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(短編集)
空飛ぶ広報室
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空飛ぶ広報室の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全136件 121~136 7/7ページ
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作中に登場する名前、「スピットファイア」が何であるか分かる。「フォッカー」も「メッサーシュミット」も知っている。F2やF15と言われてその形が思い浮かぶ。従って少なくとも「自衛隊に何の関心もなく、知識もない」(p31)一般人ではない(できればF16も登場させて欲しかった)ので、実に面白く一気に読めた。それどころか読み終えてもう一度始めから読み直したくらいである(嘘ではない)。リアルな人物像とか性格付けとかどうでも良い。有川作品の水準は軽々とクリアしているし、ここで主人公が自衛隊の存在意義に悩んだりするほうがむしろ鬱陶しい。ブルーインパルスが蒼穹に描く軌跡のように、すっきりとした読後感が好ましい(「あの日の松島」も含めて)。それゆえ、この組織には付きものかつ避け得ない「人殺しのための機械」(p36)という言い方であるとか、某大新聞の大好きな「今にも世間に軍靴の音が聞こえてきそうである」(p334)というクリシェにもきちんと触れつつ、しかし拘らずさらりと流すため重くならずに済んでいる。 テンポの良い会話が物語の推進力となるのが有川作品の特徴だが、本書には『図書館戦争』ほど個性的なキャラクターが揃っているわけではないし、『阪急電車』などのように格好良い老人が登場するわけではない。のだが、鷺坂室長だけは際立っている。その言動が、ゆうきまさみの漫画『パトレイバー』に登場する特車二課の後藤隊長(そしてこちらは警察官だ)とダブって仕方がなかったことを告白しておく。 ところで『図書館戦争』『県庁おもてなし課』『空の中』などの作品群へ、この『空飛ぶ広報室』を追加してみると、この一連の作品は眉村卓が「司政官シリーズ」で目指したいわゆる「インサイダー文学」の今日的な形態であるように思えてくるのである。 | ||||
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軽快なテンポで進んでいく話のなか、自衛隊なる組織も一般企業と同じように、普通の人たちの集まりであることが分かる。これは、いい意味であって、まさに等身大の自衛隊というものを描いている作品だと思う。読後は、自衛隊への親近感が増し、思わず、自衛隊組織について、あれこれと調べていた。 航空自衛隊の戦闘機乗りとしてブルーインパルスのパイロットを目指し、日々鍛錬していた主人公だが、不慮の事故に遭い、不本意ながら広報室に回されることになる。こうして夢への道を閉ざされた主人公の前に現れたのが、取材を申し込んできたテレビ局の女性ディレクター。しかし彼女は、自衛隊に関して無知どころか、悪意さえ抱いていた。「戦闘機は人を殺す機械。だから、それに乗っている人も人を殺したいと思っている」と、こんなことすら口にする人物だ。そうした二人が、互いに影響を受けつつ人間として成長していく姿が丹念に描かれており、その過程は、実に清々しく、素直な気持ちで応援していた。控え目ながら恋愛ストーリーも含まれていて、それも物語の幅を広げる要素となっている。 この著者らしく、作中の会話は軽妙で、登場人物たちの表情がありありと浮かんでくるようだった。また、引き付けられるのは文章やストーリーばかりではなく、著者の訴えんとすることが随所に見られ、そのメッセージもびしびしと伝わってくる。特に、書き下ろしの章「あの日の松島」(3.11の震災で大きな被害を蒙った航空自衛隊松島基地のこと)は、現場自衛官たちの奮闘する様子がリアルに描写されていて、自然と、あの当時を思い出し、目頭が熱くなった。それから、あとがきも素晴らしかった。 460ページという厚めの本だったが、登場人物のキャラクターが魅力的で(一部キャラが立ち過ぎという人物がいたものの)、まったく飽きることなく、最後まで読み通すことができた。 自衛隊というものを、ハードボイルドやSFチックではなく、普段の姿でとらえたこの作品。これを読めば、著者に対し、さらに自衛隊ものを書いて欲しくなる。 | ||||
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阪急電車以来大ファンです。 作者が登場人物を愛しているのがとてもつたわってきます。自衛隊については震災時から気になっていました。小説の題材になるんだろうかと思いましたが、有川さんにかかるとこうなるんですね。 作品は、一人の自衛隊広報官の成長過程を周囲の個性あふれた人々とともにつづられています。皆、抱えるものがあって、それぞれの思いを胸に生きている。過去には戻れない、やり直せない、でも前を向こう!さくひんは、そう語りかけてくれますよ。 | ||||
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462Pと結構分厚いのに、早々に読み終えてしまいました。面白くて(笑) 有川さんは、自衛隊のストーリーが得意なんですが今回のはモロ自衛隊!というのではなく、広報室(自衛隊を広く知ってもらう、一般人の知識と実際の違い)という観点で書かれていて、とても勉強になりました。自衛隊としての規制と、自衛官の人としての気持ちとかを感じました。3.11震災の松島の話も追記であって、で今頃の発行となったようです。マスコミの偏った情報で考えがちな、自分の自衛隊のイメージをちょっと見直そうと感じた作品でした。とっても良かった。 | ||||
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操縦学生上がりのパイロットが交通事故のためP落ちし、それまでの経験を生かすべく広報業務に振り込まれ対外調整の難しさと広報の難しさを覚えていく課程で報道の前線から外されてきたディレクターとのやりとりを有川ワールドで軽妙なタッチの中に日頃表には出てこない自衛隊の内部と昨年の大震災における隊員の活動とそのような状況下における心情を描いた本で現役時代と重ね合わせながら感慨深く読ませて貰いました。 ちなみにパイロットコースからドロップアウトすることをP落ちとかP免と言い、我々の時代(昭和40年頃)にはPになりたい者はおおぜいいたので、あのころはふるい落とすためにやっているのではと思うほど厳しいものでした。 そのため落ちた者は荒れたもので自分も一般大学卒業の部外(自衛隊内では防大生徒と区別するための呼称でB幹部と呼ばれた)のため目標を失って幹部候補生学校の1年間は斜に構えて区隊長(出世して航空幕僚長にまで上り詰めた方ですが)の言うことも受け流すような態度で過ごしたことを思い出しました。 ただ、自衛官としてはこの本で書かれているように有事のために役に立つと言う考えだけで部隊配属後は退官まで過ごしてきました。 昔から軍人は思いきり甘やかされているか無視されているかのどちらかだと言われています。 世の中平和で安全な社会であればあるほど無視されることになりますが、平和であるのならば無視されている方がよいと常々思っていました。 ただ、平時から訓練されていなければ有事には何も出来ないのは自明の理であり即応態勢と技術革新には努力したつもりでしたし、この本で有事に際した自衛官の一般的な心情を紹介していただき有り難うございました。 ですが個人的に言わせて貰うと、そういう意味から自衛隊が積極的に広報することには若干の抵抗があります。 男なら黙ってやってろですかね。 | ||||
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自衛隊の人たちが受けている扱いが、こんなにも過酷なものなんて知りませんでした。 有事に助けてくれるのは彼等なんだということを、もっと気付いてくれるひとがいるといいなと思いました。 有川さんの描く人物が大好きです。 今回は鷺坂さんにホレました!! | ||||
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図書館戦争からの有川浩ファンで、彼女の作品は全て読ませて頂いていますが、この作品は泣けます 自衛隊員の方々の覚悟というか想いがしっかりと表現されていて、フィクションなのにノンフィクションのドキュメンタリーを読んでいるかのようです この作品を読んでの感想は「被災者であることに甘えない自衛隊の使命感」 お勧めです | ||||
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かつて「県庁おもてなし課」で、世間一般の地方公務員に対する見方に反論(地方公務員にもきつい見方だが)、今回は日本のお花畑脳の連中、憲法9条至上主義者に白眼視されている航空自衛隊に焦点を当て、 そこで精一杯働く人たちに温かい目を注いでいるのが、非常に共感を覚える。 もちろん、憲法9条至上主義者には生理的にこの作品は受け入れられないかもしれないが、その人たちも何によって外国の脅威(特に日本の周囲は火事場泥棒的な国ばかり)から日本が守られているか、自分で考えたら良い。でも、教条的な自衛隊フォビアにはそういうことを考えることは出来ないでしょうね。 さて、思想的なものは別として、作品内容でいえば、有川節満開の作品である。多少次の展開が読めるとしても,それはいやな展開ではなく、やっぱり良い結果になったかという心地よいカタルシスを与えてくれる。文句ない快作、傑作である。 有川浩には、おどろおどろしいもの、沈鬱なものは他の作者に任せ、この路線で人の心を温め続けて欲しい。 | ||||
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陸、海、空の自衛隊とは何だ?ネタばれします。 近代装備を持っているが、専守防衛で相手が発砲するまで撃てない張り子のトラ? 戦争屋?でも災害救助もしてるよね! 有川浩が書く自衛隊は、丁寧で且つ自衛隊に媚びてるわけでもなく正しい情報を伝えてくれる。 スキャンダルや視聴率狙いのマスコミにも、突っ込む。 戦争反対の意志が強すぎて、遠回しに自衛隊を悪者だと刷り込んできた大人や教師にも注意を促す。 自衛隊だけでなく警察や消防や海上保安庁なんかもきっと同じ思いだろう。 自分の荷物を減らして、被災者なのに救援物資を受け取れない同僚に生理用品を届けるなんて、思いもよらなかった。 燃料を節約して住民に温かい食べ物を食べる為に、冷たい缶飯を食べてたなんて。 「国民を守る」ことがそこまで徹底されてるなんて、言われればそうだが、気付かなかった自分が恥ずかしい。 存在してくれてありがとうございます。 軽快に述べられてるが、自衛隊の方々が偉いという事もありますが、自分は今まで何を見ていたんだろうと気づかされました。 自分があまりにも何も見えていない事は充分恥ずかしいですが、爽快な気分で読み終えることが出来ました。 | ||||
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思い出したのは学校の掲示板に貼られた自衛隊の採用案内ポスター。 大きく貼られたそれを見て、「『自衛隊なんて』誰が応募するんだろう」と失笑交じりに、そのスペースを無駄と感じたこと。 そうやって自分と違う価値観をないものとした自分を、今更恥じました。 私は正直自衛隊について何も知りません。この小説を読み終えた今もあえて自分から調べるまではしないでしょう。この場で新しいタブを開き検索をかければ、少しでも知ることができるのに!この小説に心動かされ、こんなふうにレビューを書いても尚、自衛隊にそこまでの興味は湧かない自分が居ます。きっと私以外にもたくさん居ます。まだそんな私たちにとって『自衛隊』は遠い、記号のままです。それを『彼らに』申し訳なく思います。 けれどその代わり私は、有川さんに興味を持ちました。「自衛隊のプロパガンダ」と言われる可能性を知った上でこれを書いた有川さんは、どうして彼らに興味を持ち、キーボードを叩くのだろうと考えました。その考えを知りたいと、理解したいと思いました。 そうやって私はすごく婉曲的で、些細で申し訳ないながらも、『あなたたち』に興味を持ちました。この遠い関心がどこまで『皆さん』に近づけるか私にもまだわかりません。でも私はこのページと同時に『新しいタブ』を開き、『有川浩』を検索しています。 その間接的な興味が、本当に些細な関心だけど、この小説に協力した航空自衛隊員広報室の『皆さん』の「達成感という報酬」に影響できれば嬉しいと、おこがましくも思ってこのレビューを書きました。本当におこがましいんですけど(汗) なんだか勢いで書いたので支離滅裂ですが、素直な感想です。 最後に。 まだ読んでない人もぜひ読んでみてください! この作品をどうとらえるかは賛否両論で色々な意見があると思いますが、こういう作品を一切発表できなくしたらそれもまた「プロパガンダ」だというのが私の一意見です。だからこれからも有川さんにはこういうお話を書いてほしいと思います。 星を1つ減らしたのは、例えば柚木さんの過去の所を、もう少し詳しく生々しく書いてくれていたら、もっと人間味が増して、彼らを近くに感じれたかもと思ったので。 | ||||
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有川浩という作家はライトノベル作家ではあり、とてもリーダビリティの高い文章を書くため、とっつき難いテーマでもサラリと読めてしまう。この本のテーマは甘い恋愛ではなく、自衛隊の存在。それを軽やかな文章で綴る。そして相変わらず憎らしいほど爽やか。有川浩の作品としてはメッセージ性は強い作品で、自衛隊のコマーシャル的な内容でもあるが非常に好感が持てる。いろんな人にお薦めしたい。 もともと2011夏に出版予定であったが、東日本大震災の影響もあり、最後に書き下ろしエピソードが追加され2012夏にっ出版の運びとなったらしいが、これも必読。とても自衛隊のことを考えさせれる。 | ||||
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主人公は不慮の事故でパイロット資格剥奪された空井。 パイロットでなくなった彼が配属されたのが航空幕僚監部広報室だ。 そこで空井がアテンドを任されたのは、記者からディレクターに異動させられたばかりの稲葉。 夢を断たれた2人が、自分の立ち位置を見直し、新しい目標を見つけ、プロとして成長していく物語である。 ほの甘いラブ要素は控えめぐらいでちょうどいい。この物語は甘すぎないところが逆にいい。 だって、「普通の人たち」の物語なのだから。 目次を見て、ああやっぱり、と思った。 「あの日の松島」 それを書く作家は有川さんしかいないだろうし、有川さんなら書かないわけがない。 支援者支援の視点から自衛隊の中でもケアは必要であると意識されているが、助けに行くのは得意でも、自ら助けを求めるのが苦手な文化の人たちだと思う。 でも、彼ら自身、傷つきもするし、疲れもする「普通の人たち」であることを忘れないでほしいなぁ。 | ||||
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有川先生のフィールドワークともいえる自衛隊ものです。 今回は広報という自衛隊でも異質な部署のお話です。 正直、自衛隊に広報など必要なのかなとも思っていましたが、 世間一般の目というとはイメージが先行して実態に伴っていない と感じさせられました。 新人広報とテレビ局の記者上がりのディレクターを軸に話は進みますが 少しばかり視野が狭く、生真面目な二人で、甘い恋愛描写は少なめです。 周りの人たちは個性的で、皆さん優しすぎるのでは。 最後にあの日のことを考えさせられます。 被災者、災害復旧、自衛隊、国。 どこも最前線にいる人たちは一生懸命がんばっています。一年たってみると 結果はどうでしょうか。少し旅に出て自分の目で見てきたいと思います。 | ||||
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教育とか、自衛隊とか、原発とか、 ちゃんと話し合わないとダメだあ〜! と強く感じました。 見てるけど見ていない感じのままでは、 そろそろヤバイかもと、考えさせられました。 でも、自分発信は怖くて出来ない、日本人気質? 言うのは簡単だけど、意識変えて実行に移すのは、 ハードル高いなぁ〜! | ||||
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あとがきによると、取材にもとづいて書かれたようで、モデルになった人もいるみたいで、ドラマのためにデフォルメしてても、航空自衛隊って面白くていざというときは頼りになる素敵な人達が居そうな気がします(^^ゞ | ||||
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有川浩の特徴とも言うべきテーマ《自衛隊》 今作品は自衛隊の裏方と言うべき広報室に焦点を当てた作品だった。 今までのラブコメ+自衛隊が楽しめるのはもちろんだが、今作品は有川浩からのメッセージが多かったように思う。 作中の所々に散りばめられたら風刺がまた私の自衛隊に、またマスメディアに対する考えを改めさせてくれた。 そして書き下ろしの『あの日の松下』 登場人物こそ作品からだったが、リアリティのある会話があの日の自衛隊の奮闘や苦悩を教えてくれた。 東日本大震災を自衛隊目線で考えられる素晴らしい作品 | ||||
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