コリーニ事件

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評判

コリーニ事件の評価:

4.06/5点 レビュー 50件。 A ランク

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平均点4.06pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全62件 21〜40 2/4ページ
No.42
(4pt)

短いのに濃く深い読後感

数年前にラジオで豊崎由美さんが紹介して気になっていたものの読めずにいたが、映画化に伴いKindle版を読んだ。評判と期待を裏切らないテンポのいい展開で、重い事件が描写される。戦争犯罪と言う言葉では分かった気になっているテーマに、生身の身体で訴えかける。本当の犯罪とは正義とは読後感の中で考えさせられる名著。
コリーニ事件 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: コリーニ事件 (創元推理文庫)より
4488186041
No.41
(4pt)

短いのに濃く深い読後感

数年前にラジオで豊崎由美さんが紹介して気になっていたものの読めずにいたが、映画化に伴いKindle版を読んだ。評判と期待を裏切らないテンポのいい展開で、重い事件が描写される。戦争犯罪と言う言葉では分かった気になっているテーマに、生身の身体で訴えかける。本当の犯罪とは正義とは読後感の中で考えさせられる名著。
コリーニ事件 Amazon書評・レビュー: コリーニ事件より
4488010008
No.40
(5pt)

読後感が重いがおすすめ

ドイツの法廷ミステリー。
その割には主人公のテンションは低いし物語は淡々と進むのですが、発端となる殺人事件が起きたきっかけが深く、重い。さすがはドイツ。
こういったテーマの小説、日本ではまだ出てきていないような気がします。
一言くわえると、翻訳の文章はちょっと古風で好みが分かれそうです。私は気になりませんでしたが、中学生の娘は「漢字が多い」と悲鳴をあげていました。
コリーニ事件 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: コリーニ事件 (創元推理文庫)より
4488186041
No.39
(5pt)

読後感が重いがおすすめ

ドイツの法廷ミステリー。
その割には主人公のテンションは低いし物語は淡々と進むのですが、発端となる殺人事件が起きたきっかけが深く、重い。さすがはドイツ。
こういったテーマの小説、日本ではまだ出てきていないような気がします。
一言くわえると、翻訳の文章はちょっと古風で好みが分かれそうです。私は気になりませんでしたが、中学生の娘は「漢字が多い」と悲鳴をあげていました。
コリーニ事件 Amazon書評・レビュー: コリーニ事件より
4488010008
No.38
(5pt)

なかなか深い

翻訳が良いのか読みやすく、心理描写も的確でストーリーに入りやすい。義務で受けた裁判が意外な展開を辿り、自分の若かりし頃に世話になった人物が被害者で、被告の弁護人を務めるという展開になっていく。やがて被害者の戦中の別の姿が現れ、物語が大きく転換していく。主人公は徐々に被告の動機を明らかにしていくが、なぜか被告は殺人を犯したのかという肝心な点を被告は明らかにしないまま自殺してしまう。ナチの頃の罪は今もドイツでは問われているのかと思うが、ドイツの法制度も含めて作者は問うている。そんなに長編ではないが、余韻の深い作品である。
コリーニ事件 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: コリーニ事件 (創元推理文庫)より
4488186041
No.37
(5pt)

なかなか深い

翻訳が良いのか読みやすく、心理描写も的確でストーリーに入りやすい。義務で受けた裁判が意外な展開を辿り、自分の若かりし頃に世話になった人物が被害者で、被告の弁護人を務めるという展開になっていく。やがて被害者の戦中の別の姿が現れ、物語が大きく転換していく。主人公は徐々に被告の動機を明らかにしていくが、なぜか被告は殺人を犯したのかという肝心な点を被告は明らかにしないまま自殺してしまう。ナチの頃の罪は今もドイツでは問われているのかと思うが、ドイツの法制度も含めて作者は問うている。そんなに長編ではないが、余韻の深い作品である。
コリーニ事件 Amazon書評・レビュー: コリーニ事件より
4488010008
No.36
(4pt)

ああ面白い。

あらためて「人間とは」と考えさせてくれました。
小説なのに、最後は思わず死なないでください、願いました。
自分の若い時のある時に、人に助けられてから、<これからは自分からは死なないようにしよう>と、ぼんやり考えたことを思い出しました。 ixy50
コリーニ事件 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: コリーニ事件 (創元推理文庫)より
4488186041
No.35
(4pt)

ああ面白い。

あらためて「人間とは」と考えさせてくれました。
小説なのに、最後は思わず死なないでください、願いました。
自分の若い時のある時に、人に助けられてから、<これからは自分からは死なないようにしよう>と、ぼんやり考えたことを思い出しました。 ixy50
コリーニ事件 Amazon書評・レビュー: コリーニ事件より
4488010008
No.34
(5pt)

ナチスの犯罪を暴く

ネットで本書を基にした映画の無料招待の記事があり、はじめてシーラッハという作家を知りました。
作家はドイツの弁護士でその視点から犯罪を描いていて刑法や刑事訴訟法については全くの素人である私は裁判における弁護士の真の役割を理解することができました。物語的にもよくできていて一気に読みすすめさせる力がありました。
コリーニ事件 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: コリーニ事件 (創元推理文庫)より
4488186041
No.33
(5pt)

ナチスの犯罪を暴く

ネットで本書を基にした映画の無料招待の記事があり、はじめてシーラッハという作家を知りました。
作家はドイツの弁護士でその視点から犯罪を描いていて刑法や刑事訴訟法については全くの素人である私は裁判における弁護士の真の役割を理解することができました。物語的にもよくできていて一気に読みすすめさせる力がありました。
コリーニ事件 Amazon書評・レビュー: コリーニ事件より
4488010008
No.32
(5pt)

映画が楽しみになった

『67歳のイタリア人元自動車組み立て工・コリーニが、85歳のドイツ経済界の重鎮ハンス・マイヤーを惨殺するところから話がはじまる。主人公である駆けだし弁護士ライネンはコリーニの国選弁護人を買ってでるが、被害者であるハンス・マイヤーが少年時代の友の祖父であることを知り、公職と私情のあいだで揺れ動く。』(訳者あとがきより)

映画の広告を見て原作を読んでみたくなり手に取った。この作者の作品は初めて読んだ。簡潔な文章で歴史的背景を現代に絡めて描いている。過去からつながる負の部分が現在に及ぼす影響。それによって今まで愛していたもの、価値観、全てが変わっていく様子が淡々と語られる。おそらく作者の文体のもつ几帳面さを損なうことなく訳した翻訳者の力に負うところも大きい。

単純だと思われた殺人事件が、実は世の中をひっくり返すほどの大事件へと発展していく。決して動機を語らない被告人を前に、弁護士コリーニは何度も何度も証拠写真を見つめるうちにあることに気づく。ここから一気に事態は動き始める。

ドイツの負の歴史を今の若い世代はどのように考え、またそれを国としてどう教えているのだろう。あとがきを読むと、作者自身もナチスとは深い関わりのある人物の末裔とのことで、学友にはヒトラー暗殺を図った祖父をもつ人もいたという。ドイツの街には先の戦争の記念碑のようなものがたくさんあるという。国をあげて負の歴史を伝えていかなければいけないという決心のようにもとらえられる。

著者の祖父の墓には『わたしはおまえたちのひとりだった』と刻まれている。誰しもがその時代に加害者にも被害者にもなったはずだ。自身も弁護士である著者がこの作品を書くことによってドイツの法務省が動いたというから驚いた。歴史を検証し、見直していくことが新たな未来を作るのだろう。ストーリーの素晴らしさはもちろんだが、それ以上にいろいろな事を考えさせられた。
コリーニ事件 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: コリーニ事件 (創元推理文庫)より
4488186041
No.31
(5pt)

映画が楽しみになった

『67歳のイタリア人元自動車組み立て工・コリーニが、85歳のドイツ経済界の重鎮ハンス・マイヤーを惨殺するところから話がはじまる。主人公である駆けだし弁護士ライネンはコリーニの国選弁護人を買ってでるが、被害者であるハンス・マイヤーが少年時代の友の祖父であることを知り、公職と私情のあいだで揺れ動く。』(訳者あとがきより)

映画の広告を見て原作を読んでみたくなり手に取った。この作者の作品は初めて読んだ。簡潔な文章で歴史的背景を現代に絡めて描いている。過去からつながる負の部分が現在に及ぼす影響。それによって今まで愛していたもの、価値観、全てが変わっていく様子が淡々と語られる。おそらく作者の文体のもつ几帳面さを損なうことなく訳した翻訳者の力に負うところも大きい。

単純だと思われた殺人事件が、実は世の中をひっくり返すほどの大事件へと発展していく。決して動機を語らない被告人を前に、弁護士コリーニは何度も何度も証拠写真を見つめるうちにあることに気づく。ここから一気に事態は動き始める。

ドイツの負の歴史を今の若い世代はどのように考え、またそれを国としてどう教えているのだろう。あとがきを読むと、作者自身もナチスとは深い関わりのある人物の末裔とのことで、学友にはヒトラー暗殺を図った祖父をもつ人もいたという。ドイツの街には先の戦争の記念碑のようなものがたくさんあるという。国をあげて負の歴史を伝えていかなければいけないという決心のようにもとらえられる。

著者の祖父の墓には『わたしはおまえたちのひとりだった』と刻まれている。誰しもがその時代に加害者にも被害者にもなったはずだ。自身も弁護士である著者がこの作品を書くことによってドイツの法務省が動いたというから驚いた。歴史を検証し、見直していくことが新たな未来を作るのだろう。ストーリーの素晴らしさはもちろんだが、それ以上にいろいろな事を考えさせられた。
コリーニ事件 Amazon書評・レビュー: コリーニ事件より
4488010008
No.30
(5pt)

シンプルな中編ミステリーの秀作

フォン・シーラッハは短編作家という印象をもっていたが、これは間然するところがない中編ミステリーの秀作だった。
 残虐な殺人事件の被害者と犯人は冒頭からわかっている。しかし動機が不明。ふたりの接点を国選弁護人が探ってゆくと、そこには思いがけない歴史的なできごとが秘められていた。
 エンターテインメントとしては構成がシンプルすぎてやや物足りないかもしれないが、じつによくできた社会小説である。私は感銘をうけた。
 現役刑事弁護士の作者らしく、報告書のように即物的な文体で記述されているが、描写のディテールにこだわりが見られる。
 訳者の酒寄氏による解説が作品の歴史的および社会的背景についての理解をいっそう深めてくれた。
 
コリーニ事件 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: コリーニ事件 (創元推理文庫)より
4488186041
No.29
(5pt)

シンプルな中編ミステリーの秀作

フォン・シーラッハは短編作家という印象をもっていたが、これは間然するところがない中編ミステリーの秀作だった。
 残虐な殺人事件の被害者と犯人は冒頭からわかっている。しかし動機が不明。ふたりの接点を国選弁護人が探ってゆくと、そこには思いがけない歴史的なできごとが秘められていた。
 エンターテインメントとしては構成がシンプルすぎてやや物足りないかもしれないが、じつによくできた社会小説である。私は感銘をうけた。
 現役刑事弁護士の作者らしく、報告書のように即物的な文体で記述されているが、描写のディテールにこだわりが見られる。
 訳者の酒寄氏による解説が作品の歴史的および社会的背景についての理解をいっそう深めてくれた。
 
コリーニ事件 Amazon書評・レビュー: コリーニ事件より
4488010008
No.28
(5pt)

自らの歴史のダークサイドを正視しつづける強靭さ。

短編集を読んだ時も思ったが、シーラッハはなにより、簡潔だが読者を引き込む文体に秀でていると思う(翻訳もいいのだろう)。久しぶりに「巻置く能わざる」という感じで読む。古い映画「サン・スーシの女」を思い出した。
 自らの歴史のダークサイドを正視しつづけようとする、著者をはじめドイツ社会(すべてではないにせよ)の強靭さを、本書や本書がドイツ社会に与えた影響に見出すことができる。
 
 ひとつだけ、ワルサーP38についての伏線が回収されなかったような気がするのだが、私が読み飛ばしたのか?
コリーニ事件 Amazon書評・レビュー: コリーニ事件より
4488010008
No.27
(5pt)

自らの歴史のダークサイドを正視しつづける強靭さ。

短編集を読んだ時も思ったが、シーラッハはなにより、簡潔だが読者を引き込む文体に秀でていると思う(翻訳もいいのだろう)。久しぶりに「巻置く能わざる」という感じで読む。
 自らの歴史のダークサイドを正視しつづけようとする、著者をはじめドイツ社会(すべてではないにせよ)の強靭さを、本書や本書がドイツ社会に与えた影響に見出すことができる。
 ひとつだけ、ワルサーP38についての伏線が回収されなかったような気がするのだが、私が読み飛ばしたのか?
コリーニ事件 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: コリーニ事件 (創元推理文庫)より
4488186041
No.26
(5pt)

「ペンは剣よりも強し」という言葉を思い出させてくれた。

少し前に読んだフェルディナント・フォン・シーラッハ著『犯罪』を読み、他の作品も読みたいと思い本書『コリーニ事件』(2011年)を読むことにした。
 著者のフェルディナント・フォンシーラッハは、ドイツでも著名な刑事事件弁護士として、元東ドイツ政治局員ギュンター・シャボフスキーや、ドイツ連邦情報局工作員ノルベルト・ユレツコの弁護に携わり、ドイツでも屈指の弁護士と見なされている(ウィキペディアより引用)。
 本書を読み終え、なによりも興味深かったのは、ドイツの司法制度や法廷のリアルな描写であったが、著者の経験からすれば当然だと思いながら読み進んだ。
 が、なによりも驚いたのは著者が司法の場にありながら、法の瑕疵を世に問うような小説を書く矜持である。
 この小説が出版されてから数ヶ月後の2012年1月、ドイツ連邦共和国法務大臣は法務省に「ナチの過去再検討委員会」を設置したと、巻末に記されていたから、この小説の影響がもたらしたのであることは間違いないだろう。
 イタリアのバルチザンというすこし毛色の変わった題材を用いながら、ナチスドイツの狂った時代をリアルに描く著者の筆力に魅了されてしまった。
 アメリカやイギリスの法廷シーンを扱った小説は、数多く読んできたが、ドイツの法廷ものにはなじみがなく興味深く読めたことも附記しておきたい。
 最近、上・下巻で刊行されるミステリ文庫本が多い中、本書のようなページ数でも優れた内容の文庫本は貴重であると思ってしまった。
 フェルディナント・フォン・シーラッハの他作品も読んでみたいと思いながら本書『コリーニ事件』を読み終えた。
コリーニ事件 Amazon書評・レビュー: コリーニ事件より
4488010008
No.25
(5pt)

「ペンは剣よりも強し」という言葉を思い出させてくれた。

少し前に読んだフェルディナント・フォン・シーラッハ著『犯罪』を読み、他の作品も読みたいと思い本書『コリーニ事件』(2011年)を読むことにした。
 著者のフェルディナント・フォンシーラッハは、ドイツでも著名な刑事事件弁護士として、元東ドイツ政治局員ギュンター・シャボフスキーや、ドイツ連邦情報局工作員ノルベルト・ユレツコの弁護に携わり、ドイツでも屈指の弁護士と見なされている(ウィキペディアより引用)。
 本書を読み終え、なによりも興味深かったのは、ドイツの司法制度や法廷のリアルな描写であったが、著者の経験からすれば当然だと思いながら読み進んだ。
 が、なによりも驚いたのは著者が司法の場にありながら、法の瑕疵を世に問うような小説を書く矜持である。
 この小説が出版されてから数ヶ月後の2012年1月、ドイツ連邦共和国法務大臣は法務省に「ナチの過去再検討委員会」を設置したと、巻末に記されていたから、この小説の影響がもたらしたのであることは間違いないだろう。
 イタリアのバルチザンというすこし毛色の変わった題材を用いながら、ナチスドイツの狂った時代をリアルに描く著者の筆力に魅了されてしまった。
 アメリカやイギリスの法廷シーンを扱った小説は、数多く読んできたが、ドイツの法廷ものにはなじみがなく興味深く読めたことも附記しておきたい。
 最近、上・下巻で刊行されるミステリ文庫本が多い中、本書のようなページ数でも優れた内容の文庫本は貴重であると思ってしまった。
 フェルディナント・フォン・シーラッハの他作品も読んでみたいと思いながら本書『コリーニ事件』を読み終えた。
コリーニ事件 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: コリーニ事件 (創元推理文庫)より
4488186041
No.24
(5pt)

政府をも動かした衝撃の法廷劇

刑事事件専門の弁護士としての経験を生かし,多数の法廷劇を執筆してきたドイツの作家による,余りにもシリアスで衝撃的な1冊です。
67歳のイタリア人男性が,ホテルの一室に滞在している85歳のドイツ人男性を拳銃で殺害する。加害者は,朴訥だが技能に優れた元自動車組立工。被害者はドイツを代表する大企業を束ねる大富豪にして温和な人格者。両者に接点はない・・・冒頭から結論は明らかに見えた事件だったが,わずかな現場証拠から,両者の意外な過去が浮かび上がり・・・・。
サスペンスとしても,中盤以降の緊迫感は素晴らしいものがありますが,それ以上に,長い歳月を経ても癒えることのない憎悪や悲しみ,解決することのできない問題があることを非情なまでに淡々と突きつけた社会小説としても,深く考えさせられることが多く秀逸だと思います。
ドイツでは,本書の発刊を契機に,戦時中の犯罪について再検討する委員会が立ち上げられたそうです。
「わたし、すべてを背負っていかないといけないのかしら」
「きみはきみにふさわしく生きればいいのさ」
登場人物たちが最後に交わす言葉が,重く胸に突き刺さります。多くの人々からすれば「歴史上の記録」として風化してしまった出来事も,当事者にとっては,一生癒えることのない傷であったり,末裔までもが重い十字架を背負わなければならない罪であったりする・・・その重みに言葉を失うほど圧倒された1冊でした。
コリーニ事件 Amazon書評・レビュー: コリーニ事件より
4488010008
No.23
(5pt)

政府をも動かした衝撃の法廷劇

刑事事件専門の弁護士としての経験を生かし,多数の法廷劇を執筆してきたドイツの作家による,余りにもシリアスで衝撃的な1冊です。
67歳のイタリア人男性が,ホテルの一室に滞在している85歳のドイツ人男性を拳銃で殺害する。加害者は,朴訥だが技能に優れた元自動車組立工。被害者はドイツを代表する大企業を束ねる大富豪にして温和な人格者。両者に接点はない・・・冒頭から結論は明らかに見えた事件だったが,わずかな現場証拠から,両者の意外な過去が浮かび上がり・・・・。
サスペンスとしても,中盤以降の緊迫感は素晴らしいものがありますが,それ以上に,長い歳月を経ても癒えることのない憎悪や悲しみ,解決することのできない問題があることを非情なまでに淡々と突きつけた社会小説としても,深く考えさせられることが多く秀逸だと思います。
ドイツでは,本書の発刊を契機に,戦時中の犯罪について再検討する委員会が立ち上げられたそうです。
「わたし、すべてを背負っていかないといけないのかしら」
「きみはきみにふさわしく生きればいいのさ」
登場人物たちが最後に交わす言葉が,重く胸に突き刺さります。多くの人々からすれば「歴史上の記録」として風化してしまった出来事も,当事者にとっては,一生癒えることのない傷であったり,末裔までもが重い十字架を背負わなければならない罪であったりする・・・その重みに言葉を失うほど圧倒された1冊でした。
コリーニ事件 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: コリーニ事件 (創元推理文庫)より
4488186041