帝の毒薬
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本作は帝銀事件をベースにしたフィクションなんですが、 ・帝銀事件の隠された真相に迫る、ノンフィクションに限りなく近いフィクション ・帝銀事件をベースにしてるけど、あくまでフィクションなミステリー どちらの視点で読むかによって、評価が大きく別れると思います。 前者だと、735部隊(中国人捕虜を生物兵器の実験台にしていたとされる 旧日本軍の組織)を元にしているんであろう部隊が絡んでくるトンデモ真相 なんで、がっかりする人も多いんじゃないかと。 しかし後者の場合、かなり面白いです。 永瀬さんの作品で「実際の事件をベースにしたフィクション」と言うと 『閃光』(三億円事件がベース)がありますが、あれよりも重々しいと いうか、ノンフィクションっぽい(事件の真相以外は)というか。 ずっしりとした読み応えでした(良い意味で)。 島田荘司さんの『奇想、天を動かす』に似た読後感&満足感ですね。 そもそも帝銀事件が、不特定多数の人に興味をもたれるような 事件じゃないと思いますし、加えてこのお値段。 私のような「もともとの永瀬さんファン」でなければなかなか 手に取りづらいと思いますが、ぜひ読んで欲しい。 「重々しい展開」「ヒリヒリする緊張感」、このキーワードにそそられる 人なら、絶対に楽しめると思います。 | ||||
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まず、最初に、とてもよくできたフィクションと思う。 登場人物の描き分け、こみいったストーリーが終末まで バラバラにならず、しかも登場人物が最後の一文まで、 見えざる糸に操られるように絡み合い、溶け込む様は 見事としか言いようがない。 戦中の満州、終戦直後の東京の様子がかくも鮮やかに、 しかも猥雑な雰囲気が見事に描写されているのも特筆に 価します。そして日本人があの頃、どんな行動をして いたのかも。それはいつの時代でも忘れてはいけない 僕たちの本質でもあります。 あの頃、そういった情報もあったなぁ、といった内容も 満遍なく織り込まれ、しかもそれがストーリーの中で 重要な要素となっているし、よく筆者がここまで調べて それを帝銀事件をモチーフに纏め上げたなぁ、と脱帽。 素晴らしい。 帝銀事件に何か真相発見とかを本書に期待しても、それは ないものねだりと言えますし、ストーリーが荒唐無稽とも 言えましょうが、そんなことをすべて打ち消すような魅力が たっぷりとあります。 上記以外のこの本の良さ。 ・ジャーナリズムの本質を問題提議している。 (昨今のマスコミのあまりの幼稚さ、くだらなさ) ・日本人の本質は何も変わっていないことを改めて 気づかせてくれる。 (僕たちはそれを忘れてはいけない) ・日本の南北問題、2重構造。 (いろいろな意味で。昔も今も) ・日本の組織の抱える問題。 (同上) 2点目、3点目は、太平洋戦争を、あの戦争、、、とか申す 小賢しい評論家たちに反省をもたらすでしょう。 | ||||
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本書は、帝銀事件を731部隊(石井部隊)と関連付けてのフィクション。 舞台は、戦時下の満州と帝銀事件を追った東京との二部構成となっている。 曲者なのは、本書のフィクションたる所以が、史実から逸脱したストーリーにあるところ。 帝銀事件で犯人とされ続けた平沢翁を除けば、全ての登場人物は架空の者であり、石井中将も倉田という別の名前にして、多くは全く想像の振る舞いに終始している。むろん、虚実の狭間を描くことで、小説としての完成度が高まるなら、歓迎なのだが、この小説にはそうした高まりはない。 この著者の主なフィールドは、よくある警察・刑事小説で、歴史や史実への深い洞察や知識はない。この話の手垢のついたマンガ的人物には、わざわざ帝銀事件も731部隊も不要だろう。当然だが、フィクションを取り入れたことで、史実を鋭く描けたわけでもない。 松本清張的な歴史推理、あるいは、近年の戦後謀略モノのスマッシュヒットである柴田哲考「下山事件−最後の証言」等を期待する向きには、決して勧めない。 調べたものを昇華せずそのまま書き並べるだけなので、時代描写はまぁまぁでも、薄っぺらい書き割にしか時代背景がなっていない。 しかも、登場人物が浮世離れにしてご都合主義とくれば、これで同ボリュームの単行本の5割増しの価格は、腹立たしい。 第日本「帝」国と、「帝」銀事件を、かけたタイトルには、そそられただけに、その反動での落胆は大きかった。 但し、帝銀事件も731部隊も占領下の謀略日本史も何も知らない人が、純粋なサスペンス活劇として読むならば、☆3つくらいは感じる人もいるかもしれない。 当たり前に、そうした時代から半世紀が過ぎているのだから、無知は罪ではない。むしろ、そんな瑣末な知識を前提にモノを書く人の方がマイナーだろう。 それにしても、小説としての出来不出来は、知識の多寡を問わずあってしかりだろう。 この本は、昔昔に、香港映画で、731部隊を題材にしたスプラッターが売りのシリーズがあったが、それといい勝負。その程度だ。 | ||||
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