誰よりも狙われた男

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

誰よりも狙われた男の評価:

3.50/5点 レビュー 20件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.50pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全24件 21〜24 2/2ページ
No.4
(5pt)

5つでも足りないくらい面白く、切ない!

いやあ、巨匠健在です!
他の方も仰せのとおり、故フィリップ・シーモア・ホフマン主演の未公開映画の
原作と知って、俄然興味をひかれて手にとったが、これは面白かった。
先日の記録的な雪の週末、一気に読み切ってしまった。

舞台の良さ(ハンブルク)、ドイツ、イギリス、アメリカの諜報組織と、
かつてのソ連赤軍&ロシアマフィアが絡み合う構成の巧みさ。
このあたりは、ル・カレにとってはもちろん自家薬籠中のものだろう。

だが、20世紀の冷戦時代が過去のものになりながら、“国際テロリスト”
という新たな標的の前で、21世紀のいま過去と同じように、
国益なのかメンツなのか、エゴと野心をむき出しにする諜報員たちの個性
(ドイツ人はドイツ人らしく、英国人、米国人はまさに彼等らしく!)
を活写する筆力には、恐れ入るしかない。

とくに、ドイツ諜報組織内部の対立と、イギリスのやり口のイヤらしさは、
読み手の肺腑をえぐる(彼らを出し抜くもう一つの大国の野蛮さに憤る以上に!)。

さらに、女性主人公(慈善団体の弁護士)の造型のみずみずしさ。
彼女に惹かれていく銀行経営者の人物像の愛すべき愚かさ。すばらしい。

そして、チェチエン人青年の発することばの切なさ。
ここに、訳者の日本語力がもっとも発揮されていると言えるかも知れない。

その、非欧米的な発想と発言に、ドイツ人の弁護士だけでなく(疑似欧米人の)
われわれ読者もとまどい、いらだちを感じながら、最後まで関心が途切れない。
善なのか悪なのか、無垢なのか有害なのか、最後まで。

なお、邦題はスパイ小説の巨匠のために用意された「いかにも」のタイトル。
とくに悪いとは思いませんが、原題の“A Most Wanted Man”の含意にしびれます。

最後に、グッときた(いくつもある章句のうち)一節を引用します。
「すべての宗教は悪人による誤用から逃れられない。
多様性は神がわれわれに授けたものであり、われわれはそのことを称えるべきである」
(本書p.279)
誰よりも狙われた男 Amazon書評・レビュー: 誰よりも狙われた男より
4150413142
No.3
(5pt)

5つでも足りないくらい面白く、切ない!

いやあ、巨匠健在です!
他の方も仰せのとおり、故フィリップ・シーモア・ホフマン主演の未公開映画の
原作と知って、俄然興味をひかれて手にとったが、これは面白かった。
先日の記録的な雪の週末、一気に読み切ってしまった。

舞台の良さ(ハンブルク)、ドイツ、イギリス、アメリカの諜報組織と、
かつてのソ連赤軍&ロシアマフィアが絡み合う構成の巧みさ。
このあたりは、ル・カレにとってはもちろん自家薬籠中のものだろう。

だが、20世紀の冷戦時代が過去のものになりながら、“国際テロリスト”
という新たな標的の前で、21世紀のいま過去と同じように、
国益なのかメンツなのか、エゴと野心をむき出しにする諜報員たちの個性
(ドイツ人はドイツ人らしく、英国人、米国人はまさに彼等らしく!)
を活写する筆力には、恐れ入るしかない。

とくに、ドイツ諜報組織内部の対立と、イギリスのやり口のイヤらしさは、
読み手の肺腑をえぐる(彼らを出し抜くもう一つの大国の野蛮さに憤る以上に!)。

さらに、女性主人公(慈善団体の弁護士)の造型のみずみずしさ。
彼女に惹かれていく銀行経営者の人物像の愛すべき愚かさ。すばらしい。

そして、チェチエン人青年の発することばの切なさ。
ここに、訳者の日本語力がもっとも発揮されていると言えるかも知れない。

その、非欧米的な発想と発言に、ドイツ人の弁護士だけでなく(疑似欧米人の)
われわれ読者もとまどい、いらだちを感じながら、最後まで関心が途切れない。
善なのか悪なのか、無垢なのか有害なのか、最後まで。

なお、邦題はスパイ小説の巨匠のために用意された「いかにも」のタイトル。
とくに悪いとは思いませんが、原題の“A Most Wanted Man”の含意にしびれます。
誰よりも狙われた男 (ハヤカワ・ノヴェルズ) Amazon書評・レビュー: 誰よりも狙われた男 (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152094214
No.2
(5pt)

揺るぎない説得力と米英の傲慢さを暴き出す傑作!

ル・カレの作品の中では比較的短めで、展開も文章もわかりやすいエンターテイメント。
 人物も魅力的な善人が多く登場し、特にドイツのスパイたちは、かつてル・カレのスパイ小説を彩った往年のメンバーたちを彷彿とさせる。
 舞台もドイツのハンブルグということで、70年代の冷戦時代のノスタルジックな雰囲気を醸し出していて嬉しい。
 が、相変わらずスパイ同士の会談は息もつかせぬほどスリリングで、物語の後半に進むに従ってページを繰る手を休ませない。
 クライマックスは「寒い国からきたスパイ」に似て、いつもながら一筋縄にはいかないほろ苦さとシニカルさに満ちている。
 今回のテーマは、大国が掲げる「テロとの戦い」という疑心暗鬼の暴走が、無実の人々とその良心を蹂躙していく様をリアルに描くことにある。
 主人公たちの出自や葛藤は、非常に今日的でドキュメンタリーのように説得力があった。
 今年公開の映画では銀行家が私の好きなウィレム・デフォー、ドイツのスパイを先頃亡くなったフィリップ・シーモア・ホフマンが演じており、監督はアイルランドのバンドU2の写真やヴィデオでおなじみのアントン・コービンだという。1日でも早く日本で公開されることを願っている。
誰よりも狙われた男 Amazon書評・レビュー: 誰よりも狙われた男より
4150413142
No.1
(5pt)

揺るぎない説得力と米英の傲慢さを暴き出す傑作!

ル・カレの作品の中では比較的短めで、展開も文章もわかりやすいエンターテイメント。
 人物も魅力的な善人が多く登場し、特にドイツのスパイたちは、かつてル・カレのスパイ小説を彩った往年のメンバーたちを彷彿とさせる。
 舞台もドイツのハンブルグということで、70年代の冷戦時代のノスタルジックな雰囲気を醸し出していて嬉しい。
 が、相変わらずスパイ同士の会談は息もつかせぬほどスリリングで、物語の後半に進むに従ってページを繰る手を休ませない。
 クライマックスは「寒い国からきたスパイ」に似て、いつもながら一筋縄にはいかないほろ苦さとシニカルさに満ちている。
 今回のテーマは、大国が掲げる「テロとの戦い」という疑心暗鬼の暴走が、無実の人々とその良心を蹂躙していく様をリアルに描くことにある。
 主人公たちの出自や葛藤は、非常に今日的でドキュメンタリーのように説得力があった。
 今年公開の映画では銀行家が私の好きなウィレム・デフォー、ドイツのスパイを先頃亡くなったフィリップ・シーモア・ホフマンが演じており、監督はアイルランドのバンドU2の写真やヴィデオでおなじみのアントン・コービンだという。1日でも早く日本で公開されることを願っている。
誰よりも狙われた男 (ハヤカワ・ノヴェルズ) Amazon書評・レビュー: 誰よりも狙われた男 (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152094214