王とサーカス

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評判

王とサーカスの評価:

3.86/5点 レビュー 106件。 B ランク

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平均点3.86pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全136件 81〜100 5/7ページ
No.56
(2pt)

いつも肩透かしな作家

「このミステリーがすごい」とのことで,今度こそはと期待して読みました。
この作家の本は過去に数冊読ませていただきましたが,どれも何か違う。いつも期待値を大きく下回ってしまっていたので。
「王とサーカスはこれだけ評価が高いのだから大丈夫」と自分に言聞かせながら読みました。

前半の王室事件が起こるところまでは緊張して読むことができました。後半に期待をふくらませながら。
しかし私服警官2人が登場したところから雲行きが怪しくなる。どうしてこんなにトントン拍子で話が進んで行くのか?
ジャーナリズムの本質をテーマに掲げた作品だったのでどのような結末になるのかと思いましたが,主人公が都合良く納得して終わってしまったのでがっかり。
ツボにはまった人にはたまらない作家なのかもしれませんが,私にはいつもモヤモヤ感が残ります。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.55
(5pt)

相変わらず良い

本当に胸糞だし心理描写も共感できるし素晴らしい
この人の作風が好きなら満足
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.54
(4pt)

よかったです

このミスでの人気があったので読み始めました。満足しています。さいしょはどうなるかと思いましたがよかったです。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.53
(4pt)

雑誌の記者の主人公

雑誌の記者の主人公の女性が、ネパールの王族の殺害事件に巻き込まれるミステリー。はじめはネパールの旅の案内本と思わせるようでしたが、王族が殺されてからの事件の真相を追う所から主人公の知的さが冴え渡ってます。知り合った軍人の殺害が王族の殺害に関係するのかしないのかワクワクドキドキ。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.52
(5pt)

謎解きよりも心に刺さる物語がここにある

フリーランスの記者となった太刀洗万智。ネパールのカトマンズで王の一家が殺される事件に巻き込まれる。万智はネパールの軍人の一人に接触することに成功。だがその軍人は殺害され、遺体を晒される。犯人はもちろん意外な人なのだが、その謎解きなんかどうでもいいと思わせるほどのミステリがネパールという国に潜んでいる。また、最後に意外な人物が、思いもよらない秘めた感情に胸を締め付けられる。いや、本当は気づかなければならないのかもしれない。正論が人々を不幸にすることに。ジャーナリストとなった万智には正論を語るしかない。真実と正義を報じるしかない。ジャーナリストの仕事の苦悩も本書では味わえる。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.51
(5pt)

実力ナンバーワン作家

地味ながらミステリーを扱う手つきの確かさは一級品
その上で+αがあるのがこの作家の真骨頂

重箱の隅を続くことはできるが、まともな人間なら評価せざるを得ない作品
120点とは行かないけどまともな人なら80点はつけざるを得ない
二年連続三冠は伊達ではない
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.50
(3pt)

ミステリーとしてはあまり引き込まれなかったのですが

二転、三転するので後半一気に読み切りました
王族殺害事件はメインじゃないんだと途中で気づき驚きました
ジャーナリストなど物書きの人が読むと共感できるところがあり
より楽しく読めるのかもしれません
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.49
(4pt)

面白かった

ミステリーというより、1つの小説として楽しみました。
主人公の葛藤や気付き、そこに至る出会いや事件、まるで映画です。
ミステリーとして振り返ると、事件勃発までの描写が長く、また、じけんそのものが解決後に語られるなど、少々まどろっこしさを感じました。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.48
(1pt)

日本の文芸の質の低下を表す一作

価値観や読後の感想は人それぞれだが、私は読み終えた後、時間とお金を返して欲しいと思い。さらに口直しに他の本を読む必要があった。
以上が私の読後の正直な感想。
内容に関しての矛盾点の指摘は他のレビューで既に書かれているので省く。
・他国の人間(つまり私たち日本人)が他国の繊細な事実・事件・事情を元に、商業素材として取り扱うのは失礼ではないだろうか?
少なくとも、ソコに触れるのであれば文責をもって書く(著者の仮説等)のが筋であろう
それが出来ないのであるならば、人として触れるべきではない。海外作品ではチャイルド44などが同じような間違いをしている。
・小説という文芸であるならば、台詞によって情景描写を台詞で説明をするような安易な描写を避けるのが書く者の芸。やってはいけないことをやっている。
よくこれで編集者サイドも許したものだとあきれる。
・結局、主人公も生きていくために記事=金銭授与であるのであれば、王とサーカスという主題において、主人公も手を汚している事を。
まぁ今時では無いが、「全員が悪人」というノアール的にした方が良かっただろう。売れれば主人公を使い回したという思惑がとれて腰が引けている。
・賞に関しては、まぁ商業・商売、マーケッティングというのはこういうモノだろうと、ほぼ諦めている。口コミの方が信頼出来る時代を加速させてしまっているのだろう
・魂を削って書いているのか?私たちは人生の有限の時間を削って読んでいる
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.47
(4pt)

ミステリーとしては凡庸なトリック。だが、珠玉の名フレーズの数々が心を打つ。やはり、旬の作家の作品はうまい!

【内容(ネタバレ禁止!)】
なんと舞台はネパール!

【ささった言葉】
・「どうぞ心なさい。尊さは脆く、地獄は近い」
・「記事は派手にしようと思うところから腐っていくもんだ」
・サガルが勧めるセルロティの店は、まだ先らしい。
・「嘘ね」わたしはそう言った。サガルは答えた。「ああ、嘘さ」
・「わたしは…」仏陀の目が見下ろしている。「ここがどういう場所なのか、わたしがいるのはどういう場所なのか、明らかにしたい」
・「クソ野郎」赤い頬のサガルは、そう吐き捨てた。冷めた目がわたしを睨む。たぶん彼は憎むよりも、あきれかえってしまったのだ。
・たちまちカトマンズの街へと消えていく背中に、わたしはありがとうと言いたかった。素敵なククリをありがとう。他のことにも。けれど彼は、そんな言葉は聞きたくないだろう。わたしはそういう世界に生きている。
・彼方まで続く山塊はあまりにも雄大で、神秘的なまでに美しい。
・もしわたしに記者として誇れることがあるとすれば、それは何かを報じたことではなく、この写真を報じなかったこと。
・だったひとつの知識がものの見方を根底から覆し、別の知識が更なる修正を加えていく。やがて蓄積された知識は、お互いに矛盾しない。妥当だけれど思いがけないものの見方へと収束していく。このダイナミズムが好きだった。無邪気に知を楽しみうちに大人になった。
・知は尊く、それを広く知らせることにも気高さは宿る。
・結局わたしの背を押したのは、腕時計だった。約束の時間まであと一分に迫り、わたしは「待ち合わせの相手を待たせるのは失礼だ」という常識だけを頼りにして、クラブ・ジャスミンへと一歩一歩コンクリートの階段を下りていく。
・「自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ。意表を衝くようなものであれば、なお申し分ない。恐ろしい映像を見たり、記事を読んだりした者は言うだろう。考えさせられた、と。そういう娯楽なのだ。」
・「タチアライ。お前はサーカスの座長だ。お前の書くものはサーカスの演し物だ。我々の王の死は、とっておきのメインイベントというわけだ」
・「答えられなかった」わたしの呟きは水音にかき消され、どこにも届かない。
・そしていま、枷は外れた。抗議の時は終わり、恐怖がそれに取って代わった。
・そして、負けるものかと性根を据えた時、どうやらわたしはこんな顔になるらしい。新しい発見だった。

【感想と教訓】
ミステリーとしては凡庸なトリック。だが、珠玉の名フレーズの数々が心を打つ。純文学というほどではないが、第一級の通俗小説。例えて言えば、漁港の回転寿司。やはり、旬の作家の作品はうまい!
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.46
(3pt)

ジャーナリズムのあり方に対する作者の積年の思いこそ伝わっては来るものの、ミステリ・タッチで描く必然性があったか否かかなり疑問

2001年のネパールのカトマンズで実際に起きた王族殺害事件を基にして、ジャーナリズムや作者自身の職業である作家(芸術家)のあり方をミステリ・タッチで問い掛けた作品。物語はたまたまカトマンズを訪れていたフリー・ジャーナリト太刀洗の視点で描かれる。前半はカトマンズの風俗や社会環境が丹念に描かれ、風俗小説の趣きを呈しているが、この中に作品のテーマや以下で述べる事件のヒントが潜んでいる事は読んでいて一目瞭然だった。特に、登場人物の描き方が素直過ぎる点に拙さを覚えた(作品のテーマや本作がミステリ指向ではない事を隠すつもりは無かったらしい)。

王族殺害事件の直後に起きた、王宮警備の軍人殺人事件の犯人・動機捜し、軍人殺人の直前にその軍人にインタビューをし、事件に巻き込まれた太刀洗の身の危険を中心に描いてはいるが、ミステリ的には大した事はない。やはり、ジャーナリズムのあり方に対する根源的な問い掛けが本作の本質であり、"あとがき"を読むと、この問い掛けは作者の積年の思いだったらしい。その思いこそ伝わっては来るものの、物語(ミステリ)として面白くなければ意味がない。作中でも、金銭的利得(あるいは社会的名誉)とジャーナリトとしての使命との間で揺れ動く太刀洗の心理が描かれているが、この揺れは作者自身のものでもあるのだろう。

しかし、本テーマを敢えてミステリ・タッチで描く必然性があったか否かかなり疑問だし、ミステリ・タッチで描くなら、もっと工夫を凝らして欲しかったというのが作者のミステリ的力量を評価している者にとっての率直な感想である。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.45
(1pt)

大賞作品だとおもったが、選考がマスコミの人だからかと

昔、カトマンズにいたので楽しみながら、読ませていただきましたが、ストーリー自体のスケールが小さすぎて、期待はずれでした。
このミスの大賞は、それなりのダイナミクスがあったのですが、マスコミの方が好きそうな本です。
高校時代の主人公がでる作品も読みましたが、同じイメージ。どちらも、もうひとつ。面白いまでいかなかったかな。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.44
(5pt)

それだけではない

この作品で作者のうまさを強烈に感じたところが2か所ありました。1つめはクラブジャスミンで取材対象の軍人から諌められるところ。主人は初対面の自分を叱ってくれるその人をやさしい人物と評しています。普通同じ場面で初対面の人から叱られてその相手をやさしい人物と評することができるでしょうか。できるとしたらその人は素直でインテリジェンスの高い人物です。今は駆け出しでも将来の飛躍、可能性を想像させます。次に取材をすることの意味について考えるシーン。自分の書く情報がとるに足りないものではないか、と思い悩むが、前に進む答えを得るシーンです。たとえつまらない記事でもその記事を書くことで完成(真実)に近づくという信念。これはそのままこのミステリーにも当てはまるはずです。数多くのミステリーが生まれ、驚くべきトリックが考案される。もう、どうしても新規性のある作品は書けない。それでもこの作品を書く必要があるのか。ある。それがこの作品に込められたもう一つのメッセージだと考えました。これは我々の仕事のも当てはまるはずです。この問題はつき詰めていくと生きる意味につながっていくと思います。そう、それでも生きる意味はあると思うのです。謎解きだけはなく、深く考えさせてくれる作品でした。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.43
(2pt)

肩透かし

事前の評価や評判などは知らずにふと手に取っただけの人間の感想です。
この作者の他の作品は未読なのでまっさらな感想だと思います。

ぶっちゃけとんだ詐欺作品って印象ですね。
面白くないワケではないし、悪くはないのですが
いかんせん王族殺しはほぼ何の関係もなくそこに注目していると
あまりのオチのスケールの小ささに拍子抜けしてしまいます。
まぁジャーナリストと言う立ち場で大事件に絡めたところで
常識的な世界で出来ることなんて無いも同然ですし、それに付随した「ちょっとした事件」に
立ち会うのがせいぜいなのは仕方のないことではあるんですが・・・
(これがラノベなら主人公が華麗に事件を解明、解決と言ったところでしょうか?)

推理物、的な視点で見ても特に面白いワケではありません。
これが何故これほどの高評価なのかまったくわからない。
タイトルに釣られただけなら読まない方がいいでしょう。
タイトルはただの演目未満の扱いです。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.42
(5pt)

本屋大賞とはならなかったけれど。。。

ジャーナリズムというものに対して、
作者が常日頃思ってきたことを長い時間をかけて熟成させて文章にした
そんな印象を受けました。

最初の部分は、沢木耕太郎の深夜特急が好きだったのかな?と思わせるような
情景描写とだるさを醸し、最初にバーっと主要人物を散りばめるあたりは
推理小説もそうとう読まれているのだろう。。という推測感も持ちました。

主人公を敢えて女性とすることで、アクションから一歩下げた
言ってみれば少し引いた観点で事件を通してカトマンズや
後進国と言われる国の抱える問題に深く切り込んでいきます。

ただし、どの部分にも確固たる答えを示すことはなく、
読者の判断に任せている部分が大半で
読了のあとでさっぱりとした気持ちにはなれませんでした。

でも、それはモヤモヤではなくて
日常に上手く戻されたと言うか、現実世界へ飛ぶ飛行機に乗せられたというか
広い景色を見せられて物語は終わります。

2001年にカトマンズで起きたクーデター(王室殺人事件)を大きな柱として
フリーになった記者であるタチアライの取材や、取材をするうえでぶつかる問題を描いた作品です。
写真というものに知識がある方なら倍以上楽しめると思います。
特に、ピュリッツァー賞などを知っていたり、
2001年頃のデジタルカメラの性能や置かれていた背景を知っていたら
なお楽しめると思います。

ただ、読むのに知識がいるのです。
知っている人は、本書に書かれている文章を200%で楽しめるでしょうが
恋愛小説なそが好きな人にとってはちっとも面白く無い。。。

的の範囲の大きさが、本屋大賞ノミネートではあったけれど
大賞にはならなかった理由だと思いました。

情景描写は、冒頭にも書きましたが沢木耕太郎顔負けの
細かく目の前に浮かび上がる素晴らしい作品です。
5章まで読み進められたら一気に最後まで行くと思います。
私は楽しめました。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.41
(4pt)

パンと見世物の世界に読者はどう臨むべきなのか

2001年6月、フリー・ジャーナリストの太刀洗万智は海外旅行雑誌の依頼でネパールの観光情報を集めるためにカトマンズにやってきた。そこにネパール王族殺害事件が発生、彼女は急きょ事件報道のため取材を始めることになる。そして情報収集の過程でラジェスワル准尉という軍人と出会うが、その直後、准尉は変死体で発見され、太刀洗は警察に連行されてしまう…。

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 2001年に実際に起こった「ナラヤンヒティ王宮事件」を背景にしたミステリー小説です。 この『王とサーカス』は2015年の「週刊文春ミステリーベスト10」、2016年の「このミステリーがすごい!」と「ミステリが読みたい!」で1位に選出されました。

 作者・米澤保信の文章が大変読みやすいものであることは『』、『』といったこれまでの作品でも実証済み。今回もリーダビリティの高い文章を一気に読ませてもらいました。

 謎解きの傍らこの小説が問いかけるのは、アジアの置かれた貧困やジャーナリストの役割です。海のこちら側の泰平日本で暮らす読者にとって、ネパールの置かれた状況は遠いお話しでしょう。その(小説)舞台に読者はどう向き合うべきかを問うているといえるのです。

 ただし小説の後段、准尉殺害事件の真相が究明される道程は、短兵急な印象を受けました。太刀洗は2004年刊の『さよなら妖精』以来の登場人物ということですが、私自身は彼女とはこの『王とサーカス』で初対面ですので、彼女の性向などになじみがありません。そのためでしょうか、彼女がわずかな手がかりから事件の背後に隠れた人間関係を突如として解き明かし始める様子は、少々超人的なものに見えました。

 またジャーナリズム論を准尉と戦わせる場面は、直截的な言葉の応酬に少々鼻白む思いがしないでもありません。「パンと見世物の世界に読者はどう臨むべきなのか」というテーマをめぐって太刀洗が言わんとすること、言っていることのひとつひとつは確かに説得力はありますが、小説的な技巧や飾りが予想外なほどない純朴で生々しい討議を見せられて、すこしばかり興ざめしてしまったのも事実です。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.40
(4pt)

二転三転だけど

確かに一機読みさせるだけの作品でした。面白かったです。
確かにどんでん返しを重ねて引っ張ってくれるのですが、通低音としての報道とはの問いの答えが
ごまかしてはいない分、開き直りで締めたような感じで、いまいちすっきりしませんでした。
これはミステリーとしての評価とは違うポイントかもしれませんが、途中の問答をどう落とすのか結構気になっていたので
そこで★ひとつ減らしました。でも自分も報道を消費する大衆の一人に過ぎず、正解があるとも思えないでので
無いものねだりだとは思いますが。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.39
(5pt)

完成度の高い、惹きこまれる作品

かなり以前に著者の「さよなら妖精」を読みましたが、その登場人物の一人である太刀洗万智さんが主人公として登場する作品です。「さよなら妖精」の事件から10年の時を経た2001年、新聞記者を辞めてフリーのジャーナリストになったばかりという設定。知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のために訪れたネパールで展開する物語です。

 物語の冒頭は、特段事件も起こらず、けだるいモッタリとした展開ですが、やがて王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発したり、殺人事件に遭遇したりで、テンポが上がっていき、終末部はとても充実しています。読み進めるほどに密度が高まり、惹きこまれていく作品と言えます。(冒頭部のゆったりした展開も、必要な、物語上計算されたものであることが、最後まで読むとわかります。)

 この物語の背景には、2001年に実際に起きたネパール王宮での殺害事件と世情の混乱が描かれていますし、異国の10年以上も前の風景や空気感は独特で、著者の作風も相まってほの暗い印象のする作品です。私はその雰囲気をとても楽しみながら本書を読みました。
 本書はミステリーであるのは間違いないのですが、いわゆる謎解きものではありません。事件の展開を主人公の一人称で語っているため、太刀洗万智の感情や思考、悩みに共感しながら読み進めていく、物語の展開を味わうタイプの作品です。「ジャーナリズムとは何か」を主人公といっしょに考え、「人の本当の生き様はパッと見ではわからない、陰影の深いもの」という感慨を持つ作品です。

 (人によって好みはあるかもしれませんが)著者の力量に感嘆する、充実した物語と思います。私は、本書を読み終えてとても満足感に満たされました。お薦めします。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.38
(4pt)

最善手の積み重ねが最善とは限らない

「真実の10メートル手前」と合わせて読んだ。
いつも思うのだけど(つまりそういう色眼鏡で見てしまっているということなのだろうけど)、この作者の登場人物たちはその行動原理がとてもはっきりしている。
「なぜそのように行動するか」だけでなく、「なぜそのような考え方をするか」というところが明確に描かれる。それはミステリの文法なのかもしれないし、米澤さんの文法なのかもしれない。
「犯人を捕らえること」よりも「真実に辿り着くこと」を重要視する姿勢は「氷菓」シリーズや小市民シリーズに通じるところもある(もしかしたらそれもまた一般的なのかも。その程度の読書量です、すみません)。

善意が必ずしも善ではない、少なくとも善意を向ける相手にとっての善とは限らない。
組織における正義、あるいは職種における正義が、すなわち世界の正義とは限らない。

日々を全力で生きるというのは確かに大切なのかもしれないけれど、その拠り所は常に、あるいは時々疑っておく必要がある。
最善手を打ってきたつもりが、どうしようもない袋小路に迷い込んでしまうことだってある。
先の見えない路地を前に、思い切って踏み込むか、予感を察して踏み止まるか、咄嗟の判断をするには、理論を越えた嗅覚のようなものが求められるのかも知れない。
とはいえその嗅覚は、先天的にまとうものではなく、日々の、あるいは重大な場面において身に着けるしかないのだろうな。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512
No.37
(4pt)

ハードル上げ過ぎなければ傑作

とにかく評判がいいので、否が応でも読む前にハードルが上がってしまうのは
本作にとって少々デメリット。
ただ、ハードルを上げ過ぎなければ十分傑作だと思う。

難を言えば、ちょっとマッタリし過ぎ。
終盤にドドッと動き出すが、もっと序盤から引きずり込んで欲しかった。
中盤までは独立したて女性記者の、自分探し紀行エッセイのようでもある。
「うーん、あんまり好みじゃないなあ」と今一つ乗りきれなかった。

最後は思ったよりも深い話で、ちょっと考えさせられる。
サーカスかぁ・・・
でもやっぱり伝えないことには、存在、事象を我々は認知し得ないわけだし。
難しいね。
対象と向き合う都度、伝え手はモラルと想像力をフル回転させて、自問自答を
怠らないでくださいとしか言えないかな。
王とサーカス Amazon書評・レビュー: 王とサーカスより
4488027512