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(短編集)

レキシントンの幽霊



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【この小説が収録されている参考書籍】
レキシントンの幽霊
レキシントンの幽霊 (文春文庫)

レキシントンの幽霊の評価: 4.18/5点 レビュー 96件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.18pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全76件 41~60 3/4ページ
No.36:
(4pt)

純文学の世界観

物語の至る所に散りばめられた「アフォリズム」と「メタファー」。
どの短編も一見すると暗く悲しい話に見えるが、パラドックスに差別からの開放や究極の愛を仄めかしている。

特筆すべき点は構成の素晴らしさ。非科学な話が続いた後に現実的な話に落ち着く。それでいて、テーマはコミットメントしている。

「アフォリズム」なり「メタファー」なり、人それぞれが自由な捉え方をできる純文学のアメリカナイズがこの本にはある。
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No.35:
(4pt)

文章の上手さってあるよなぁと思わせられる。

学生時代に文学青年が一度は通る道、となった感のある純文学作家・村上春樹の短編集。

この人の作品はとかく長編がいろいろと取り上げられるが、
本当のよさは短編にあるんじゃないかと時々思う。
短編小説はいずれも日本語が抜群に美しい。読んでてうっとりとするほどに美しい。

僕はこの本を読んで特に強くそう思いました。
だって、きれいな日本語に感動したのは、いまのところ僕にとってはこの本だけなのです。
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No.34:
(5pt)

めくらやなぎの咲く季節に

めくらやなぎが咲く季節が近づいてきたこの頃は、この7つの短編集を読んでみるのがいい季節の巡り合わせ。表題作のほか、「沈黙」「氷男」「トニー滝谷」、そして「めくらやなぎと、眠る女」がいい。

 特に「めくらやなぎ・・・・・」はその後の「ノルウェイの森」につながるテーマなので、読み逃せない。「僕」のかつてのお仕事・広告代理店勤務がまたまた登場してくる。さらに高二の頃の思い出はムラカミ作品の重要なモティーフ。

 そういえばその昔、トニー谷っていうそろばん芸人がいましたね。
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No.33:
(5pt)

トニー滝谷

音と映像では、以前じゅうぶんに楽しみました。

「記憶は風に揺らぐ霧のようにゆっくりとその形を変え、形を変えるたびに薄らいでいった。」
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No.32:
(5pt)

孤独を描いた短編集

これは孤独を描いた短編集である。孤独というものの姿をくっきりと描こうとした作品集である。絶対的な孤独、純度の高いしんと静まりかえった孤独。そんなものを描いて何になるのか。全く何にもならないだろう。だが、それは描かれねばならない。
 「緑色の獣」のように、現実離れした設定で戯画的に描かれることもあり、「レキシントンの幽霊」「7番目の男」のように写生的に描かれるものもある。「めくらやなぎと、眠る女」のように極小の孤独として磨き出されることもあり、「トニー滝谷」のように普遍的な形で描出される場合もある。
 これらあらわにされた孤独の姿は、村上の見事な手さばきを読者に知らしめる。それに何の意味があるかと問われれば、沈黙で答える以外にない。オリンピックの超絶も、人間国宝の神技も、意味や理由の外に存在するではないか。
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No.31:
(5pt)

彼だけ

物語に、序破急は必ずしも、必要ない。

 読中読後に、自身が内包されている世界の、時の刻み方、

密度といった基調が揺らぎさえすれば良い。

 そんな、自身の感覚が澄む、少し憂鬱な気分を与えてくれるのは、

彼だけ。
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No.30:
(5pt)

魂の救済、そして光の射す方へ

村上春樹90年代の短編集。
「レキシントンの幽霊」「緑色の獣」「沈黙」「氷男」「トニー滝谷」「七番目の男」「めくらやなぎと、眠る女」以上7つの短編が収録されている。
タイトルを見ればわかるとおり、いずれも村上春樹的個性を持った素晴らしい作品ばかりであるが、特に注目に値するのは「沈黙」と「七番目の男」だろう。

「沈黙」では、とある事件をきっかけにクラスメイトから無視されるようになった少年の苦悩を描く。彼はいかにしてクラスメイトからの突然の黙殺という仕打ちに耐え、それを乗り越えていったのか。

「七番目の男」の主人公は、少年の頃に親友と海を見に行くが、突然の大波に親友をさらわれてしまう。迫りくる大波から親友を助けることができたかも知れないのに、彼は恐怖にかられて自分だけ逃げてしまった。以降、彼は波の恐怖と自責の念にさいなまれながら生きていくことを強いられる。

この2つの短編に共通しているのは希望が明確に描かれていることだ。いずれの主人公も最終的には困難と和解し、精神的な救済を得る。
短編長編にかかわらず、村上氏がここまで明確に希望へとその舵をきったことはなかった。
そして、この作品から10年たった今、この2つの短編は氏が今後進んでいく方向を予告していたと言える。
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No.29:
(5pt)

いたぶり方が…

「緑色の獣」に関して…『ねえ獣、お前は女というもののことをよく知らないんだ。そういう種類のことなら私にはいくらだっていくらだって思いつけるのだ。』…ぶ、ぶっ飛んでいます。そしてやられっぱなしの緑の獣は可哀相だけど確かにキモイです。やめてやめてと言いながら反撃もせず逃げもせず、ただただ主人公の攻撃を喰らっているその様はSとMの関係にも似ていますが、微妙に異なるような気がします。
ぱっと連想したのは「ジョジョの奇妙な冒険」のジョルノ編で出てくる本体の無いスタンドを、スパイスガールズがクローゼットの中にあった衣文賭けのポールでなぶり殺すシーンでした。
いやー、どっちも気持ち悪いなあ。もう忘れよう。
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No.28:
(4pt)

風呂でも読める

例によって不思議な、空想的な話が七編。少し恐いテイストの話(「氷男」等)もあるが、基本的にどれも軽く読める。風呂に入りながら、空いた時間にさらっと読める。読後感も良好。
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No.27:
(4pt)

主人公がいつもの村上さんの長編みたいじゃなくていろいろいる

短編だ。
村上さんの短編はどれをとってもクオリティが高い。
もともとこの人は短編むきの作家なのではないかと思うほどだ。
本人は長編作家と名乗っているのだが。
しかし「めくらやなぎと、眠る女」を読めばわかるように短編を長編につなげていくのが得意だ
(作業的にはその逆かもしれないが。)
表題作含む七つの短編がおさめられている。
表題作は読めばわかると思うが村上春樹氏本人であるとしか思えない(笑)
全体的に、あんまり春樹さんっぽくないような話に感じる。
むろんけなしているわけではない。
ただ、主人公がいつもの村上さんの長編みたいじゃなくていろいろいるから、そう感じるだけなのだろう。
どれもがユニークで、どれもが観念的で、どれもが思わず深読みしてしまうタイプの話だった。
個人的に好きなのは『氷男』である。
響き的にも『羊男』みたいだし、「結局お前、なんなのよ?」という感じの存在だからだ。
あと、この作品はけっこう難解だったというのもある。
もちろん村上さんの著作だから平均点はかなり高いのだが、それでも『パン屋再襲撃』にはかなわないかな。
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No.26:
(4pt)

うまく説明できないけど、わかる気がする。

「あのとき、なぜあんなことをしてしまったのか?」「なぜ、もっと別の対応ができなかったのか?」と後になってから思うことって、誰にでもあると思う。些細なことだけど、決定的に取り返しがつかないこと。
 
 それでも、(本当の意味では取り返しはつかないのだけれど)何かの拍子に別の形で救われることもあるし、ダメだといって後悔ばかりしていても仕方ない。

 そんなことを感じさせてくれる短編集。

 個人的には「氷男」が一番好き。一度、氷男に会ってみたい。
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No.25:
(4pt)

硬質の薄氷のような感覚

全編通して感じられるのは「孤独」。
人は完全にひとりで生きることはできない。必ず誰かと関わって 生きていくことになる。
それにも関わらず、完全に誰かを理解し、分かり合うことなどできないという「孤独」。
一緒に生きているからこそ感じる「孤独」。そういったものがどの作品からも感じられた。

感じるのは硬質の薄氷のようなもの。
透明で透けていていくらでも人を近くに感じられるけれど、触れることはできない。
そういった感覚。

特に「トニー滝谷」から発せられる孤独感は強い。
この作品のラスト一文の寂しさに読み終わってしばらくは呆然と過ごした。
「レコードの山がすっかり消えてしまうと、
 トニー滝谷は今度こそ本当にひとりぼっちになった。」
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No.24:
(5pt)

濃い凄さ、というか。

この本は薄い。文庫本コーナーでも目立つほどの薄さだ。ただ、これを読み終えた後ならば、この薄さがそのまま満足に代わる筈である。そう、この短編小説集は、とにかく内容が濃い。かと言って読み難い訳でもなくスラスラと読める、それがこの本一番の個性だと思う。
どの短編も独自の味があり、かつ読み易い。簡単に読めるのに、読み終わると読書の醍醐味とでも言うべき感動がしっかりと存在しているのである。孤独という、心を抉る様なテーマを共通させながらそれを達成出来た事が、そのまま村上春樹の才能と能力を代弁している。

少し褒めすぎたかもしれない。しかし、これほどクオリティの高い短編小説集は、世界でも稀だと思う。普段本を読まない人にこそ薦めたい一冊である。収録された短編の中では、個人的には「氷男」の寓話性と残酷な結末が、印象として最も強烈に残っている。
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No.23:
(4pt)

本当に怖いものは身近にある・・・

どれも不思議な雰囲気を持った話だった。読めば読むほど味わいがあるが、

同時に得体の知れない怖さも感じる。読んでいると、深い闇の底を覗き

込んだときのような不安や恐れが迫ってくる。どの話も面白いと思ったが、

一番印象に残ったのは「沈黙」だった。人の悪意ほど恐ろしいものはない。

一人の人間の悪意が多くの人たちを動かしていく。そしてその悪意が特定の

人間に向けられたとき、悲劇が始まる。決して物語の世界だけのできごと

ではない。いつ自分の身に起こるか分からないできごとなのだ。最後に

大沢が語る言葉が切実に胸に迫った。本当に怖いものはすぐ身近にあるのだ。
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No.22:
(4pt)

春樹の短編

言わずと知れた村上春樹の短編集です。

私はどちらかといえば春樹氏の短編の方が好きですね

さらっと心に刺さりますから。

10代の頃にはわかりませんでしたが、歳を重ねるごとに春樹氏の小説の深みが分かってきた気がします。
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No.21:
(5pt)

「トニー滝谷」は宮沢りえのイメージが邪魔をします

著者は一人の男に焦点を当ててその男の苦悩を書く作品が少ないですね。「沈黙」と「7番目の男」は一人の男の孤独な闘いを描いた作品です。「沈黙」ではクラスメイトに「7番目の男」では幼い日の体験に、日常生活もままならぬところまで追い詰められます。けれどももう限界かと思ったところで今まで気がつかなかったひとつの真実に気がつきます。主人公が一歩前進したことで、こちらまで一緒に救われてうれしい気持ちになります。

 「緑色の獣」はおかしくも哀しく、これもいいです。
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No.20:
(5pt)

人生に対する信頼のようなもの

久しぶりに読み返してみると、標題の「レキシントンの幽霊」や「沈黙」「トニー滝谷」「七番目の男」といった短編が、短く、しかし深く、それぞれが孤独というものに繋がっていることに気がつきます。「沈黙」では大沢さんは半年間、高校のクラスで無視され続けます。「トニー滝谷」は家族を失くし、死んでしまった妻の洋服と亡くなった父親のレコードも売ってしまい、がらんとした家でひとりぼっちになります。「七番目の男」が年少の頃、失くした親友を思っていた四十年間、抱いていた思いは孤独以外の何ものでもなかったのでしょう。

しかし、大沢さんは、人間の「深み」に対するプライドで、辛い高校生活をしのいでいきます。「七番目の男」は人生で一番怖いものは恐怖そのものでなく、「恐怖に背を向け、目を閉じてしまうこと」であり、そうしないと「自分の中にあるいちばん重要なものを何か譲り渡してしまうこと」になると、四十年間たたえてきた孤独の原点にあったもの、恐怖を語ります。

孤独を感じ、孤独にどう向き合っていくか、この短編集にある村上春樹は人生に対する信頼のようなものを感じさせながらも、冴え渡るメスは人生に鋭く切り込んでどこか冷静です。
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No.19:
(5pt)

レキシントンの幽霊は良い短編だとおもうけど

数年振りに、村上春樹の小説を読んでみた。

小説というものは、エンターテイメントとして楽しむものから、読者に物の価値観を変えてしまうものまで様々ありますが、村上春樹を読むと心の中がしんとなり、落ち着いた穏やかな気持ちにさせてくれる。そこには少し寂しさが共存しているのだが。

本作も、夜中に好きな音楽を小さめにかけながら読むのにふさわしい作品でした。

村上春樹は有名になりすぎて、割と読者は好き嫌いが激しいようですか、嫌いな人も短編なんで読んでみてください。

あと、表題作「レキシントンの幽霊」なかなか良い小説でした。
あれは、事実という名を付けた小説だと思います。
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No.18:
(4pt)

粒ぞろいの短編集

宮沢りえ・イッセー尾形主演で映画化された「トニー滝谷」。

全国学校図書館協議会から単独でも出版されている「沈黙」。

また「めくらやなぎと、眠る女」に関しては、新たに書き直されたものなので、

村上春樹氏の思い入れも強い作品だと思います。これは海外でも何か賞を獲りましたね。

実は、これが村上春樹氏の短編集初体験でしたが、

短編には、短編にしか持つことのできない味があるのだなと思いました。
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No.17:
(4pt)

長編との比較

私個人的には村上氏の長編の方が好きですが、こちらの短編集も悪くない。やはりどことなく暗い印象は変わりません。主人公の内面を巧みに描く心理描写のうまさと、それらを周囲の環境との兼ね合いで象徴的に描く手法は、変わりませんでした。

 暗いと一言で片付けられるものではありませんが、「人間」というものの本来持っている孤独や毒と、現代における社会という眼からの監獄のごとき圧力を表現しているからなのかもしれません。それでも国境を越えて多くの人に読まれているのは、人間の否定的な部分と、生きる意志のようなものが見事に融合しているからだと思います。

 短編集だからと軽い気持ちで読んでしまうには勿体無いが、長編のような迫力をを期待して読んでしまうと、どこか物足りない感じを受ける、そんな感じでした。

 個人的には『緑色の獣』が描く、人間の暴力性、排他性といった世界観が多くを考えさせられ、小説というフィクションの枠組みにおさまりきらない文章が好きです。
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