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築地ファントムホテル
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築地ファントムホテルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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実在したホテルが舞台となっており,それがいきなり焼け落ちる始まりが印象的な一冊. 二部構成の物語は,第一部は主に捜査パートとして,多くの人物や証言が浮かんでは消え, 全体的に長めですが,引き出される証言も含めて,会話の様子が自然でスムーズに読めます. また,対二部では,読む側はもちろん,探偵役も抱いていた疑問が次々に覆されていき, それらが繋がっていく気持ち良さ,それでいて届かない真相に考えを巡らせるのが楽しく, そこから一転,思わぬ様相を見せる結末は,悲しい『すれ違い』に何とも言えない思いが…. 大きな時代のうねりに飲まれる人と国家を描き,ミステリとしても物語としても満足で, そこへわずかな光を覗かせるエピローグが,どこかで繋がる小さな希望と余韻を残します. なお,12年02月の単行本の文庫化で,これに伴い,加筆と修正が行われているとのことです. | ||||
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明治5年に銀座を焼き尽くした大火は、西洋人呼ぶところのエド・ホテル、すなわち、日本初の西洋式高級ホテルである東京築地ホテルをも灰燼に帰した。だが、数多の焼死体の中に発見された一人のイギリス人の腹部には刀傷が確認され、焼け出された別のイギリス人の証言により、"鎧兜で武装し、太刀を身構えた日本人の侍"の存在が浮かび上がる。"異人さん"専用ホテルにSAMURAIが姿を隠して侵入できたのはなぜか。あるいは、西洋文明の尺度で図ることのできない、東洋の神秘なのか。 インド大反乱、アヘン戦争、アロー号事件など、近代アジアと大英帝国の修羅場をくぐり抜けてきたイギリス人写真家、ベアトは、現場で遭遇した新政府の警視に極秘捜査の取引を持ちかけられる……。 江戸川乱歩賞作家の最新ミステリーを一気読みだ。 アメリカ人、イギリス人、ドイツ人がわがもの顔で闊歩し、清国人が地を這うように苦役に従事する横浜外国人居留地と、数年前まで徳川幕府の本拠地であり、いまや新政権が近代化に邁進する東京で垣間見られる活気と沈鬱。それは、新時代の日本の姿の縮図でもあるが、その下層にみて取れる薩摩・長州勢力と佐賀勢力によるせめぎ合いが、ひとつの姉弟を悲劇に巻き込むことになる。 家禄を失った旗本御家人の悲惨な行く末は、プライドを失わずに生きることの難しさを余すことなく顕現する。それでも"誰の力も借りずに、一人で歩んでゆく"であろう東次郎の人生に、希望の灯ることを望みたい。 | ||||
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