ラスト・ワルツ

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ラスト・ワルツの評価:

3.88/5点 レビュー 34件。 B ランク

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平均点3.88pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全67件 61〜67 4/4ページ
No.7
(4pt)

なかなかの秀作!

ジョーカーゲームとダブルジョーカーも読みましたがラストワルツもなかなかの出来です。
短編2編と中編1編の構成ですが短編2編のほうが本来のD機関の凄さがよく出ていました。
ジョーカーゲームから順に読んでいけば結城中佐の作り上げた組織の深遠が垣間見え、陸軍中野学校(旧大映の作品)のモノクロの世界に一気に踏み込んだ気分になります。
ただこれでシリーズが終わりになるのは惜しい。
もっと物語の骨格を練り上げれば更に上級のストーリーができると思います。
次回作も期待!!
ラスト・ワルツ (角川文庫) Amazon書評・レビュー: ラスト・ワルツ (角川文庫)より
404104023X
No.6
(4pt)

なかなかの秀作!

ジョーカーゲームとダブルジョーカーも読みましたがラストワルツもなかなかの出来です。
短編2編と中編1編の構成ですが短編2編のほうが本来のD機関の凄さがよく出ていました。
ジョーカーゲームから順に読んでいけば結城中佐の作り上げた組織の深遠が垣間見え、陸軍中野学校(旧大映の作品)のモノクロの世界に一気に踏み込んだ気分になります。
ただこれでシリーズが終わりになるのは惜しい。
もっとストーリーを練り上げれば更に上級のストーリーができると思います。
自作も期待!!
ラスト・ワルツ Amazon書評・レビュー: ラスト・ワルツより
4041021375
No.5
(5pt)

映画化に対抗した柳版の映画「ワルキューレ」(じっくり読みどころをレビュー)

シリーズ4冊目には、3作が収録。雑誌掲載時期また本書発行時期をみれば、映画版「ジョーカー・ゲーム」公開に合わせたわけです。

出来で云えば、いつもながらのウェルメイドですが、映画化に合わせて読み始めた方を多分に意識していて、D機関の成り立ちや特徴を丁寧に紹介したり、戦前の歴史を素人レベルで書いているのは、珍しいこと。(日本とドイツは”世界大戦”で敵味方だったって、書いてあっても、そもそも、ドイツと日本が同盟国なの?敵は誰なの?なんて人がいっぱいいるわけですから)

「アジア・エクスプレス」は満鉄自慢でのちの新幹線のプロトタイプでもある特急「アジア」を舞台にしたスパイ同士の対決に全編を費やしているのだけど、派手な対決ではないので、これは元々のジョーカー・ゲームに一番近い作品です。1冊目あたりと比べて長めなので、主人公の心理描写や成長がしっかり描かれているのがいいです。

標題ともつながる「ラスト・ワルツ」は、結城中佐の意外なエピソードになっているのだけど、ラストのオチがですね・・・主人公の女性がD機関の仕掛けを読み解いちゃっているわけで・・・それってすごくない?とちょっと驚かされました。全編が彼女の一人称描写なので、致し方ないとはいえねぇ・・・

で「ワルキューレ」。冒頭から、日独スパイが派手なバトルをやらかして、挙句にD機関でご法度の「仲間を救うために自爆特攻」という描写があって唖然とさせられますが、これは映画のお話ですよと描写してから面白い一言があります。映画のスパイは現実と違って格好良いと言って「それは、観客の皆様がそうあってほしいと望むからです。そう、映画はあなたたちの物なのです。みなさん、ありがとうございました」と言ってしまうわけで、作中では「あなたたち」は映画の観客で、それに対して主演俳優が云うセリフですが、これを作者が映画製作者に向けていると読むとクスリと笑えます。なにせ、この作品は、舞台や小道具に映画が多数用いられ、ゲストにゲベルスやリーフェンシュタールが登場したり、フリッツ・ラングのネタがあったりと、ジョーカー・ゲームらしからぬ趣向が多いのは、本作が一種のセルフパロディだからだろう。ただ、出来自体は悪くない。(ちなみに、本作に盛り込まれた歴史や映画のネタは、分からなくてもストーリーには影響がないようになっている。)
で、このD機関らしからぬというのが、実は本作品の隠れたトリックになっていると思うのですが、先達レビューだとなんか全然違うところに感心しているようで、自分の読みが間違いなのかと不安になります笑。このトリックは、作品世界の登場人物にはトリックにはなっていなくって、読者だけ!って驚く仕掛けです。本当のスパイは自分のことをスパイとは言わないという冒頭の振りが終盤の連続するどんでん返しの伏線になっています。私は、過去のレビューでも、結城中佐どころかD機関自体が登場しない作品も出てきそうと読んでいましたが、こう来たかぁという感じです。正に映画の世界なわけで、スパイ役を演じる人がスパイである必要はないというのを見事に逆手にとった上で、「生きて任務を果たす」というD機関の日本陸軍へのアンチテーゼを前提としたラストのほろ苦さもまた丁寧に読むことで初めて味わえるところです。(下種に勘ぐれば、なんで映画版は、結城中佐でなく 亀梨&フカキョンが主役なんだよ!という原作マニアの声を柳さんが汲んでくれての、この作品なのかなぁなんて苦笑)

それにしても、柳さんは、陸軍全般にもそうですが、大島浩閣下のバカっぷりが心底嫌いなんですね。別作品でも茶化しまくっていたし。それと、逸見は、田宮二郎がモデルでしょうね。ばたくさい二枚目で多数の浮名と金にルーズ、なにより役名がゼンで本名が五郎。これも珍しいネタふりだったなぁ。
ラスト・ワルツ (角川文庫) Amazon書評・レビュー: ラスト・ワルツ (角川文庫)より
404104023X
No.4
(5pt)

映画化に対抗した柳版の映画「ワルキューレ」(じっくり読みどころをレビュー)

シリーズ4冊目には、3作が収録。雑誌掲載時期また本書発行時期をみれば、映画版「ジョーカー・ゲーム」公開に合わせたわけです。

出来で云えば、いつもながらのウェルメイドですが、映画化に合わせて読み始めた方を多分に意識していて、D機関の成り立ちや特徴を丁寧に紹介したり、戦前の歴史を素人レベルで書いているのは、珍しいこと。(日本とドイツは”世界大戦”で敵味方だったって、書いてあっても、そもそも、ドイツと日本が同盟国なの?敵は誰なの?なんて人がいっぱいいるわけですから)

「アジア・エクスプレス」は満鉄自慢でのちの新幹線のプロトタイプでもある特急「アジア」を舞台にしたスパイ同士の対決に全編を費やしているのだけど、派手な対決ではないので、これは元々のジョーカー・ゲームに一番近い作品です。1冊目あたりと比べて長めなので、主人公の心理描写や成長がしっかり描かれているのがいいです。

標題ともつながる「ラスト・ワルツ」は、結城中佐の意外なエピソードになっているのだけど、ラストのオチがですね・・・主人公の女性がD機関の仕掛けを読み解いちゃっているわけで・・・それってすごくない?とちょっと驚かされました。全編が彼女の一人称描写なので、致し方ないとはいえねぇ・・・

で「ワルキューレ」。冒頭から、日独スパイが派手なバトルをやらかして、挙句にD機関でご法度の「仲間を救うために自爆特攻」という描写があって唖然とさせられますが、これは映画のお話ですよと描写してから面白い一言があります。映画のスパイは現実と違って格好良いと言って「それは、観客の皆様がそうあってほしいと望むからです。そう、映画はあなたたちの物なのです。みなさん、ありがとうございました」と言ってしまうわけで、作中では「あなたたち」は映画の観客で、それに対して主演俳優が云うセリフですが、これを作者が映画製作者に向けていると読むとクスリと笑えます。なにせ、この作品は、舞台や小道具に映画が多数用いられ、ゲストにゲベルスやリーフェンシュタールが登場したり、フリッツ・ラングのネタがあったりと、ジョーカー・ゲームらしからぬ趣向が多いのは、本作が一種のセルフパロディだからだろう。ただ、出来自体は悪くない。(ちなみに、本作に盛り込まれた歴史や映画のネタは、分からなくてもストーリーには影響がないようになっている。)
で、このD機関らしからぬというのが、実は本作品の隠れたトリックになっていると思うのですが、先達レビューだとなんか全然違うところに感心しているようで、自分の読みが間違いなのかと不安になります笑。このトリックは、作品世界の登場人物にはトリックにはなっていなくって、読者だけ!って驚く仕掛けです。本当のスパイは自分のことをスパイとは言わないという冒頭の振りが終盤の連続するどんでん返しの伏線になっています。私は、過去のレビューでも、結城中佐どころかD機関自体が登場しない作品も出てきそうと読んでいましたが、こう来たかぁという感じです。正に映画の世界なわけで、スパイ役を演じる人がスパイである必要はないというのを見事に逆手にとった上で、「生きて任務を果たす」というD機関の日本陸軍へのアンチテーゼを前提としたラストのほろ苦さもまた丁寧に読むことで初めて味わえるところです。(下種に勘ぐれば、なんで映画版は、結城中佐でなく 亀梨&フカキョンが主役なんだよ!という原作マニアの声を柳さんが汲んでくれての、この作品なのかなぁなんて苦笑)

それにしても、柳さんは、陸軍全般にもそうですが、大島浩閣下のバカっぷりが心底嫌いなんですね。別作品でも茶化しまくっていたし。それと、逸見は、田宮二郎がモデルでしょうね。ばたくさい二枚目で多数の浮名と金にルーズ、なにより役名がゼンで本名が五郎。これも珍しいネタふりだったなぁ。
ラスト・ワルツ Amazon書評・レビュー: ラスト・ワルツより
4041021375
No.3
(4pt)

映画化に対抗した柳版の映画「ワルキューレ」ですね

シリーズ4冊目には、3作が収録。雑誌掲載時期また本書発行時期をみれば、映画版「ジョーカー・ゲーム」公開に合わせたわけです。

出来で云えば、いつもながらのウェルメイドですが、映画化に合わせて読み始めた方を多分に意識していて、D機関の成り立ちや特徴を丁寧に紹介したり、戦前の歴史を素人レベルで書いているのは、珍しいこと。(日本とドイツは”世界大戦”で敵味方だったって、書いてあっても、そもそも、ドイツと日本が同盟国なの?敵は誰なの?なんて人がいっぱいいるわけですから)

「アジア・エクスプレス」は満鉄自慢でのちの新幹線のプロトタイプでもある特急「アジア」を舞台にしたスパイ同士の対決に全編を費やしているのだけど、派手な対決ではないので、これは元々のジョーカー・ゲームに一番近い作品です。1冊目あたりと比べて長めなので、主人公の心理描写や成長がしっかり描かれているのがいいです。

標題ともなっている「ラスト・ワルツ」は、結城中佐の意外なエピソードになっているのだけど、ラストのオチがですね・・・主人公の女性がD機関の仕掛けを読み解いちゃっているわけで・・・それってすごくない?とちょっと驚かされました。全編が彼女の一人称描写なので、致し方ないとはいえねぇ・・・

で「ワルキューレ」。冒頭から、日独スパイが派手なバトルをやらかして、挙句にD機関でご法度の「仲間を救うために自爆特攻」という描写があって唖然とさせられますが、これは映画のお話ですよと描写してから面白い一言があります。映画のスパイは現実と違って格好良いと言って「それは、観客の皆様がそうあってほしいと望むからです。そう、映画はあなたたちの物なのです。みなさん、ありがとうございました」と言ってしまうわけで、作中では「あなたたち」は映画の観客で、それに対して主演俳優が云うセリフですが、これを作者が映画製作者に向けていると読むとクスリと笑えます。なにせ、この作品は、舞台や小道具に映画が多数用いられ、ゲストにゲベルスやリーフェンシュタールが登場したり、フリッツ・ラングのネタがあったりと、ジョーカー・ゲームらしからぬ趣向が多いのは、本作が一種のセルフパロディだからだろう。ただ、出来自体は悪くない。(ちなみに、本作に盛り込まれた歴史や映画のネタは、分からなくてもストーリーには影響がないようになっている。ただ一つ言えば、ゲベルスはゲシュタポを動かせないはず。それは別の組織だから)

ちなみにというか、「ワルキューレ」で登場する日本大使って、別の話ではもっと茶化されていた気が・・・ドイツフェチでいいようにナチスドイツに利用されてた大島浩閣下のバカぶりは軍人が政治・外交に口出した最悪の事例であって、著者は軍人のバカっぷりを何度か揶揄してもいる。
それと、逸見は、田宮二郎がモデルでしょうね。ばたくさい二枚目で多数の浮名と金にルーズ、なにより役名がゼンで本名が五郎。これも珍しいネタふりだったなぁ。
ラスト・ワルツ Amazon書評・レビュー: ラスト・ワルツより
4041021375
No.2
(5pt)

待ってましたのシリーズ3作目。三話三様の緊迫感!

大戦への戦雲が垂れ込める中、日本陸軍の結城中佐が作り上げた諜報組織「D機関」の諜報員が暗躍を描くスパイ・ストーリです。シリーズ3作目となりますが、「ラスト・ワルツ」と、まるでシリーズの終焉を示唆するかのようなタイトルですが、この作品シリーズがまだまだずっと続くことを願っています。
 
本書は短編2話、中編1話で作られています。
それぞれの作品について、D機関の諜報員の暗躍を描きながらも、作品舞台、プロットの組み方、また、キャラクター設定が多彩であり、どのストーリもとても堪能することができました。
 
一話目「アジア・エクスプレス」
疾走する大陸鉄道の車中という、閉ざされた場所での、D機関の諜報員・瀬戸とソ連の暗殺者との一対一の肉弾戦。襲うか、襲われるかの緊迫感。D機関では、相手への攻撃は最終手段にせよと訓戒されているものの、車中でD機関の協力者が暗殺され、諜報員・瀬戸も追い詰められていく、非常に緊迫感に満ちた展開です。一撃必殺の反撃が繰り出せるかどうか、読んでいて息苦しくなってくるほどの緊張感に包まれます。

二話目「舞踏会の夜」
本書のタイトル「ラスト・ワルツ」は本作にちなんだものと思います。
本作の舞台は東京。この作品には、結城中佐自身が登場します。そして、ほんのわずかばかりの言葉を発します。心憎いのは「結城中佐」という文字が作品中では用いられず、この人物が結城中佐であることを間接的に表現することで、結城中佐の存在に巧みにベールをかけています。
物語は、華族出の貴婦人で、陸軍幹部を夫にもつ加賀美顕子の観点で展開します。かつて、顕子のピンチを救った男性への思慕と、組織間の内部紛争ともいえる諜報戦の絡ませ方が絶妙です。
また、昭和初期の開戦前の日本の状況の記述は大変趣き深かったと思います。
 
三話目「ワルキューレ」
日独防共協定を締結したにも関わらず、その直後には、日本にとっての不測の、独ソ不可侵条約の締結。日本とナチスドイツが協定を結びつつも、猜疑に満ちた不穏な関係であった時代のベルリンが舞台です。この当時のナチスドイツの扇動的な広報面、文化面での政策と、そして、ナチスドイツ支配下におけるドイツ国内の映画の製作現場とが、作品の背景として、リアルに描かれています。
スパイ映画のプロローグのような、冒頭のアクションシーンからグっと引き込まれました。
 
主な登場人物は、映画制作に情熱を傾けつつも、浮つき、派手に振舞う日本人映画スター・逸見。狡猾で横暴なナチス高官のゲッペル。そして、存在感を消しながら隠密裏、沈着に活動するD機関の諜報員・雪村。この3者が三すくみの状態でストーリーが展開していきますが、クライマックスに向かっての、諜報員・雪村の出し抜きぶりが痛快です。また、情報交換のためのスパイ同士の隠密ルールや、秘密道具の使い方がリアルに記されており、スパイにとって情報の入手がいかに巧妙、緻密に行われているか、スリリングに伝わってきます。
本作の最後に明かされる事実は驚愕の一言です。中編ならではの急展開として堪能できたような、あるいは、この背景をもっと詳細に書き込んで、長編として読んでみたいような、さらには続編を期待したいような、多様な思いをもちながらも、大きな満足感をもって読み終えました。
 
このシリーズの一作目「ジョーカー・ゲーム」が今年の5月に映画化されるとのことで、これもまた、大変楽しみです。
ラスト・ワルツ (角川文庫) Amazon書評・レビュー: ラスト・ワルツ (角川文庫)より
404104023X
No.1
(5pt)

待ってましたのシリーズ3作目。三話三様の緊迫感!

大戦への戦雲が垂れ込める中、日本陸軍の結城中佐が作り上げた諜報組織「D機関」の諜報員が暗躍を描くスパイ・ストーリです。シリーズ3作目となりますが、「ラスト・ワルツ」と、まるでシリーズの終焉を示唆するかのようなタイトルですが、この作品シリーズがまだまだずっと続くことを願っています。
 
本書は短編2話、中編1話で作られています。
それぞれの作品について、D機関の諜報員の暗躍を描きながらも、作品舞台、プロットの組み方、また、キャラクター設定が多彩であり、どのストーリもとても堪能することができました。
 
一話目「アジア・エクスプレス」
疾走する大陸鉄道の車中という、閉ざされた場所での、D機関の諜報員・瀬戸とソ連の暗殺者との一対一の肉弾戦。襲うか、襲われるかの緊迫感。D機関では、相手への攻撃は最終手段にせよと訓戒されているものの、車中でD機関の協力者が暗殺され、諜報員・瀬戸も追い詰められていく、非常に緊迫感に満ちた展開です。一撃必殺の反撃が繰り出せるかどうか、読んでいて息苦しくなってくるほどの緊張感に包まれます。

二話目「舞踏会の夜」
本書のタイトル「ラスト・ワルツ」は本作にちなんだものと思います。
本作の舞台は東京。この作品には、結城中佐自身が登場します。そして、ほんのわずかばかりの言葉を発します。心憎いのは「結城中佐」という文字が作品中では用いられず、この人物が結城中佐であることを間接的に表現することで、結城中佐の存在に巧みにベールをかけています。
物語は、華族出の貴婦人で、陸軍幹部を夫にもつ加賀美顕子の観点で展開します。かつて、顕子のピンチを救った男性への思慕と、組織間の内部紛争ともいえる諜報戦の絡ませ方が絶妙です。
また、昭和初期の開戦前の日本の状況の記述は大変趣き深かったと思います。
 
三話目「ワルキューレ」
日独防共協定を締結したにも関わらず、その直後には、日本にとっての不測の、独ソ不可侵条約の締結。日本とナチスドイツが協定を結びつつも、猜疑に満ちた不穏な関係であった時代のベルリンが舞台です。この当時のナチスドイツの扇動的な広報面、文化面での政策と、そして、ナチスドイツ支配下におけるドイツ国内の映画の製作現場とが、作品の背景として、リアルに描かれています。
スパイ映画のプロローグのような、冒頭のアクションシーンからグっと引き込まれました。
 
主な登場人物は、映画制作に情熱を傾けつつも、浮つき、派手に振舞う日本人映画スター・逸見。狡猾で横暴なナチス高官のゲッペル。そして、存在感を消しながら隠密裏、沈着に活動するD機関の諜報員・雪村。この3者が三すくみの状態でストーリーが展開していきますが、クライマックスに向かっての、諜報員・雪村の出し抜きぶりが痛快です。また、情報交換のためのスパイ同士の隠密ルールや、秘密道具の使い方がリアルに記されており、スパイにとって情報の入手がいかに巧妙、緻密に行われているか、スリリングに伝わってきます。
本作の最後に明かされる事実は驚愕の一言です。中編ならではの急展開として堪能できたような、あるいは、この背景をもっと詳細に書き込んで、長編として読んでみたいような、さらには続編を期待したいような、多様な思いをもちながらも、大きな満足感をもって読み終えました。
 
このシリーズの一作目「ジョーカー・ゲーム」が今年の5月に映画化されるとのことで、これもまた、大変楽しみです。
ラスト・ワルツ Amazon書評・レビュー: ラスト・ワルツより
4041021375