死神の浮力

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死神の浮力の評価:

3.97/5点 レビュー 139件。 B ランク

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平均点3.97pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全263件 241〜260 13/14ページ
No.23
(4pt)

会話の妙

小説。死神の浮力(伊坂幸太郎・文芸春秋・1650円+消費税)。

「死神の精度」の続編。伊坂小説は僕の中で3種類に大きく分けていて、1つは明るく楽しい、1つは暗くて話がよくわからない(読み手の力量次第か)、1つは「その中間」。

今回の小説は「その中間」。ストーリーはある出来事に対する復讐(被害者→加害者)へのプロセスを描いたもので、被害者への共感を伴いつつ読み進める流れ。

ただし、話は憎悪復讐系のダークなニュアンスに染まりきらない。ブレンドされるのは「笑い」。状況が真剣であればあるほど、本人に笑わせる自覚が微塵もないときであるほど、会話の解釈ずれで起きる笑いの威力にはすさまじいものがある(漫才でいうボケとツッコミもこの構造ですね)。

その「ずれ」の源が主人公。緊張と弛緩、意外かつ軽快に進む展開、会話のリアル感(平成の人物像を口調で感じさせる力量のすごさ)、などなど、伊坂さんならではの味がしみじみ。
死神の浮力 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 死神の浮力 (文春文庫)より
4167906473
No.22
(4pt)

会話の妙

小説。死神の浮力(伊坂幸太郎・文芸春秋・1650円+消費税)。

「死神の精度」の続編。伊坂小説は僕の中で3種類に大きく分けていて、1つは明るく楽しい、1つは暗くて話がよくわからない(読み手の力量次第か)、1つは「その中間」。

今回の小説は「その中間」。ストーリーはある出来事に対する復讐(被害者→加害者)へのプロセスを描いたもので、被害者への共感を伴いつつ読み進める流れ。

ただし、話は憎悪復讐系のダークなニュアンスに染まりきらない。ブレンドされるのは「笑い」。状況が真剣であればあるほど、本人に笑わせる自覚が微塵もないときであるほど、会話の解釈ずれで起きる笑いの威力にはすさまじいものがある(漫才でいうボケとツッコミもこの構造ですね)。

その「ずれ」の源が主人公。緊張と弛緩、意外かつ軽快に進む展開、会話のリアル感(平成の人物像を口調で感じさせる力量のすごさ)、などなど、伊坂さんならではの味がしみじみ。
死神の浮力 Amazon書評・レビュー: 死神の浮力より
416382300X
No.21
(4pt)

死神の精度の、続編。でも、単なる続編とは違う。むしろ、死神、千葉氏シリーズかな。

「死神の精度」は、短編集でしたが、この「死神の浮力」は、長編です。
憎らしいほど、運の良い悪役には、むっとします。
娘を奪われた夫婦には、おのずと肩入れしてしまいます。
かなり、戯曲的な話なので、ぜひ、ドラマ化、もしくは、舞台化してほしいと思います。
千葉氏が、いい味出してますよね。
あの、無関心そうな、でも、きちんと観察している感じ、仕事人って感じでいいです。

監査役の死神さんたちの名前が県名なのが、また、いいですね。
ぜひ、ほかの死神さんたちも、新たなキャラで登場してほしいものです。
死神の浮力 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 死神の浮力 (文春文庫)より
4167906473
No.20
(4pt)

死神の精度の、続編。でも、単なる続編とは違う。むしろ、死神、千葉氏シリーズかな。

「死神の精度」は、短編集でしたが、この「死神の浮力」は、長編です。
憎らしいほど、運の良い悪役には、むっとします。
娘を奪われた夫婦には、おのずと肩入れしてしまいます。
かなり、戯曲的な話なので、ぜひ、ドラマ化、もしくは、舞台化してほしいと思います。
千葉氏が、いい味出してますよね。
あの、無関心そうな、でも、きちんと観察している感じ、仕事人って感じでいいです。

監査役の死神さんたちの名前が県名なのが、また、いいですね。
ぜひ、ほかの死神さんたちも、新たなキャラで登場してほしいものです。
死神の浮力 Amazon書評・レビュー: 死神の浮力より
416382300X
No.19
(5pt)

徹夜してしまった

前作同様ラストにやられました。 数多の辛い出来事を一瞬にして浄化するような清々しさを感じましたね。 あの死神にあのセリフはずるい。無垢で無自覚な最大級のツンデレじゃないか。
死神の浮力 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 死神の浮力 (文春文庫)より
4167906473
No.18
(5pt)

徹夜してしまった

前作同様ラストにやられました。 数多の辛い出来事を一瞬にして浄化するような清々しさを感じましたね。 あの死神にあのセリフはずるい。無垢で無自覚な最大級のツンデレじゃないか。
死神の浮力 Amazon書評・レビュー: 死神の浮力より
416382300X
No.17
(2pt)

死神の精度の方をお勧めします

待ちに待った『死神の精度』の続編。千葉、再び降臨である。

前作の登場人物などもリンクするので、ファンの方なら楽しむことが出来ると思います。

今回の作品は前回と違い、叙述トリックが無い長編です。メッセージ性は大変強いが、エンターテイメント性に欠けると言わざるを得ません。
連作短編集であった前作の心が晴れ上がるようなラストは感じられず。
オチはオチで予想外のオチだったのですが、すんなり納得いかず。これでどんでん返しのつもりならば、どんでん返しの定義を変更せねばなりませんね。

色々と文句を言ってきましたが、エピローグは雰囲気があり良かったと思います。
次回作に期待します。
死神の浮力 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 死神の浮力 (文春文庫)より
4167906473
No.16
(2pt)

死神の精度の方をお勧めします

待ちに待った『死神の精度』の続編。千葉、再び降臨である。

前作の登場人物などもリンクするので、ファンの方なら楽しむことが出来ると思います。

今回の作品は前回と違い、叙述トリックが無い長編です。メッセージ性は大変強いが、エンターテイメント性に欠けると言わざるを得ません。
連作短編集であった前作の心が晴れ上がるようなラストは感じられず。
オチはオチで予想外のオチだったのですが、すんなり納得いかず。これでどんでん返しのつもりならば、どんでん返しの定義を変更せねばなりませんね。

色々と文句を言ってきましたが、エピローグは雰囲気があり良かったと思います。
次回作に期待します。
死神の浮力 Amazon書評・レビュー: 死神の浮力より
416382300X
No.15
(4pt)

千葉の朴訥した魅力が堪能できる一作

前作未読の状態で読みました。

そのためだと思いますが、手袋をしていない状態で千葉の手に触れると何故気絶するのか?とか、何故音楽をあれほど聴きたがるのか?など一部意味が分からないところはあるものの最後まで非常に楽しく読めました。

この作品の魅力は主人公である死神・千葉のキャラクターの受け取り方で大きく変わると思います。参勤交代の話をはじめ、至って真面目に話しているにも関わらず周りからはギャグ扱いされ憤慨する描写や、全く危機意識がない(死神だから死なないし苦痛もないので当然ですが)にも関わらずポロッともらした一言で結果的に周囲の人間を救ってしまったり、その重要性をあまり意識しないまま人間離れした(死神だから当たり前ですが)身体能力を発揮しピンチを切り抜けていく姿など、どちらかというと死神というより非好戦的なターミネーターという印象で、稀有な魅力に溢れたキャラクターだと思います。

物語は章(日)ごとに千葉と、千葉のターゲットである山野辺との視点が交互に綴られていきますが、やはり千葉視点の章が面白いです。

最後まで楽しく読む事が出来たとはいうもののやや難点もあり、山野辺視点の章はいまひとつ臨場感にかけ作品世界への没頭を妨げています。これは恐らく殺された娘の日常的な描写や魅力のクローズアップと、犯人である本城の悪質さや許し難さを演出する部分が足りない事が原因ではないかと思います。

山野辺の章は愛する娘を無残に殺害された両親が、その殺害犯である本城に復讐する事だけを目的に行動するパートであり、ここで演出すべきは

1)殺された娘の愛らしさ 
2)娘を失った両親の哀しみ 
3)司法の手に委ねるのでなく、自ら手を下す事を決意するまでの経緯とその丁寧な描写 
4)両親の想いをあざ笑うがの如く、山野辺夫妻を翻弄し追い詰める本城の脅威

の4つのポイントだと思いますが、残念ながらその4つのポイントのうち1)〜3)に関しては作中での描写が非常にあっさり(娘が殺されるシーンの直接的な描写すらない)としており、両親の哀しみや怒りという感情にシンクロ出来ないまま物語が進行してしまうので非常にもったいない限りです。更に4)のポイントを描く上で不可欠な「本城という人間の姿をした悪魔」の描写も少なく、倒したくても倒せない強大な悪という本来の位置づけまで持っていけてません。キャラの優秀さを演出しようと思ったら、それと比較する為のレベルの低い存在が必要ですが、この作品ではその立ち位置に本城を追い詰めようとする山野辺を持ってきてしまっており、結果的に本城が優秀というより山野辺が馬鹿にしか見えないという状況になってしまっているのも難点。そのため「何でそうなんだよ!」とついつい山野辺に突っ込まざるを得ず、作家というどちらかというと知的なイメージのキャラにはそぐわない見せ方になってしまったのが残念です。

しかし、そういった点を差し引いても尚、7日目の山野辺の最後のセリフ、そしてエピローグにおける千葉の最後のセリフに込められた想いとか、それがもたらす余韻は非常に心地よく素晴らしい読後感を生み出してくれており、読んで良かったと思える一作でした。
死神の浮力 Amazon書評・レビュー: 死神の浮力より
416382300X
No.14
(4pt)

じっくり読み終えて初めて感じる平穏なきもち

娘を無残に殺された夫婦。
犯人は人の心を持たない青年。
彼は夫婦の怨念をあざ笑うだけでなく、
彼らをさらに苦しめることに
無上の喜びを見出しているようで・・・・・・
読んでいてとてもつらかったです。

いつもならあっという間に読み終えるところ、
この物語は心で声を出しながら、
話すときと同じスピードになっていました。

章(1日)ごとに、死神の千葉と
娘を殺された主人公の山野辺の一人称で
交互に語られるためか、
千葉のパートではとぼけた受け答えにクスリとしつつも
シーンによってはいら立ちを覚え、
山野辺のパートでは無力感と使命感のないまぜになった
モノローグに息が詰まるようでした。

7日間は決して死なないという安堵があったにもかかわらず、
5日目の後半に明らかになった事実に愕然とし、
その後はページをめくる手を中断できず。

伊坂さんがこれまでに描いてきた悪意は、
オーデュボンの城山といいマリアビートルの王子といい
最後はスパッとフェイドアウトさせられましたが、
これまで以上に深い闇に対し、
今回は結末をちゃんと描くのか。

そんな不安に駆られながら最後まで読みましたが、
本を閉じたいまは、平穏な気持ちになっています。
そして、途中冗長に感じ、正直焦れた山野辺と父親との
エピソードや死についてのさまざまな表現を、
もう一度ゆっくり読み返してみようと思えています。

急いで読んではいけない話。
「ゴールデンスランバー」のようでも、
「バイバイ、ブラックバード」のようでもあり、
なんとも味わい深い物語でした。
死神の浮力 Amazon書評・レビュー: 死神の浮力より
416382300X
No.13
(4pt)

死神を主人公にした非常に奥の深い作品

「死神」が主人公となると、こういうストーリーになるのか、と、妙に納得してしまいました。人間の運命が、こう定めれているのかもしれない、と、問いかけられているようにも思いました。
 
宗教的、哲学的な色合いも強い作品だと思います。
 
主人公の死神・千葉は、小説家の「山野辺」を「担当」することになります。
(つまり、山野辺の運命に、死神が舞い降りたことになります)

山野辺は、彼のファンを名乗る近所の男、本城に娘を殺されたという過去を持ちます。その本城が無罪釈放とされてしまうことになり、山野辺は夫婦で本城への復讐を企てます。
 
山野辺を担当する千葉は、本城への復讐に、行動を共にすることになります。
対して、本城は、山野辺からの復讐を予見し、返り討ちを企みますが。。。彼自身にも死神・香川が「担当」としてつきまとうのです。

殺人事件の遺族夫婦の夫と、加害者の両方に死神が。。。生き延び、また、命を終えるのはどちらなのか。。。読み手としては、山野辺に肩入れをしてしまいますが、果たして、彼らがそれぞれどのような運命を迎えるのか、非常に読ませます。
 
死神「千葉」のキャラクターは非常に特異ですが、それでいて、大変魅力的です。
 
普通の人間にとっての一生は、千葉にとっては一瞬の出来事でしかありません。山野辺夫妻は本城への復讐に怨念を燃やしますが、千葉は死神としての役割を果たすため、彼らとは淡々接します。
 
この山野辺夫妻と死神・千葉の振る舞いのギャップがストーリの魅力を引き立てます。そして、千葉が死神として備えている超常的な能力が、結果として山野辺夫妻の復讐の力添えとなっていくことも、大きな読み応えとなるところです。
 
山野辺夫婦と死神・千葉の会話がストーリーに味わいを添えます。一見かみ合わないようでいて、文芸に秀でる小説家と、幾代にもわたって人の最後を見届けてきた死神との会話だけに、非常に奥深い意味合いを滲ませていると思います。
 
死神に付きまとわれることになった人間にもたらされる宿命はいかなるものか、謎解きやサスペンス作品とは、異なる別種の緊迫感を感じながら楽しむことができたと思います。
 
読み終えて、「人間はいつか死ぬ」ことの寂寥感を覚えつつ、今、普通に生きていられることのありがたさをしみじみと実感しました。
死神の浮力 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 死神の浮力 (文春文庫)より
4167906473
No.12
(4pt)

死神を主人公にした非常に奥の深い作品

「死神」が主人公となると、こういうストーリーになるのか、と、妙に納得してしまいました。人間の運命が、こう定めれているのかもしれない、と、問いかけられているようにも思いました。
 
宗教的、哲学的な色合いも強い作品だと思います。
 
主人公の死神・千葉は、小説家の「山野辺」を「担当」することになります。
(つまり、山野辺の運命に、死神が舞い降りたことになります)

山野辺は、彼のファンを名乗る近所の男、本城に娘を殺されたという過去を持ちます。その本城が無罪釈放とされてしまうことになり、山野辺は夫婦で本城への復讐を企てます。
 
山野辺を担当する千葉は、本城への復讐に、行動を共にすることになります。
対して、本城は、山野辺からの復讐を予見し、返り討ちを企みますが。。。彼自身にも死神・香川が「担当」としてつきまとうのです。

殺人事件の遺族夫婦の夫と、加害者の両方に死神が。。。生き延び、また、命を終えるのはどちらなのか。。。読み手としては、山野辺に肩入れをしてしまいますが、果たして、彼らがそれぞれどのような運命を迎えるのか、非常に読ませます。
 
死神「千葉」のキャラクターは非常に特異ですが、それでいて、大変魅力的です。
 
普通の人間にとっての一生は、千葉にとっては一瞬の出来事でしかありません。山野辺夫妻は本城への復讐に怨念を燃やしますが、千葉は死神としての役割を果たすため、彼らとは淡々接します。
 
この山野辺夫妻と死神・千葉の振る舞いのギャップがストーリの魅力を引き立てます。そして、千葉が死神として備えている超常的な能力が、結果として山野辺夫妻の復讐の力添えとなっていくことも、大きな読み応えとなるところです。
 
山野辺夫婦と死神・千葉の会話がストーリーに味わいを添えます。一見かみ合わないようでいて、文芸に秀でる小説家と、幾代にもわたって人の最後を見届けてきた死神との会話だけに、非常に奥深い意味合いを滲ませていると思います。
 
死神に付きまとわれることになった人間にもたらされる宿命はいかなるものか、謎解きやサスペンス作品とは、異なる別種の緊迫感を感じながら楽しむことができたと思います。
 
読み終えて、「人間はいつか死ぬ」ことの寂寥感を覚えつつ、今、普通に生きていられることのありがたさをしみじみと実感しました。
死神の浮力 Amazon書評・レビュー: 死神の浮力より
416382300X
No.11
(5pt)

死神千葉の冷たい暖かさが心にしみる小説

伊坂さんは東日本大震災以降、少し変わったように感じます。
作品の根底に「明るさ」をより感じるようになった気がします。
この小説の設定は、これ以上ないくらい、哀しいものになっています。
それでも、読み終わったときに、心があたたかくなります。
それは死神千葉の、滑稽なまでに真面目な言動によって、より一層深まります。
死神の浮力 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 死神の浮力 (文春文庫)より
4167906473
No.10
(5pt)

死神千葉の冷たい暖かさが心にしみる小説

伊坂さんは東日本大震災以降、少し変わったように感じます。
作品の根底に「明るさ」をより感じるようになった気がします。
この小説の設定は、これ以上ないくらい、哀しいものになっています。
それでも、読み終わったときに、心があたたかくなります。
それは死神千葉の、滑稽なまでに真面目な言動によって、より一層深まります。
死神の浮力 Amazon書評・レビュー: 死神の浮力より
416382300X
No.9
(3pt)

『死』への漠然とした恐怖に共感,惹かれる

『』に続く二作目.前作は連作短篇集でしたが,本作は長編となっています.

娘を殺された夫婦の復讐劇…の体を取りつつ,『死』に対し深く迫る作品という印象で,
同じく『生』へも強く意識を向けさせられ,著者らしい言い回しでの父と息子との回想は,
時に格好よく,時に重く,死はもちろん,そこへ向かう『今』を生きる描写は強く残ります.
中でも,不意にわき起こる漠然とした死への恐怖は,大きく共感,惹かれるものがありました.

また,もう一つの物語となる復讐劇は,いささか流れが鈍く感じる部分はありましたが,
標的となる男,そこから放たれる悪意の数々は,分かりやすい『悪者』のそれとは異なり,
静かにねばねばと絡みつくようで,その不快感や苛立ちは,言葉にしがたいものがあります.

とはいえ,決して折れない執念を見せる中,どこか明るささえも漂わせる夫婦のやり取り,
さらには,本人の意思はさておき,するりと間へ滑り込んでいく死神の男の立ち振る舞いは,
置かれた状況ほどの重たさはなく,こちらもそのスマートな文章が読みやすさとなっています.

その結末は,一種の痛快さは確かにあるものの,笑うに笑えないブラック風味が強いもの.
さらには,エピローグでも別の悲しく残酷とも言える『その後』が語られ,閉じられますが,
こちらは,わずかかもしれませんが救いが残され,あの男が漏らした思いがけない『一言』は,
作中では絶対にあり得ない,雨模様の空に覗く日の光のようで,穏やかな余韻となって残ります.

ただ,世界観の説明が中盤ごろまでなく,初めての人には途中まで分かりづらいかもしれず,
このほか,それまでの小さなあれこれを後々に引っ張り出す,伏線とその回収といった演出が,
その都度,巧さやおもしろさはあるのですが,少しばかり目立ち過ぎのようにも感じられました.
死神の浮力 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 死神の浮力 (文春文庫)より
4167906473
No.8
(3pt)

ちょっと残念

私もそうですが、千葉を中心とした前作の世界観を楽しみにしていた方には十分楽しめると思います。周りの同僚が手を抜く中、独特のこだわりで仕事を続ける千葉はハードボイルドの主人公に通じる所がありますし、人間とのずれたやり取りもハードボイルドっぽさをうまく増していると思います。
一方でストーリーラインについては犯人側の人物像の掘り下げがほとんどないので、物足りなさを感じました。犯人のタイプはマリアビートルの少年に近い設定ですが、あの少年と比較しても動機が全く伝わってきません。いくら良心がないという設定にしても、ちょっと入り込めないなあ、と。
又、前作は苦境に単独でチャレンジする人物の姿・物語を千葉がクールに観察するスタイルが多かったのに対して、今回の被害者はかなり千葉に頼ってくるので、必死な人間とクールな死神というコントラストが弱まっている印象も持ちました。
期待が大きかっただけにちょっと残念です。
死神の浮力 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 死神の浮力 (文春文庫)より
4167906473
No.7
(3pt)

『死』への漠然とした恐怖に共感,惹かれる

『死神の精度』に続く二作目.前作は連作短篇集でしたが,本作は長編となっています.

娘を殺された夫婦の復讐劇…の体を取りつつ,『死』に対し深く迫る作品という印象で,
同じく『生』へも強く意識を向けさせられ,著者らしい言い回しでの父と息子との回想は,
時に格好よく,時に重く,死はもちろん,そこへ向かう『今』を生きる描写は強く残ります.
中でも,不意にわき起こる漠然とした死への恐怖は,大きく共感,惹かれるものがありました.

また,もう一つの物語となる復讐劇は,いささか流れが鈍く感じる部分はありましたが,
標的となる男,そこから放たれる悪意の数々は,分かりやすい『悪者』のそれとは異なり,
静かにねばねばと絡みつくようで,その不快感や苛立ちは,言葉にしがたいものがあります.

とはいえ,決して折れない執念を見せる中,どこか明るささえも漂わせる夫婦のやり取り,
さらには,本人の意思はさておき,するりと間へ滑り込んでいく死神の男の立ち振る舞いは,
置かれた状況ほどの重たさはなく,こちらもそのスマートな文章が読みやすさとなっています.

その結末は,一種の痛快さは確かにあるものの,笑うに笑えないブラック風味が強いもの.
さらには,エピローグでも別の悲しく残酷とも言える『その後』が語られ,閉じられますが,
こちらは,わずかかもしれませんが救いが残され,あの男が漏らした思いがけない『一言』は,
作中では絶対にあり得ない,雨模様の空に覗く日の光のようで,穏やかな余韻となって残ります.

ただ,世界観の説明が中盤ごろまでなく,初めての人には途中まで分かりづらいかもしれず,
このほか,それまでの小さなあれこれを後々に引っ張り出す,伏線とその回収といった演出が,
その都度,巧さやおもしろさはあるのですが,少しばかり目立ち過ぎのようにも感じられました.
死神の浮力 Amazon書評・レビュー: 死神の浮力より
416382300X
No.6
(3pt)

ちょっと残念

私もそうですが、千葉を中心とした前作の世界観を楽しみにしていた方には十分楽しめると思います。周りの同僚が手を抜く中、独特のこだわりで仕事を続ける千葉はハードボイルドの主人公に通じる所がありますし、人間とのずれたやり取りもハードボイルドっぽさをうまく増していると思います。
一方でストーリーラインについては犯人側の人物像の掘り下げがほとんどないので、物足りなさを感じました。犯人のタイプはマリアビートルの少年に近い設定ですが、あの少年と比較しても動機が全く伝わってきません。いくら良心がないという設定にしても、ちょっと入り込めないなあ、と。
又、前作は苦境に単独でチャレンジする人物の姿・物語を千葉がクールに観察するスタイルが多かったのに対して、今回の被害者はかなり千葉に頼ってくるので、必死な人間とクールな死神というコントラストが弱まっている印象も持ちました。
期待が大きかっただけにちょっと残念です。
死神の浮力 Amazon書評・レビュー: 死神の浮力より
416382300X
No.5
(5pt)

何とも穏やかな読後感。。。

まさかの「死神」続編!楽しみにしてました。
 愛娘を殺された作家・山野辺遼とその妻が犯人を追い、その犯人の本城は知能が高くシッポを掴ませない冷酷なサイコパス…が、そこに任務を遂行すべく千葉さんが絡み、どこか可笑しい言動でクスリとさせてくれます。
 (のっけから「参勤交代」を長々と話しだすんだからニヤニヤしてしまいました。前作でも「年貢制度がまだあるのか?」などトンデモなことを言っていたと思いますが、本作はもっと全開です)
 山野辺の敵討ちは成功するのか、山野辺は生きるか死ぬか、本城はまんまと逃げるのか、と胸中穏やかで無かったですが、読後は不思議に穏やかな気持ちになりました。
 「映画でも本でも、彼らのその後を想像できる話って良いなぁ」と常々思うのですが、これもそんな話でした。私も「死神の精度」再読しようと思います。
 

死神の浮力 Amazon書評・レビュー: 死神の浮力より
416382300X
No.4
(5pt)

前作は読んでから

死神の精度が好きだったので凄く良かったです!
ただ、前作を読んでない人にはちょっと不親切かも。
なぜかというと、主人公(千葉さん)の紹介とか、死神の仕事がどんなもの(「可」「見送り」とか)か、雨が降るとか音楽好きみたいな基本設定の説明がほぼないからです。
読みながら「そういやこういう設定あったな」とか思い出してワクワクしたけど、読んでない人は、ん?ってなるような気が。。。

というわけで、前作のファンとして星5つです。
ノリはあんまり変わらないので、前作を読んだ人は前作の評価とそのままになると思います。
読んでない人は評価辛くなるんじゃないかなぁ。
死神の浮力 Amazon書評・レビュー: 死神の浮力より
416382300X