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瑠璃の雫



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【この小説が収録されている参考書籍】
瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)

瑠璃の雫の評価: 4.09/5点 レビュー 43件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.09pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全43件 41~43 3/3ページ
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No.3:
(5pt)

あらゆる意味で重厚

まず最初に言いたいのは「解説を先に読んだらダメ」です。
前のレビュアさんも言っておられますが、あらすじを書く解説者さんの神経はちょっと分からないですね。私らみたいな素人じゃないなら、解説基準で選ぶ愚か者も気にかけて欲しいと思う。

ただ解説の「それぞれの忌まわしい過去が呼応し、驚くべき事実が浮かび上がる重奏的な作りは大変凝っていて、物語の奥行きと読み応えは、間違いなく伊岡作品随一と言える」には納得しました。私はこの作家さんは初めてなので他の本は知りませんが、娯楽小説の中でもかなり重厚だと思います。

人物たちの抱える闇にしても、事件性にしても、展開の全てが濃厚です。もちろん世の中にはより凝っている重い小説があるでしょうが、この小説も軽々しく読むと後悔する本だと思います。それに割合スローテンポなところも苦痛になるかも知れません。どのような内容でも自分の中で昇華出来る読者さん向けだと思います。

まあ、正義感の強い方なら悶々とさせられるのは間違いないです。爽快感などどこにもありません。しかし、主要人物たちが押しつぶされそうになって足がいているなか、強く生きようとする人物たちもいます。私の場合、序盤では物語の核心に接しながらも明るさを失わない女性に救われ、最後の最後では己の境遇を知りながらそれを受入れてしまった人物の諦観が救いになりました。過去に消えて行った闇を風化させ、己や皆のためにも忘れようとする健気さを知っている方には、ぜひ読むことをお勧めします。

久々に読書らしい読書ができたように思う。
瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)Amazon書評・レビュー:瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)より
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No.2:
(5pt)

傑作だが重い。

桜木紫乃『凍原』と似た佇まいの作品。

 家族によって家庭を壊された少女と、赤の他人によって家庭を壊された男の出逢いから物語の幕は開け、登場人物の多くが消えてゆき、一人の人物が再登場して幕を閉じる。出来事の一つ一つがよく考えれば実に無残なのだが、決して曖昧でなく、かつ無残さを感じさせずに物語を進めていく筆致は見事。葉書のジオラマや石という小道具の演出も光っている。敢えてこれ以上語らないが、読み応え十分の傑作。

 ではあるが、すべては遠い過去の出来事であり、それゆえにもはや解決は決して叶わず、「解決のない解明」という結末は不快ではないのだが非常に重いので念のため。

 ところで、本書に収められた解説もそうなのだが、ただあらすじを辿っただけで良しとする中味のない解説がよく見られるが、これは単に邪魔でしかないし、書き手の神経を疑わずにはいられない。
瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)Amazon書評・レビュー:瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)より
4043897030
No.1:
(4pt)

敢えて苦言を・・・

伊岡作品は「いつか、虹の向こうへ」に続き2作目。
最近の売れ線といえば、とにかくおもしろおかしくて読みやすければOKという
風潮が蔓延している。
その点著者は、硬質な1本筋の通ったストーリーばかりで物語を読みこませる。
ただこの作品については、そういう著者の作風を踏襲しながらも、どこか読後に
不快感が残ったのも事実。「いつか、」の時のように一読者としての『救い』も
見つけられなかった。
ただし、このような作風を本線とする作家は今の世の中には非常に貴重で、今後
も読み続けていきたいと思う。
瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)Amazon書評・レビュー:瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)より
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