アイの物語
評判
アイの物語の評価:
4.66/5点 レビュー 92件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全172件 21〜40 2/9ページ
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アイの物語の評価:
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
SF連作短編のような読み心地。短編を読んでいく内に、その物語を伝えるアイビスの真意や、なぜ機械が支配する世界になったのか、ヒトと機械の違いや関係性のあり方など、物語とテーマの奥深くへ自然と潜っていく作りになっている。
アイビスの語る物語の中では、やはり『詩音が来た日』が一番好き。介護老人保健施設でアンドロイド介護士の詩音が働く物語。ヒトと機械の差を示しつつも、その差があるからこそ共存していけるという可能性。
「人間になりたいと思わないの?」
「論理や倫理を逸脱した行動を取り、争いを好むことがヒトの基本的性質であるとしたら、私はヒトになりたくありません」
この会話はハッとさせられた。ヒトの方が優位な存在であるはずという思い込みだよね。
詩音がヒトに対して判断した“認知症”の話も衝撃的でありつつ納得感があったけど、ラストではその人々をいかに救うかという希望まで掘り下げられていて素晴らしかった。
『ブラックホール・ダイバー』の「他人のための冒険はうんざりなの。誰にも知られない冒険。成功しても、誰にも賞賛してもらえない冒険。金儲けや賞賛が目的じゃない、純粋の冒険─それがあたしの望みなの。分かる? これはあたしの、あたしだけのための冒険なのよ。成功したことを知るのは、あたしだけでいいの」って言葉もいいよね。人生もこれでいいと思うんだよね。
山本弘さんの作品は『神は沈黙せず』を読んだことがある。その中でも嘘は強く、真実は弱い存在だった。だけど、真実を伝えることで世界を変えていこうとした話だった。この『アイの物語』では反対に、嘘の強さを肯定的に利用して世界を変えていこうとする物語だったのが印象的だった。
「フィクションは『しょせんフィクション』ではないことを知っていること。それは時として真実よりも強く、真実を打ち負かす力があることを」
この一言が胸に響いた。創作物は架空でも、そこに宿る人の理想や信念は揺らがない。だからこそ、フィクションは現実ではなくても、世界を変える力を持っているんだよね。
「憎悪や蔑みや嫉妬や無関心といったものは私には理解できないが、愛がそれらよりも素晴らしいものであることは間違いない。きっと憎悪は、胸をこんなに熱くはしない。」
「でも、僕はその意味が決して理解できないんだな…」
「理解できなくていい。ただ許容して」
この言葉たちも印象深い。人間同士でも価値観なんて全然違うもの。論理も倫理も知っていながら、感情に揺らぎ間違ってしまう人間。それを否定するのではなく、矛盾を許容しながら建設的に進めたらいいなと思わせてくれる物語だった。