

3.94/5点 レビュー 72件。 A ランク

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平均点3.94pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全105件 61〜80 4/6ページ
No.45
(5pt)

世紀の傑作

一言でいえば、天才の作品。
神が山口雅也をして書かしめた世紀の傑作。
いまだにこれを超える本格推理はない、と言ってもいいだろう。
クイーンが脱帽し、カーが歯ぎしりして悔しがる作品。
海外本格ミステリ黄金期の傑作群を
追い抜いた、
日本代表ミステリのひとつ。
て言っても過言ではない。

なのに、未だに理解されていないのが残念だ。

例えば、
こんなコメント⇩
『死んだ人間がよみがえる、という設定がユニークなだけ(中略)死んだ人は一回しか死なない、というのは、推理ものの中のもっとも重要なルールであって、それを覆すのなら、もっともっとラディカルな作品とするべき。形式は本格、ルールは破る、というのでは中途半端』
抜粋してみたが、
理解されていないんだな。
悲しいとしか言いようがない。

死人に口なし、はこの世の摂理であり
本格ミステリというジャンルを
成立せしめる大前提であり、
作者にとってとても有難い設定である。
この設定がなければ、
本格ミステリは土台から崩れてしまうだろう。

犯人を知っているのは、被害者=死者のみ。
つまり被害者殺害=口封じ、となる。
となると、
探偵は、語られざる真相に向かって、
あれこれと推理して、最後に真相に辿りつく。
いわば、最後に死者の代弁者の地位に辿りつくこと。これが、本格ミステリにおける解決であり、それが探偵の機能、役割なのである。

なのに、この作品はそういった本格ミステリの大前提を逆手にとって、本格ミステリを脱構築、深化させたのである。
深化とは、論理性に他ならない。

はっきり言って、
一般的に本格ミステリは、死者が話せたならば、簡単に犯人がわかってしまうような代物だ。だからミステリは子供っぽい、幼稚だ、と純文学に比べて低く見られることもある。

しかし、本作品はこういったジレンマを乗り越えて、『死者が生き返る世界=殺人による口封じが意味をなさない世界』で、なぜ殺人が行われるか、という新たな論理を完成させているのである。
こんな本格ミステリは、『生ける屍の死』まで、なかったのである。

散りばめられたペダントリーも素晴らしく、90年代別から流行り出したジャンルミックス的な作風の先駆けでもある。
さらに
この作品の死者が甦る世界観において、
なぜひとは生き、死ぬのか、
といった普遍的なテーマが語られる。
これは、並の純文学にも出来ないことではないか。

この作品を生んだ
日本の本格ミステリ界に拍手を送りたい。
生ける屍の死 永久保存版 Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.44
(5pt)

世紀の傑作

一言でいえば、天才の作品。
神が山口雅也をして書かしめた世紀の傑作。
いまだにこれを超える本格推理はない、と言ってもいいだろう。
クイーンが脱帽し、カーが歯ぎしりして悔しがる作品。
海外本格ミステリ黄金期の傑作群を
追い抜いた、
日本代表ミステリのひとつ。
て言っても過言ではない。

なのに、未だに理解されていないのが残念だ。

例えば、
こんなコメント
『死んだ人間がよみがえる、という設定がユニークなだけ(中略)死んだ人は一回しか死なない、というのは、推理ものの中のもっとも重要なルールであって、それを覆すのなら、もっともっとラディカルな作品とするべき。形式は本格、ルールは破る、というのでは中途半端』
抜粋してみたが、
理解されていないんだな。
悲しいとしか言いようがない。

死人に口なし、はこの世の摂理であり
本格ミステリというジャンルを
成立せしめる大前提であり、
作者にとってとても有難い設定である。
この設定がなければ、
本格ミステリは土台から崩れてしまうだろう。

犯人を知っているのは、被害者=死者のみ。
つまり被害者殺害=口封じ、となる。
となると、
探偵は、語られざる真相に向かって、
あれこれと推理して、最後に真相に辿りつく。
いわば、最後に死者の代弁者の地位に辿りつくこと。これが、本格ミステリにおける解決であり、それが探偵の機能、役割なのである。

なのに、この作品はそういった本格ミステリの大前提を逆手にとって、本格ミステリを脱構築、深化させたのである。
深化とは、論理性に他ならない。

はっきり言って、
一般的に本格ミステリは、死者が話せたならば、簡単に犯人がわかってしまうような代物だ。だからミステリは子供っぽい、幼稚だ、と純文学に比べて低く見られることもある。

しかし、本作品はこういったジレンマを乗り越えて、『死者が生き返る世界=殺人による口封じが意味をなさない世界』で、なぜ殺人が行われるか、という新たな論理を完成させているのである。
こんな本格ミステリは、『生ける屍の死』まで、なかったのである。

散りばめられたペダントリーも素晴らしく、90年代別から流行り出したジャンルミックス的な作風の先駆けでもある。
さらに
この作品の死者が甦る世界観において、
なぜひとは生き、死ぬのか、
といった普遍的なテーマが語られる。
これは、並の純文学にも出来ないことではないか。

この作品を生んだ
日本の本格ミステリ界に拍手を送りたい。
生ける屍の死 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.43
(5pt)

大好きな作品なのですが、

作者には申し訳ないけれど、改訂した文庫版よりオリジナルの単行本の方が好きです。
個人的にはそオリジナル版の復活を望んでいます。
一冊のミステリの中にグリンという青年の人生が描かれているのが特徴で、
ラストは泣けて仕方がなかったのを今も覚えています。
生ける屍の死 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.42
(5pt)

哲学的ミステリー

まず感想から述べると、普通に面白い。日本人作家がアメリカを舞台にした作品という意味でも大健闘だ。内容についても文句の言い所が無い。アメリカの片田舎で相次いで起こった死者甦り事件。死んでいた、殺されていたと思われていた人間が突如よみがえるという奇妙な現象。そんななか主人公グリンは帰郷した家に渦巻く殺人事件に巻き込まれ、自らも命を落としてしまう。しかし、彼は州に蔓延するこの奇妙な現象の影響を受け、息を吹替えしてしまった。甦ってしまった事への動揺が未だ消え去らぬ中、グリンは自らの死を隠し真犯人発見に努める。時折脳をかすめる疑問、「死んだはずの被害者が甦るのにそれでも真犯人を見つける事に果たして意味はあるのか?」、グリンの葛藤は治まらない。哲学的ミステリーともいえる二十世紀末の大傑作!!普通のミステリーに飽きた人にはおすすめの一冊です。

生ける屍の死 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.41
(3pt)

舞台かミュージカル向けか。

映画で「ゾンビコップ」なる刑事ものB級映画を見たことがあって、
そのイメージを持ちながら読み始めたが、死や死者の描写があまりなく
グロい内容は他の小説に比べてむしろ少ないんじゃないかというほど。
アメリカの葬儀文化、その葬儀場を中心に起こるストーリーは、
映画化よりも舞台化、ミュージカル化に向いているのかも、と思う。
冒頭に登場人物の紹介があり、覚えられず集中できないかな?とも思ったが
気にならずに読めたのは良かった。
生ける屍の死 永久保存版 Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.40
(3pt)

舞台かミュージカル向けか。

映画で「ゾンビコップ」なる刑事ものB級映画を見たことがあって、
そのイメージを持ちながら読み始めたが、死や死者の描写があまりなく
グロい内容は他の小説に比べてむしろ少ないんじゃないかというほど。
アメリカの葬儀文化、その葬儀場を中心に起こるストーリーは、
映画化よりも舞台化、ミュージカル化に向いているのかも、と思う。
冒頭に登場人物の紹介があり、覚えられず集中できないかな?とも思ったが
気にならずに読めたのは良かった。

生ける屍の死 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.39
(4pt)

ベダンティックの極致。

本格ミステリーの有名作家、山口雅也の長編デビュー作品。

死んだ人間が死体のまま蘇るという現象が全米各地で巻き起こっていた。そんななか、大葬儀社の類縁である主人公グリンは、関係者全員が集まるなかで毒殺されてしまう。ゾンビとして蘇り、事件解決に挑むグリン。はたして真相は……。

設定がとにかくぶっ飛んじゃってるのですが、それ以外はとてもまっとうにきっちり描いている小説だなぁと感じました。
やたら衒学的(ペダンティック=知ったかぶり)ですが、どれもが自然と散りばめられているのであまり気になりません。むしろ、ほどよいスパイスといった感じで、僕は面白いと感じました。

トリックが云々とかミステリーとしてどうかとかはまったく興味ないんでわかりませんが(個人的に本格ミステリーを自称する人、大嫌いなので)、一本の小説としてとてもよくできた作品です。

あと、これがデビュー作ということにひたすら驚きました。すごいです。

黒死館殺人事件好きな方はぜひ。
生ける屍の死 永久保存版 Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.38
(4pt)

ベダンティックの極致。

本格ミステリーの有名作家、山口雅也の長編デビュー作品。

死んだ人間が死体のまま蘇るという現象が全米各地で巻き起こっていた。そんななか、大葬儀社の類縁である主人公グリンは、関係者全員が集まるなかで毒殺されてしまう。ゾンビとして蘇り、事件解決に挑むグリン。はたして真相は……。

設定がとにかくぶっ飛んじゃってるのですが、それ以外はとてもまっとうにきっちり描いている小説だなぁと感じました。
やたら衒学的(ペダンティック=知ったかぶり)ですが、どれもが自然と散りばめられているのであまり気になりません。むしろ、ほどよいスパイスといった感じで、僕は面白いと感じました。

トリックが云々とかミステリーとしてどうかとかはまったく興味ないんでわかりませんが(個人的に本格ミステリーを自称する人、大嫌いなので)、一本の小説としてとてもよくできた作品です。

あと、これがデビュー作ということにひたすら驚きました。すごいです。

黒死館殺人事件好きな方はぜひ。
生ける屍の死 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.37
(5pt)

生ける屍の論理

久しぶりの再読。もう散々かかれてるんであまり言うこともありませんが少しだけ。

死んでも死人が甦る世界で続く人殺しの真相は?!
これはウラの紹介文にもあるので言ってもいいでしょうが、作中、実行困難と思われ
る状況下で主人公のグリンすら毒殺されてしまいます。まあもちろん甦るのですが、
そういうこともあり全体的にブラックジョークめいていて面白く読めます。

最後で明かされる真相、とくに主人公毒殺の顛末については当時本当に開いた口が
塞がらなかった。「その可能性についても少しは検討して読み進めていた(つもりだっ
た)のに!」と、ミステリを読んでいる側としては最高に楽しませてもらいました。

作家北村薫が推薦するにも、本作は(本格)ミステリという蜜を求める読者にとってけ
して見逃してはならない大輪の花とのことです。私にとっても、このような作品があ
るから今まで本格ミステリを読み続けてこられたとすら思えます。

おすすめ、です。
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4334913164
No.36
(5pt)

生ける屍の論理

久しぶりの再読。もう散々かかれてるんであまり言うこともありませんが少しだけ。死んでも死人が甦る世界で続く人殺しの真相は?!これはウラの紹介文にもあるので言ってもいいでしょうが、作中、実行困難と思われる状況下で主人公のグリンすら毒殺されてしまいます。まあもちろん甦るのですが、そういうこともあり全体的にブラックジョークめいていて面白く読めます。最後で明かされる真相、とくに主人公毒殺の顛末については当時本当に開いた口が塞がらなかった。「その可能性についても少しは検討して読み進めていた(つもりだった)のに!」と、ミステリを読んでいる側としては最高に楽しませてもらいました。作家北村薫が推薦するにも、本作は(本格)ミステリという蜜を求める読者にとってけして見逃してはならない大輪の花とのことです。私にとっても、このような作品があるから今まで本格ミステリを読み続けてこられたとすら思えます。おすすめ、です。
生ける屍の死 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.35
(4pt)

海外ミステリーファンの方、ぜひご一読を

(以下ネタバレが含まれております。ご注意下さい)

「死者がよみがえること」
を虚像の世界ではなく、現実の世界であるという前提のもとに書かれた小説である、
という点を、

・素直に受け入れることができて、そのうえでこのミステリーの世界に入り込むことができるか

・どうもその点ひっかかってしまい、なんともすっきりしないか

どちらの部類に入るかで、評価は分かれてしまうのでは、と思うのが本作品です。

解説者の方も、後者のような人の批判の「抑え込み」に入ったかのように、
この前提を擁護していたのが印象的でした。

実は、私はどちらかといえば後者でした。
なのになぜ、高評価なのかといいますと、解説者の説得に屈したからではありません。
日本人が書いたこの作品は、海外ミステリーファンの私が読んでも、驚くほどのできばえだったからです。
クイーン、ブラウン、クリスティ、ドイル、カー、クロフツ、
彼らのファンの方、是非ご一読下さい。
日本人にも、こんな世界観を表現できる作家さんがいるのです。

実際、作者も彼らの信奉者だったらしいのでうなずけます。
実はまだこの作者の他の作品は読んでいないのですが、とても楽しみです。
生ける屍の死 永久保存版 Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.34
(4pt)

海外ミステリーファンの方、ぜひご一読を

(以下ネタバレが含まれております。ご注意下さい)「死者がよみがえること」を虚像の世界ではなく、現実の世界であるという前提のもとに書かれた小説である、という点を、・素直に受け入れることができて、そのうえでこのミステリーの世界に入り込むことができるか・どうもその点ひっかかってしまい、なんともすっきりしないかどちらの部類に入るかで、評価は分かれてしまうのでは、と思うのが本作品です。解説者の方も、後者のような人の批判の「抑え込み」に入ったかのように、この前提を擁護していたのが印象的でした。実は、私はどちらかといえば後者でした。なのになぜ、高評価なのかといいますと、解説者の説得に屈したからではありません。日本人が書いたこの作品は、海外ミステリーファンの私が読んでも、驚くほどのできばえだったからです。クイーン、ブラウン、クリスティ、ドイル、カー、クロフツ、彼らのファンの方、是非ご一読下さい。日本人にも、こんな世界観を表現できる作家さんがいるのです。実際、作者も彼らの信奉者だったらしいのでうなずけます。実はまだこの作者の他の作品は読んでいないのですが、とても楽しみです。
生ける屍の死 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.33
(4pt)

突飛な設定だが必然性のある真相

死者が蘇る,というありえない設定であるが
きちんと真相に反映されている.

こういう凝った設定は結局うまく使いこなせず
中途半端なオチになりがちなのだが
この作品ではそういう不消化感もなく
緻密にまとまっているなと感心した.
ミステリー本来の謎解きとは少し趣が違うが
こういう意外性もありだろう.

またアメリカの埋葬や葬儀の風習やエンバーミングという
耳慣れない技術をよく調べて取り入れられており
ミステリーの小道具としてだけでなく
作品全体にアメリカの田舎町の雰囲気がよく表現されている.

ただ,懲りすぎていて少々冗長な印象もなきにしもあらず.
その点を1つ減点.
生ける屍の死 永久保存版 Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.32
(4pt)

突飛な設定だが必然性のある真相

死者が蘇る,というありえない設定であるが
きちんと真相に反映されている.
こういう凝った設定は結局うまく使いこなせず
中途半端なオチになりがちなのだが
この作品ではそういう不消化感もなく
緻密にまとまっているなと感心した.
ミステリー本来の謎解きとは少し趣が違うが
こういう意外性もありだろう.
またアメリカの埋葬や葬儀の風習やエンバーミングという
耳慣れない技術をよく調べて取り入れられており
ミステリーの小道具としてだけでなく
作品全体にアメリカの田舎町の雰囲気がよく表現されている.
ただ,懲りすぎていて少々冗長な印象もなきにしもあらず.
その点を1つ減点.
生ける屍の死 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.31
(5pt)

異世界ミステリの記念碑的作品

死者が甦るという異世界を舞台にしたミステリ。

主人公であるパンク小僧グリンからして、何者かに毒殺された後、
甦り、ゾンビになった状態で探偵役を務めていくことになります。

蘇生したグリンは、生前と変わらない精神は保持しているものの、
時間が経つにつれ、肉体は確実に腐敗していき、乾燥のため目が
混濁し始めます。

腐敗を遅らせ、周囲に自分が死者であることを悟られないようにするため、
グリンは自らに防腐剤を投与し、サングラスをつけなくてはならなくなります。

この“蘇生者”の描写は、甦りがルール化されている本作において、関係者が
生者と死者どちらであるかを見極める、指標の役割を果たしているといえます。

また、本作で展開される「死」にまつわる様々な哲学も、
たんなる装飾的ペダントリーにとどまらず、犯行動機を
読み解く際の重要な手がかりとなっています。

家族に囲まれた穏やかで親密な死を望む者やキリスト教的信条によって
肉体復活を信じる者、そして、資本主義の論理を振りかざし、死を商品化
しようとする者……、それぞれが自分の哲学に基づいた行動することで、
通常の世界ではあり得ない因果の模様が描かれていくことになるのです。
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4334913164
No.30
(5pt)

異世界ミステリの記念碑的作品

死者が甦るという異世界を舞台にしたミステリ。
主人公であるパンク小僧グリンからして、何者かに毒殺された後、
甦り、ゾンビになった状態で探偵役を務めていくことになります。
蘇生したグリンは、生前と変わらない精神は保持しているものの、
時間が経つにつれ、肉体は確実に腐敗していき、乾燥のため目が
混濁し始めます。
腐敗を遅らせ、周囲に自分が死者であることを悟られないようにするため、
グリンは自らに防腐剤を投与し、サングラスをつけなくてはならなくなります。
この“蘇生者”の描写は、甦りがルール化されている本作において、関係者が
生者と死者どちらであるかを見極める、指標の役割を果たしているといえます。
また、本作で展開される「死」にまつわる様々な哲学も、
たんなる装飾的ペダントリーにとどまらず、犯行動機を
読み解く際の重要な手がかりとなっています。
家族に囲まれた穏やかで親密な死を望む者やキリスト教的信条によって
肉体復活を信じる者、そして、資本主義の論理を振りかざし、死を商品化
しようとする者……、それぞれが自分の哲学に基づいた行動することで、
通常の世界ではあり得ない因果の模様が描かれていくことになるのです。
生ける屍の死 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.29
(2pt)

死人が生き返るだけの一冊

福田和也の『作家の値打ち』で大絶賛されていた一冊。

大絶賛するほどではなく期待はずれ。死んだ人間がよみがえる、という設定がユニークなだけだと思う。そもそも、推理ものって、いろいろなルール(人生は一回、とか、時間は逆に流れない、とか)の中で突飛な仕掛けを作って読者に見せるものではないか。ルールがあるからおもしろいのだ。死んだ人は一回しか死なない、というのは、推理ものの中のもっとも重要なルールであって、それを覆すのなら、もっともっとラディカルな作品とするべき。形式は本格、ルールは破る、というのでは中途半端。

<「すまん、ちょっと、死んでたんでな。全然聞いてなかった。悪いがもう一度最初から繰り返してくれないか?」>
(p. 568)

こういうのりは嫌いじゃないが。悪いがもう一度ラディカルにやり直してくれるともっとおもしろくなる。
生ける屍の死 永久保存版 Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.28
(2pt)

死人が生き返るだけの一冊

福田和也の『作家の値打ち』で大絶賛されていた一冊。
大絶賛するほどではなく期待はずれ。死んだ人間がよみがえる、という設定がユニークなだけだと思う。そもそも、推理ものって、いろいろなルール(人生は一回、とか、時間は逆に流れない、とか)の中で突飛な仕掛けを作って読者に見せるものではないか。ルールがあるからおもしろいのだ。死んだ人は一回しか死なない、というのは、推理ものの中のもっとも重要なルールであって、それを覆すのなら、もっともっとラディカルな作品とするべき。形式は本格、ルールは破る、というのでは中途半端。
<「すまん、ちょっと、死んでたんでな。全然聞いてなかった。悪いがもう一度最初から繰り返してくれないか?」>
(p. 568)こういうのりは嫌いじゃないが。悪いがもう一度ラディカルにやり直してくれるともっとおもしろくなる。
生ける屍の死 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.27
(5pt)

迷作ではない、名作!

非常に印象深い1冊でした。ルール破りだとか荒唐無稽だとかいう意見も多いと思うけど、作者はその異常な状況設定をとくに意識させないよう、さりげなく親切丁寧に読者を導いていくことで、いつのまにか小説のプロットを構築してしまっています。見事です。(じっさい、作品世界において死者の蘇りについては、事件に関わる一族・関係者以外、それほど大問題となっていない)シニカルで比喩表現たっぷりの語り口は、まるで海外作家のようで、思わず途中で日本人作家であることを忘れてしまいました。葬式儀礼にはじまり、建築学やら歴史やら哲学、解剖学などなど、作者の広範な知識にも脱帽です。やや冗長かな、中だるみするかな、と思っていたら、中盤にトレイシー警部という、とてもおちゃめなキャラクターがでてきます。ドタバタもあるし、ところどころに噴出するブラックユーモアが、この作品をただ暗いばかりでない救いのあるものにしています。作者のサービス精神が伝わってきます。あまりいうとネタバレですが、死者から被害者から○○○まで生き返ってしまうので、当然このミステリーは犯人探しよりも、「動機はなにか?」が最大の謎となります。その謎が解けたとき、あなたは人間が未来永劫解放されることのない、生と死の哀しみを味わうことでしょう。
生ける屍の死 永久保存版 Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.26
(5pt)

迷作ではない、名作!

非常に印象深い1冊でした。ルール破りだとか荒唐無稽だとかいう意見も多いと思うけど、作者はその異常な状況設定をとくに意識させないよう、さりげなく親切丁寧に読者を導いていくことで、いつのまにか小説のプロットを構築してしまっています。見事です。(じっさい、作品世界において死者の蘇りについては、事件に関わる一族・関係者以外、それほど大問題となっていない)シニカルで比喩表現たっぷりの語り口は、まるで海外作家のようで、思わず途中で日本人作家であることを忘れてしまいました。葬式儀礼にはじまり、建築学やら歴史やら哲学、解剖学などなど、作者の広範な知識にも脱帽です。やや冗長かな、中だるみするかな、と思っていたら、中盤にトレイシー警部という、とてもおちゃめなキャラクターがでてきます。ドタバタもあるし、ところどころに噴出するブラックユーモアが、この作品をただ暗いばかりでない救いのあるものにしています。作者のサービス精神が伝わってきます。あまりいうとネタバレですが、死者から被害者から○○○まで生き返ってしまうので、当然このミステリーは犯人探しよりも、「動機はなにか?」が最大の謎となります。その謎が解けたとき、あなたは人間が未来永劫解放されることのない、生と死の哀しみを味わうことでしょう。
生ける屍の死 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012