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帝の毒薬
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帝の毒薬の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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本書は、帝銀事件を731部隊(石井部隊)と関連付けてのフィクション。 舞台は、戦時下の満州と帝銀事件を追った東京との二部構成となっている。 曲者なのは、本書のフィクションたる所以が、史実から逸脱したストーリーにあるところ。 帝銀事件で犯人とされ続けた平沢翁を除けば、全ての登場人物は架空の者であり、石井中将も倉田という別の名前にして、多くは全く想像の振る舞いに終始している。むろん、虚実の狭間を描くことで、小説としての完成度が高まるなら、歓迎なのだが、この小説にはそうした高まりはない。 この著者の主なフィールドは、よくある警察・刑事小説で、歴史や史実への深い洞察や知識はない。この話の手垢のついたマンガ的人物には、わざわざ帝銀事件も731部隊も不要だろう。当然だが、フィクションを取り入れたことで、史実を鋭く描けたわけでもない。 松本清張的な歴史推理、あるいは、近年の戦後謀略モノのスマッシュヒットである柴田哲考「下山事件−最後の証言」等を期待する向きには、決して勧めない。 調べたものを昇華せずそのまま書き並べるだけなので、時代描写はまぁまぁでも、薄っぺらい書き割にしか時代背景がなっていない。 しかも、登場人物が浮世離れにしてご都合主義とくれば、これで同ボリュームの単行本の5割増しの価格は、腹立たしい。 第日本「帝」国と、「帝」銀事件を、かけたタイトルには、そそられただけに、その反動での落胆は大きかった。 但し、帝銀事件も731部隊も占領下の謀略日本史も何も知らない人が、純粋なサスペンス活劇として読むならば、☆3つくらいは感じる人もいるかもしれない。 当たり前に、そうした時代から半世紀が過ぎているのだから、無知は罪ではない。むしろ、そんな瑣末な知識を前提にモノを書く人の方がマイナーだろう。 それにしても、小説としての出来不出来は、知識の多寡を問わずあってしかりだろう。 この本は、昔昔に、香港映画で、731部隊を題材にしたスプラッターが売りのシリーズがあったが、それといい勝負。その程度だ。 | ||||
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