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虚像の砦
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虚像の砦の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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真山仁さんの本です。 「虚像」と書いて「メディア」と読ませます。 テレビ局でのニュース番組のネタでしたね。 舞台は、現実のTBSがモデルと思われる、PTBというテレビ局。 そこの報道のディレクターの風見が視点人物の一人。 もう一人の視点人物は、お笑いで視聴率を稼ぎまくる黒岩。 また総務省の報道関係の調査官織田馨という女性も、視点人物の一人になります。 基本は、この三人の視点人物によって語られます。 風見は、中東で日本人が誘拐され、それを独占入手したものの、なかなか報道できずに苦しむ。 一方、黒岩は視聴率に苦しむ。 織田は、いまいち放送免許などの仕事を理解していない。 基軸は、中東で日本人が拉致されました、というところから、日本では「自己責任論」が噴出、時の首相もそれに便乗、という感じで、それに対して、政権打倒を目指している「プライムニュース」のメインキャスター福森は、遠慮容赦なく政府を批判。 福森は、なんとなく筑紫哲也がイメージされているのかなぁ。 とはいえ、話はだんだんと社内紛争になっていって、つか、それ以前に、PTBの財務状況が悪すぎるんだけど、はたして総務省が再免許を認めるの?というような展開に。 そもそも、総務省は再免許を出すために、財務状況などをチェックする仕事があって、そのための指導や根回しの場であったりするという内幕も語られていきます。 そこに、東京地検特捜部が財務でのガサをいれてきて、PTBが破局的な局面に…。 はたして、ジャーナリズムの魂は守れるのか? とはいえ、黒岩のバラエティの話だとか、総務省の話だとか、目線がかわり、それによって物の見方もかわるので、多角的にテレビ局や報道について考えることができます。 意外だったのが、総務省の対応でして、総務省って、放送局に対してコンサルみたいなことしてんだな、という。 個人的には、「放送局に対する政府の圧力」ってのは、そんなに露骨にやるようなもんじゃないですし、 もう今はネットの時代ですから、隠していても、ネットでばらされる可能性が高いので、 正直、もうテレビってオワコンじゃねえ?って気がしますね。 なんか、そういう斜陽産業の悲哀といいますか、そういうのを感じましたが、 一方で、伝えるための使命感とか、ジャーナリズムの意義というのは、よくわかりましたけど、 でもさ、やっぱり、ネット時代なんだよね、もう。 とりあえず、物語の展開としては、次々と事件がおこり、面白く読めるのですが、 黒岩のキャラが、理想的すぎて、いまいち感情移入できないんですよね。 「お行儀が良すぎる」という感じがしまして、 さらに、お笑いの才能があるというのですが、こういう才能がある人って、ディレクターなんかなれないだろ、と思いますね。 また、黒岩の父が大学教授で、風刺文学を研究しているという設定なんですけど、 「笑いの本質とは~」みたいなゴタクを並べるところが、なんか大学の先生っぽくない。 大学の先生って、そんなことに拘らなさそう。 また、総務省の織田や、それにアドバイスする人間も、なんか実在感がない有能人間で、 ちょっとリアリティに欠ける気がしました。 とはいえ、とりあえず、「テレビ」に拘る時代じゃないよな、と痛烈に感じさせてくれた本でした。 | ||||
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中東で日本人が誘拐された。その情報をいち早く得た、民放PTBディレクター・風見は、他局に先んじて放送しようと動き出すが、予想外の抵抗を受ける。一方、バラエティ番組の敏腕プロデューサー・黒岩は、次第に視聴率に縛られ、自分を見失っていった。二人の苦悩と葛藤を通して、巨大メディアの内実を暴く。 | ||||
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「ハゲタカ」、「ベイジン」と来て久しぶりに真山氏の著作が読みたくなって、購入しました。各登頂 人物のキャラが立っていて、面白かったです。ただ、中盤までのしっかりしたストーリーワークから、終 盤が一気にやっつけで(ページが足りない?時間切れ?)エンディングを迎えてしまったのように感じた のが、少し消化不良でした。 政治家>官僚>メディア>政治家 政治家、官僚、メディアの権力構造の仕組みが面白かったです。三竦み状態なんですね。三権分立では ないですが、司法、立法、行政のようにお互いが監視しあって、健全な社会が維持される状態が理想なの でしょう。ただ、揚げ足とりや細かいことを批判するのではなく、大きな方向性の中で、社会がよりよく なっていってもらいたいと思います。最近の政治は、批判ばかりで大きな理念が見えてきません。批判する なら、代替案も含めて提示してもらいたいものです。 自分の志や夢、希望と責任感。自分にできることを誠実に実行すること。読みながら、考えていました。 | ||||
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残念, 2010/10/23 By 藤井崇 - レビューをすべて見る レビュー対象商品: 虚像の砦 (単行本) ハゲタカ大好きでした。私としては久しぶりに土曜の夜のNHKを待ったものでした。 ガラガラのグランベリーモールでも、ハゲタカ劇場版を楽しみました。 この『作品』も、物語としてはワクワクするので5点なのですが 著者の思想が挟まれている内容を総括すれば3点です。 イラクでの日本人捕虜3人に対する、自作自演・自己責任の声は 時の政府およびマスコミが勢いづく前に、ネット上にて大勢を占めていました。 この事実を掴んでいない、あるいは意図的に避けている点は納得いきません。 著者自らが認めているように、取材した者、キャスター、電通の主観を排除できない以上 完全中立な報道なんてないのでしょう。 にも関わらず、巻末にある『この作品はフィクションです。ただ・・・』という含みのある文章。 この作品はとても上質のフィクションです。 要するに、PTB社擁護が非常に不快なのです。 | ||||
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筋立てはしっかりしてるし話も明快だから、本当はすごく面白い小説なんだと思います。 しかしこの本のテーマである「テレビ報道」の現場に居る人間の正義の基準がどうにも納得できず、結果的にわたしには面白いとは思えませんでした。 いくら新聞業界というマスコミの一角の出身者とはいえ、あの「ハゲタカ」の真山氏がこんなマスコミ万歳論を描くとは、と正直がっかりいたしました。 これから読まれる方もおられると思うのであまり内容には触れませんが、わたしの気になったところの例を。 主人公の一人である某テレビ局報道ディレクターが言います。 「あのバッシングはなんだったのか」と。 なんについてかと言うと、この小説では多少の言い換えはなされてますがTBSがオウム真理教にビデオを見せたことによって引き起こされた、坂本弁護士一家殺害事件についてです。 はたしてTBSは世間からそれほどバッシングされたでしょうか? そりゃ業界ではいろいろ言われたでしょうし居心地悪い思いもしたでしょうか、一般の国民に広く周知され、批判に晒されたでしょうか? 責任をとったでしょうか? わたしはそうは思いません。 少なくとも同じマスコミの人たちが、針小棒大に繰り返し報道を続け幾つかの食品会社を倒産に追いやったような情熱を持って、この「殺人事件」を伝えていた記憶はありません。 食品会社はつぶれ社員は路頭に迷いましたが、TBSは元気いっぱいですよね。 まして「椿事件」なんて、知らない国民の方が多いんじゃないでしょうか。 せめて総理大臣の漢字の読み間違いを繰り返し報道し続けるよりは情熱を持って伝えるべき大事件だったと思うのですが。 またその主人公は、彼の持つ報道の正義理論のひとつである「真実に近づくため」とイラクでの邦人誘拐事件の現地入りするのですが、あろうことか、彼は解放された邦人の真実の第一声を「国内ではあなた方はバッシングされているから」と指図して恣意的に言い換えさせてしまうんです。 なんなんだそれは。 こういうのを捏造というんじゃないのか? これが報道の正義なのか? どこが真実に近づいてるんだ? しかもそのバッシングは「政権の陰謀だ」と断定してしまいます。 主人公たちマスコミの人たちが、終始政権を敵視する姿勢は、ある意味権力の監視という意味では正しいのかもしれません。 でも権力に対し常に陰謀を弄していると見、精査せず政権を悪と捉えその観点からテレビで流すのが、本当に報道といえるのでしょうか。 これはあくまで小説ですが、真山氏の作品です。 どうしても現実のマスコミの現場の空気を伝えているように思え、日本の報道人の姿勢に恐ろしさすら感じました。 恐ろしさといえばこの主人公が「今ヒトラー」と小泉首相をモデルにしたと思われる人のことを何度も罵るのですが、この感覚はなんなんでしょうね。 当時のテレビでは自称評論家たちが堂々と小泉首相を批判し、テレビキャスターもまったく好意的ではなかったと思うのですが、ヒトラーってのはそういう存在なのでしょうか。 むしろわたしには、昨今テレビが政権をとらせようと明らかに偏向した姿勢で大応援している某野党の方にヒトラーを感じます。 マスコミにまったく批判されない政権が誕生したとき、それこそ大戦時の政府と大政翼賛会なんじゃないでしょうか。 そう、軍靴の足音が聞こえます。 | ||||
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TV放送業界の裏側をドラマチックに描いています。 大体想像していましたが、やっぱりドロドロした世界ですね。 読みごたえとしては、そのあたりの裏話が面白いです。 ただ、ストーリーは展開がうまくいきすぎて、 リアリティを求めるとつらいかも。 個人的にはやっぱりハゲタカの方が楽しめたかな。 | ||||
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ストーリーはよくできていますが、読む人を選ぶ作品だと思います。 作者流の善悪の定義をした上で話しが進んでいくので、終始違和感がありました。 作者の考えの理由付けも一部不十分な感じだと思います。 ですが、考えが作者と近い人が読めば非常にいい作品でしょう。 | ||||
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私はテレビ番組製作業を営む会社に勤め、プロダクションマネージャーとして13年働いている。 そんな私が思うに、まあかなり良くできている話ではないかと思う。 テレビ局の営業担当の姿がないとか、代理店の影が薄いとか、今のテレビ局にこんなに気骨のある人がいるのかなあという疑問とか(ま報道局の人とは仕事したことないから実態は知らないけど)、 親子の会話が凄まじく不自然であるとか、お笑いプロデューサーと部下のディレクターの会話があり得ないくらい不自然で異常とか、 イラクがモデルの国を「イスラム共和国」というネーミングにするとか、アルジャジーラをメソポタミア放送とネーミングするとか、毎朝新聞という毎日新聞がモデルなのか朝日新聞がモデルなのかわからないようなべったべたなネーミングするとか凄まじいまでのセンスの無さ(あるいはステレオタイプなわかりやすさを示したかったのか?)とか、 そのくせヨルダンはヨルダンと実名を出しているアンバランスさとか、 報道局の37歳のディレクターが運転手付きの車で取材に行くなんていくら局とはいえそんな贅沢できるんですかい?とか、 まあいろいろと文句はあるけど、 まあ結局夜中の1時まで読みふけって一気読みしたので、面白かったんだろう。 それと、明らかに古舘伊知郎(がモデルとなっている数行だけ登場する人物)のことを問題外のバカと断言しているところに、著者の気概を感じる(大袈裟)。 | ||||
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テレビ番組の作り手の視点から見た政治、社会、行政という設定。実際にあった宗教団体の弁護士一家殺害事件や某戦闘地域での邦人人質事件等を彷彿とさせる出来事をネタに話が進む。著者は大手新聞社記者出身という経歴のせいか、メディアの「正義」にどうも甘い。この小説を読むと、「現代社会で最も権力を有するのは結局メディアなのか?」という諦めとも絶望ともつかない思いにかられる。 政治家や大金持ちも個人、社長や次官もポストに過ぎず、いわば、期限付きの権力者だ。しかも所属と氏名、顔という個人性を表面に出した権力者だ。それに比べてメディアは、顔のない組織が、現代では最も威力を発する情報操作という「権力」で人の心や社会のシステムを動かしていく。その中にあって、マスコミ人が勘違いしてしまうのもむべなるかな。 メディアの報道は、所詮、つくりものだ。記者が取材した時点で既に「事実」は二次情報になり、視聴者や読者に届く頃には、無限のフィルターを通過し、しかも映像もコメントも切り貼り。今更と思いつつも、「報道」の必要性を考えてしまう。 この小説の中で、唯一救いなのは、バラエティ番組プロデューサーの「笑いを届けたい」という真摯な思いだ。案外、テレビ局の存在意義の本質は、今の世の中、バラエティやドラマという、完全な作り物にあるのかもしれない。 | ||||
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