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飛騨忍法帖
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飛騨忍法帖の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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忍法帖長篇の第3弾。1986年に角川文庫から出たとき「軍艦忍法帖」と改題されたが、その後、元タイトルに戻っている。これは解せない。 飛騨はこの物語に一回も出てこないし、このタイトルでは舞台が幕末動乱期の江戸・京都とは想像がつかない。主人公の忍者が飛騨忍法出身というだけで、それ以外は飛騨とする理由がない。 「軍艦」なら、狂言回し役の勝安房守が軍艦奉行だし、幕末~明治維新のイメージも出る。終幕のハイライトは、江戸城明け渡し後、函館へ脱走してなおも抵抗しようとする品川沖の幕艦〈渦潮〉上で演じられる。 軍艦がだめなら「幕末忍法帖」でもよかった。時代設定は文久2年/1862年から元治、慶応を経て明治元年までの7年間だ。 幕末の政局は錯綜しているが、風太郎は勝海舟と小栗豊後守(のち上野介)の対立という軸を置き、これに沿ってきれいに整理している。この史実の隙間に創作キャラを巧みに挟み込んで流れに乗せ、史実に矛盾しない形でもう一つの物語を紡いでいく。 登場する実在キャラは前述の勝、小栗のほか、講武所奉行・酒井壱岐守、清川八郎、芹沢鴨、ちょい役で坂本龍馬、勝と龍馬が下働きに使う岡田以蔵など。創作キャラは主人公の飛騨忍者・乗鞍丞馬、男谷道場高弟で勝の砲術訓練所や海軍操練所に属する5人の旗本が敵役、そしてヒロインは酒井壱岐守の娘・美也。 美也は勝と小栗の抗争に巻き込まれ、夫の仇の旗本5人衆と戦うなかで政局とともに江戸、京都を転々とする。美也の忠実な僕となった丞馬は、驚異の飛騨幻法を駆使して5人衆を追いつめ次々と殺していくが、美也への想いが強まると幻法が破れて危機に陥る。 最後の一人を〈渦潮〉上に追いつめた丞馬だったが、そこで美也の心変わりを知らされて術が破れ討たれる。しかし断末魔の力を振り絞って発動した最後の飛騨幻法により〈渦潮〉は轟沈する・・・。 忍法帖の作法通り、主要人物が死に絶えて物語が終わるが、このラストは風太郎独特の耽美的なものではなく、むしろダイナミズムを強調しており、「戦艦陸奥」の結末部を思い出した。 主人公・丞馬の性格設定は忍法帖としてはかなり異色。ダークで屈折しており、無惨非情の殺しを平気で行う。妖人に近いキャラだ。ヒロイン美也の性格設定も複雑で、揺れ動きつつ主人公から離れて変心してしまうところなど、「ラスプーチンがきた」のヒロイン雪香を思わせる。 | ||||
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軍艦忍法帖のタイトルを改めた作品ですので、そちらを読んだことのある方はご注意を。私は気付かず買ってしまいました。 | ||||
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幕末、飛騨幻法を操る忍者が駈ける。 今回の敵は検士や忍者ではなく、大砲や鉄砲の近代兵器群。 いや、ほとんど、時代の流れそのものが、主人公に敵対する。 勝海舟、芹沢鴨、人斬り以蔵ら幕末の有名人が多数登場。 四つ星としたが、他の忍法帖作品とのバランスを考えてのこと。他の作家なら、五つ星をつけていただろう。 それくらい、山田風太郎は打率の高い作家だと思う。 | ||||
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