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恐怖の総和
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恐怖の総和の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.79pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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CIAの副長官ライアン発案の和平条約がアメリカ主導で締結され、中東での平和が実現した。 それに伴い米ソ間の緊張もゆるむが、それが気に入らないイスラム系のテロリストが、偶然手に入れたプルトニウムから核爆弾を製造し、アメリカでのテロを企てる。 政治家や政府高官たちは、誤った情報や思い込みから疑心暗鬼にとらわれ、核兵器大国である米ソ間でお互いへの不信感が高まり、世界は破滅の淵に立たされる。 果たしてライアンは、人々の恐怖の総和が生み出したこの危機を、回避させる事ができるのか。 【以下ネタバレあり】 専門用語を駆使した技術的な描写は細緻を極め、したがってとても長い。 クライマックスが始まるまで1100ページあまりも費やされ、それまでは特に盛り上がる場面もなく、物事の経過が描かれるだけなので、忍耐力が必要。 しかし、ひとたび物語が動き出してからは一気呵成。 こういう話は、核爆弾の爆発が間一髪で阻止されて終わるというのが通常だが、本書ではそれが実際に爆発し数万人の死者が出てしまう。 そのため、終盤の展開では「本当に最悪の事態になってしまうのでは」と読者は思わされ、手に汗を握る事になる。 ここは、極めて大胆だし上手い。 本書の弱点はやはり、上下巻で1500ページ近い本編にぎっしりと詰め込まれた、軍事、技術、科学的専門用語が、一般読者へのハードルを上げてしまっているところだろう。(好きな人には、そこがいいのだろうけど) 段落ごとの人物の視点の統一がなされていない。 技術的描写とは対照的に、風景描写があまりないので、誰がどこにどういう状況でいるのかが分かりにくい。 読者にある程度、軍事知識がある事を前提に書かれているので、艦船、車輌、ミサイル、爆弾などの、そのものの形や大きさの説明も少ない。 などのように、小説としての及第点に達していない部分もある。 核爆弾の製造過程は数十ページにわたって描かれるのに、最大の見せ場であるその爆発シーンがわずか数ページで、しかも直接的な破壊の描写もないため不満が残る。 とはいえ、核兵器の抑止力による平和がいかに危ういかを、1990年代初頭に、ここまでのリアリティーをもって書ける作家は著者以外にはいなかったと思う。 本書が、軍事スリラーというジャンルのひとつの到達点である事は、間違いない。 | ||||
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■バチカンで キリスト教、イスラム教、ユダヤ教(イスラエル)の世界初の平和条約が締結された。 ■ボラン高原に中東戦争でイスラエルが使用した不発弾の核兵器が埋まっていた・それを、農夫が発見し、テロリストに引き渡す・農夫もテロリストも、それが核兵器であることを分からず、分解してプルトニュウムが出てきて初めて それが核兵器であることを知る・・・・・ ■核兵器は、3次構造になっていて 1 爆薬を爆発させる 2 爆薬の力でプルトニュウムを圧縮する 3 そこに、バッテリーから取り出した 三重水素を注入することで 爆発の威力が増す・・・・・ ■核兵器の製造は 高度で精度の非常に高い精密工作機械が必要である・・・・・ ■核兵器が完成する前に 技術責任者が射殺されてしまった。そのために、核兵器は 威力を半減させたままの未完成品になってしまう・・・・・ ■ジャック ライアンは、ソ連からの核兵器流出を調査しており、それが、アメリカ製のプルトニュウムであることも、船を使ってアメリカ国内に持ち込まれたことも、アメリカ国内で核兵器が使用されるまで 全く把握できていなかった。 ■映画 (トータルフィアーズ)対して、原作本は 読みごたえのある内容になっている | ||||
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この作品もすごい。ライアンはCIA副長官。 トム・クランシー作品共通のパターンで複線的に世界の各地(アメリカ、バチカン、シリア、イスラエル)で様々なことが起こるが、これが、下巻のクライマックス向けて一つになっていく迫力は相変わらず。 中東和平のアイデア(イスラエルの平和はスイス兵とアメリカ軍が防衛)はライアンが立案し、バチカンのコネを使って実現に至るが、これがホワイトハウスの安全保障担当の補佐官の妬みを買い、却って難しい立場に置かれることになる。 このとき、偶然と必然の絶妙の組み合わせが起こる。 つまり、デンバーでの核爆発を機に米ソの緊急対応体制が一斉に立ち上がる。 ファウラー大統領はDEFCON2を指示し、それがソ連の緊急対応(全海軍出撃)を誘発する。偶発的に米軍のF14が地中海でミグ29を撃墜、ベルリンではT80とM1A1の間で戦車戦が発生し、オライオンがアクラ級で潜水艦に魚雷発射をする。 これで全面核戦争に至りそうになるのを創造的なアイデアでソ連大統領と会話し、それを阻止するのだが、この重要なシーンは映画(「トータル・フィアーズ(原題:The Sum of All Fears)」)では事実上割愛されている。 なお、原爆製造に関連した記載があちこちにあるのも異例。 書いてある記載が正しいのかどうかはともかく、興味深い記載としては、プルトニウムが融点下で4つの相転移があって、ある温度の範囲内で40%も密度が変わるとか。この安定しない物質をイスラエルはガリウムで安定させているとのこと。 また、原爆は、結構複雑なプロセスを通じて爆発するようで、トリチウムから発生した中性子が核分裂反応を促進し、そこから出た中性子がトリチウムの核融合反応を起こすということらしい。 | ||||
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これまでの作品はソ連、アイルランド、コロンビアと各々1対1の構図でしたが、シリーズ第5作は中東を発端により複雑にスケールアップ。前作と違いJackもサボらずに(?)のっけから出ずっぱりです。 今回ユニークなのは、Jackの敵が外国やその不届きな輩のみならず、むしろ危機管理能力に欠ける大統領や野心と嫉妬の強いN.S.A.(国家安全保障担当)等上位の序列にある身内である点でしょう。その醜いいさかい故にCathyとの家庭不和まで起こるという、作者にとってはシリーズ始まって以来の人間臭いテーマを盛り込みました。この結果、クライマックスに掛けて用意されたこれまでにない大きな仕掛けと見せ場が一層目覚しい効果を挙げています。米ソ両国首脳のホットラインに乱入し、果ては自国の大統領に異を申し立てるなど、まるで『合衆国崩壊』での展開を視野に入れたかのようです。 “Patriot Games”の初々しさもよかったですが、本作の悩めるRyanもいいですね。まだ全部読んでいませんが、シリーズ最高傑作と予感しました。尚、ソ連人内通者のコードネーム「武蔵」を“Mushashi”と表記しており(イスラムか!? by タカ&トシ風)、軍事に関して徹底的に拘る作者はその他のことには相変わらず徹底的にいい加減です。 | ||||
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この作品は映画にもされたけどは、トムクライシーものには珍しく、小説も、 良くできた映画の方も、意外に意外に人気が出ず、不思議に思った。 確かに、この小説はのプロットは相当難解なところがあったが、終盤のクライ マックスの迫力は、とにかくもう本を手放させなくなる(その意味で、これは 「上」のレビューだけど、絶対に「下」まで行って欲しいと思うんですね)。 この作品は、核の恐怖、と言うより、人間の猜疑心の連鎖が超大国の間で起る ことの怖さとてもうまく描いていると思う。 ただ、原作の題名(「恐怖の総和」)も、映画の邦題(まんまの、「トータル・ フィアーズ」も、微妙になんのことかわからない、と言うところがちょっと一般 受けしなかったのか。 僕は、これは「愚か者の論理」か、「猜疑心の連鎖」の感じかな、と思います。 とにかく、そのちょっと取っつきにくい邦題にかかわらず、この作品はポリティ カルサスペンス、ウォーゲーム、近未来サペンス。。。様々な方向から一級の娯 楽性を持ちながら、今の我々の危ういパワーバランスの世界が、余すことなく描 かれる、これはおすすめの作品です。 ちょっと題名のことで、☆一個減らしています。 | ||||
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私は本書を「クレムリンの枢機卿」と共に著者の代表作であると確信している。本業の傍ら執筆に9年を要したという‘潜水艦’から既に類希な感性が発揮され、政治・軍事を軸に展開された著者の世界は「クレムリン」に至り‘小説’として頂点に達し、更に膨大で綿密な本書の内容は、著者が‘執念’の結晶と化したことを伝える。 そして、題の「恐怖」は核やテロのことではない。著者は本書で「核の危機」を隠喩としてその緊張の「総和」、即ち結果を示唆することで、疑心暗鬼に満ちた我々人間の日常の内面に警鐘を鳴らす。当時の著者が単なる「軍事」でも「テクノ」でもなく‘作家’であったことの所以であるのだが、作風をすっかり変えてしまった最近の娯楽作しか知らない人には、是非触れてほしい著者の真骨頂である。 | ||||
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ある日、ひょんなことからトム・クランシーに出会いました。もともとショーン・コネリーのファンだった私は「レッドオクトーバーを追え」の映画ポスターを見て、映画見る前に原作を読んでみようと思い・・・それ以来完全にはまってしまいました。この本は俗に言う「ジャック・ライアン・シリーズ」といわれるもので、最初はCIA分析官だった人が、しまいには合衆国大統領になってしまうという壮大なシリーズ(んなことあるわけないよと思うでしょうが、その就任の仕方はドラマティック)。なかでもこの作品は核テロリズムと中東和平の問題を取り扱っている重厚な読み応えのある小説です。テロリストが原爆を作る場面と中東和平条約調印という場面を交互に同時進行させて緊迫感を演出しつつ、その詳細で緻密な原爆製作過程の描写は圧巻です。また、原爆が爆発する瞬間の1秒間のプロセスを描いた「スリーシェイク」章は、あたかも装置の中を自分が電流になって爆発過程をたどっている錯覚に落ちいるほどです。 ただ単に「テクノスリラー」とだけででは片付けられない偉大な作家です。 ほかに、「日米開戦」「合衆国崩壊」「大戦勃発」もお勧めです。 | ||||
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ベストセラーのテレビゲームは、毎年新しいバージョンがでていますが、旧版の熱烈なファンが次の版の発売をまって購入するのが中心だと聞きました。途中からでは入れないほど高度化しているということらしいです。(私自身はテレビゲームは全くやらないので不正確かもしれません。) トムクランシーのジャック・ライアンもののシリーズはそれと似ています。「レッドオクトーバーを追え」から、何年かにわたって読みつづけてきたからこそ、登場人物の背景や伏線も含めて面白さを堪能できるわけです。また、ショーン・コネリー出演の「レッドオクトーバーを追え」やハリソン・フォード主演でとられた何作かの映画が、さらにイメージを立体的にしてくれます。 その立体的なイメージは、本作で最高潮!をむかえ、このあとに続く作品では、徐々に話が荒唐無稽なわりには立体感に乏しくなっていくような気がします。テレビゲームも、あるバージョンでピークを迎えて消えていくのだとおもいますが、その点も似ていますね また、本作を映画化した「トータルフィアーズ」は、長年育ててきたジャック・ライアンのイメージをぶち壊してくれました。残念です。 | ||||
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2001年9月11日の事件は映画でしか考えられない場面が次々と私達を襲いました。事件当夜、トム・クランシーの読者は事態がこれ以上小説に沿って悪化しないことを祈りながらテレビの前を離れられなかったのではないでしょうか。奇しくも「日米開戦」が事件の原型となったことがこの本を手にとるきっかけとなった方もおありでしょう。 クランシーは長年に渡り数多くのベストセラーを世に送り出してきましたが、それぞれの小説の中心となる大きなテーマをおなじみの役者を巧みに使って描いていくことで、それぞれの作品に一冊の本だけでは成し遂げ得ないほどの内容の厚みをで持たせるというに成功している作家です。この特殊技法ではそれぞれの作品が独立性を持ちながらも、登場人物が再登場したり過去の事件が言及されても、以前の作品を読んでいなくとも話しがつながるように簡単な解説の文章が添えられます。それでも読者をしてほかの作品をも読ませようという技法はやはりベストセラー作家だとあらためて納得さえさせられます。 前置きが長くなりましたが「恐怖の緩和」は「レッドオクトーバーを追え」、「愛国者のゲーム」、「いまそこにある危機」のちょっと古い3本のヒット映画と「日米開戦」、「合衆国崩壊」の空間を埋めるパズルの一角のような作品です。いいかえれば、「レッドオクトーバーを追え」では20代後半だった若者のジャック・ライアンが大統領職も板について2期目に入った「ベアとドラゴン」の丁度中間点に位置する作品で、ライアンの成長過渡期の姿が描かれています。若くして経済的にも成功し頭脳明晰で頼りになる友達も多いライアンが、人間性に欠ける上層部のいやがらせから不合理に苦境にたたされるところは読者としても憤りを感じますが、これが底力となって物語をどんどん緊迫した雰囲気にもっていくところは豪快でどんどん読み進めます。 ライアン虐待首謀者はエリザベス・エリオット国家安全保障問題特別補佐官。現在女性でほかの閣僚に比べれば若くてきれいな国家安保補佐官と言えば浮かぶのはライス女史。エリオット女史がベニングトンの教授ならこちらはスタンフォード大学の学長という経歴をお持ち。ライス女史はブッシュ・シニア時代のお友達の返り咲き的なブッシュ・ジュニアの閣僚の中では一応評価は受けていますが実はシニア時代にも補佐官を務めた経験があるそうです。クランシーはここからヒントを得たのか?大統領とエリオット補佐官は公然とは知られていませんがベッドをともにする間柄。大統領はやもめで、補佐官はオールドミス。外交訪問のエアフォース・ワンの寝室に女性を連れこむなどちょっとクランシー小説では見られないタッチもありますが、これもお膳立てのひとつなのでしょう。 上記の映画3部作は見ましたが、本はまだで今回「愛国者のゲーム」、「いまそこにある危機」、「恐怖の緩和」が一冊にまとまったハードカバーを読みました。それぞれ映画以上の気迫は間違いなし。「恐怖の緩和」もおすすめですが、できれば三部作を順番に読まれてクランシー小説の醍醐味を存分に味わうのが一番のお薦めです。 | ||||
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