卵をめぐる祖父の戦争

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評判

卵をめぐる祖父の戦争の評価:

4.64/5点 レビュー 69件。 B ランク

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平均点4.64pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全104件 21〜40 2/6ページ
No.84
(5pt)

「ヘンな戦場物語」を構想できた著者へ星5ヶ進呈!

本書の原題は、「City of Thieves」であるが、邦訳版のタイトルに『卵をめぐる祖父の戦争』としたのは良かった。
 「泥棒の都市」という題名では、多分あまり売れなかったのではないだろうか。
 著者デイヴィット・ベニオフは、ハリソン・ソールズベリーの『攻防900日――包囲されたレニングラード』とクルツィオ・マラパルテの『壊れたヨーロッパ』の助けを借りてこの物語を書くことができたと、巻末の「謝辞」のなかで述べている。
 この奇妙なカップルが、何故、ナチスドイツに包囲されたレニングラードからドイツ軍占領地帯まで1ダースの卵を探しにいくことになってしまったのか。
 ネタバレになるから詳しくは書かないが、この物語の主人公のレフとコーリァが次から次へと遭遇する戦場体験には、先に上げた二人の作品からエピソードを得て著者は物語に挿入したのだろう。
 バルチザンの名射撃手のヴィカが、「あんたたち二人は変なカップルね」と揶揄するところがあったが、この二人のおかしな会話や行動が、戦争の凄惨さを、一時忘れさせてくれるから、読者は、ハラハラしながら次のページへと読み進むことができる。
 人類の大きな愚挙が戦争である、と著者デイヴィット・ベニオフは、大上段に構えることもなく、戦争というものが不条理でアホらしいことなのだと、この物語を通して痛烈に語りたかったのだろう。
 このようなヘンな物語の構想を思い浮かぶ著者の頭のなかを覗いてみたくなりながら、不条理あり、悲惨あり、諧謔あり、「あたし、料理はしないの」というエンディングで終える本書『卵をめぐる祖父の戦争』を、微笑みながら読み終えたのです。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)より
4150412480
No.83
(5pt)

「ヘンな戦場物語」を構想できた著者へ星5ヶ進呈!

本書の原題は、「City of Thieves」であるが、邦訳版のタイトルに『卵をめぐる祖父の戦争』としたのは良かった。
 「泥棒の都市」という題名では、多分あまり売れなかったのではないだろうか。
 著者デイヴィット・ベニオフは、ハリソン・ソールズベリーの『攻防900日――包囲されたレニングラード』とクルツィオ・マラパルテの『壊れたヨーロッパ』の助けを借りてこの物語を書くことができたと、巻末の「謝辞」のなかで述べている。
 この奇妙なカップルが、何故、ナチスドイツに包囲されたレニングラードからドイツ軍占領地帯まで1ダースの卵を探しにいくことになってしまったのか。
 ネタバレになるから詳しくは書かないが、この物語の主人公のレフとコーリァが次から次へと遭遇する戦場体験には、先に上げた二人の作品からエピソードを得て著者は物語に挿入したのだろう。
 バルチザンの名射撃手のヴィカが、「あんたたち二人は変なカップルね」と揶揄するところがあったが、この二人のおかしな会話や行動が、戦争の凄惨さを、一時忘れさせてくれるから、読者は、ハラハラしながら次のページへと読み進むことができる。
 人類の大きな愚挙が戦争である、と著者デイヴィット・ベニオフは、大上段に構えることもなく、戦争というものが不条理でアホらしいことなのだと、この物語を通して痛烈に語りたかったのだろう。
 このようなヘンな物語の構想を思い浮かぶ著者の頭のなかを覗いてみたくなりながら、不条理あり、悲惨あり、諧謔あり、「あたし、料理はしないの」というエンディングで終える本書『卵をめぐる祖父の戦争』を、微笑みながら読み終えたのです。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)より
4150018383
No.82
(5pt)

デイヴィッドベニオフ侮りがたし

久しぶりに小説を読みましたが、普通に面白かったです。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)より
4150412480
No.81
(5pt)

デイヴィッドベニオフ侮りがたし

久しぶりに小説を読みましたが、普通に面白かったです。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)より
4150018383
No.80
(5pt)

戦争文学の最高峰

これは素晴らしかった…戦争という舞台立てのなかでのごく個人的な物語、大それた作戦に従事するわけでもない
きわめてパーソナルな物語でありながら(任務はなにしろ、上司の娘の結婚式のために卵を探してくるというもの!)
一切の過不足なく戦争のむなしさ愚かさを描ききっている。それを正面から説教臭くなるわけではなく、登場人物の
たどる道筋そのもので表現しているのだ。この著者は映画畑の人のようだが、めちゃくちゃ小説が巧い。ユーモアと
ペーソスの扱い方、その手さばきは堂に入ったものでサービス精神旺盛、白けさせることなく、人物造形もたえず飽
きさせない。生命や出逢いを肯定する切れ味抜群のエンディングに向けて、さりげなく、実に巧妙に伏線が敷かれて
いるのも好感度大(ややネタバレ:一体誰と結ばれるの?といった興味を引くために女の登場人物を随所で配している
のがわかる、そしてあの決着!ばあちゃん凄え!)今年読んだなかでも一、二を争う傑作でした。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)より
4150412480
No.79
(5pt)

戦争文学の最高峰

これは素晴らしかった…戦争という舞台立てのなかでのごく個人的な物語、大それた作戦に従事するわけでもない
きわめてパーソナルな物語でありながら(任務はなにしろ、上司の娘の結婚式のために卵を探してくるというもの!)
一切の過不足なく戦争のむなしさ愚かさを描ききっている。それを正面から説教臭くなるわけではなく、登場人物の
たどる道筋そのもので表現しているのだ。この著者は映画畑の人のようだが、めちゃくちゃ小説が巧い。ユーモアと
ペーソスの扱い方、その手さばきは堂に入ったものでサービス精神旺盛、白けさせることなく、人物造形もたえず飽
きさせない。生命や出逢いを肯定する切れ味抜群のエンディングに向けて、さりげなく、実に巧妙に伏線が敷かれて
いるのも好感度大(ややネタバレ:一体誰と結ばれるの?といった興味を引くために女の登場人物を随所で配している
のがわかる、そしてあの決着!ばあちゃん凄え!)今年読んだなかでも一、二を争う傑作でした。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)より
4150018383
No.78
(5pt)

面白い!

ストーリー作りが上手いしキャラも立っている。充実した読書体験ができて大満足。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)より
4150412480
No.77
(5pt)

面白い!

ストーリー作りが上手いしキャラも立っている。充実した読書体験ができて大満足。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)より
4150018383
No.76
(5pt)

なるほど! いい題名だ。

大佐の娘の為に「卵を調達にいく」という設定が如何に「あほげな」命令か、
置かれている状況、環境が見えてくるほどにその理不尽さに辛くなる。

レフ(17歳)、コーリャ(脱走兵)、ヴィカ(女狙撃手)3人の若者の命が戦争でもて遊ばれる。
容赦なく侵攻するドイツ軍、必死に抵抗するソヴィエト軍。
史実は厳しい寒さにドイツ軍は敗退するが彼らも制裁の厳しいソヴィエトという国の犠牲者である。
そんな中にもユーモアを忘れず目的達成の為にひたすら生き抜こうとする彼らに共感して胸が詰まってしまった。

平和な国の若者は今なにを目標に戦うのか。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)より
4150412480
No.75
(5pt)

なるほど! いい題名だ。

大佐の娘の為に「卵を調達にいく」という設定が如何に「あほげな」命令か、
置かれている状況、環境が見えてくるほどにその理不尽さに辛くなる。

レフ(17歳)、コーリャ(脱走兵)、ヴィカ(女狙撃手)3人の若者の命が戦争でもて遊ばれる。
容赦なく侵攻するドイツ軍、必死に抵抗するソヴィエト軍。
史実は厳しい寒さにドイツ軍は敗退するが彼らも制裁の厳しいソヴィエトという国の犠牲者である。
そんな中にもユーモアを忘れず目的達成の為にひたすら生き抜こうとする彼らに共感して胸が詰まってしまった。

平和な国の若者は今なにを目標に戦うのか。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)より
4150018383
No.74
(5pt)

面白くつくりましたねえ、そして読んで面白かったですよ。

コーリャのしつこいくらいの「中庭の猟犬」、レフと同じ気持ちになりますよね。でも物語の渦中では太字もののついつい、捨てがたい情景でもあります。深刻な戦争の物語が表層を形作っていても一層下がると、それ以外に笑いあり、スリルあり、ロシアの自然の景色あり、マドンナたちの横顔があり、次から次、という感じでわくわくでした。ヴィカさんも戦場の中での登場はあまり前面にイメージは出てきませんでしたが最後の最後に登場したときは物語のハッピーエンドの象徴、素的でしたね、料理はしない、とレフに一言付け足すのは。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)より
4150412480
No.73
(5pt)

面白くつくりましたねえ、そして読んで面白かったですよ。

コーリャのしつこいくらいの「中庭の猟犬」、レフと同じ気持ちになりますよね。でも物語の渦中では太字もののついつい、捨てがたい情景でもあります。深刻な戦争の物語が表層を形作っていても一層下がると、それ以外に笑いあり、スリルあり、ロシアの自然の景色あり、マドンナたちの横顔があり、次から次、という感じでわくわくでした。ヴィカさんも戦場の中での登場はあまり前面にイメージは出てきませんでしたが最後の最後に登場したときは物語のハッピーエンドの象徴、素的でしたね、料理はしない、とレフに一言付け足すのは。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)より
4150018383
No.72
(5pt)

過酷な背景の中でのボーイ・ミーツ・ガール

お見事でした!楽しませてもらいました!
キャラクターと会話のセンスが最高でした。

他のレビュアーさんのコメント通り、私もラスト一行を読んですぐ
プロローグを再読してしまいました。

一方で、プロローグの雰囲気から、本編を読みながら「おばあちゃん」探しを
していました。

しかし、スターリン・ロシアとヒトラー・ドイツの戦いに巻き込まれた市民って、
どれだけ悲惨なんでしょう。

普通、真っ暗になる題材を友情、恋心、ユーモアなどで希望を感じさせる物語に
仕上げています。

「中庭の猟犬」の逸話は自信満々の青年の繊細な一面を示す素敵なエピソード
でした。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)より
4150412480
No.71
(5pt)

過酷な背景の中でのボーイ・ミーツ・ガール

お見事でした!楽しませてもらいました!
キャラクターと会話のセンスが最高でした。

他のレビュアーさんのコメント通り、私もラスト一行を読んですぐ
プロローグを再読してしまいました。

一方で、プロローグの雰囲気から、本編を読みながら「おばあちゃん」探しを
していました。

しかし、スターリン・ロシアとヒトラー・ドイツの戦いに巻き込まれた市民って、
どれだけ悲惨なんでしょう。

普通、真っ暗になる題材を友情、恋心、ユーモアなどで希望を感じさせる物語に
仕上げています。

「中庭の猟犬」の逸話は自信満々の青年の繊細な一面を示す素敵なエピソード
でした。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)より
4150018383
No.70
(5pt)

卵と祖母をめぐる祖父の成長譚

もー、めちゃくちゃ面白い。卵をめぐる珍道中のあいだに祖母と出会わなくては物語にならないわけで、いったいどこで出会うんだろうをメーンにして読み進めました。これは少年レフの恋をめぐる成長譚です。示唆に富むセリフの数々。名脇役リーチャの存在も光りまくります。舞台が戦場なので悲惨な話も出てきますがスルーすることが可能な程度です。寝食を忘れて最初から最後までぶっ通しで読める感動の物語だと思います。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)より
4150412480
No.69
(5pt)

卵と祖母をめぐる祖父の成長譚

もー、めちゃくちゃ面白い。卵をめぐる珍道中のあいだに祖母と出会わなくては物語にならないわけで、いったいどこで出会うんだろうをメーンにして読み進めました。これは少年レフの恋をめぐる成長譚です。示唆に富むセリフの数々。名脇役リーチャの存在も光りまくります。舞台が戦場なので悲惨な話も出てきますがスルーすることが可能な程度です。寝食を忘れて最初から最後までぶっ通しで読める感動の物語だと思います。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)より
4150018383
No.68
(4pt)

もっと友情が見たかった

【若干ネタバレしているかもしれません】

数年ぶりに再読。

初読時はコーリャが嫌いでした。
そのせいで、読み進めるのをやめてしまおうかと思うほど。
金髪碧眼長身で、機知と行動力を持ちあわせた美青年。
女性経験は数知れず、微笑みとあか抜けた会話術で女の子はみんないちころ。
チェリーボーイのさえない主人公レフを、本意ではなくとも、常にコケにするような言動。
こんな男を好きになれる男性は、あまりいないでしょう。
好きな女の子のハートを手に入れるためには命をかけなければならない、コンプレックスのかたまり少年レフの方に感情移入してしまうのも、当然というものです。

ところが中盤あたりから、実はコーリャも様々なコンプレックスを抱えた複雑な人間だったということが、明らかになってきます。
今回は、あらかじめその点が分かっていたので、はじめから彼にも共感しながら読むことができました。
コーリャはレフを好きなのに、自業自得とはいえ、彼の方はあまり相手に好かれていないところなどは、かわいそうにすら感じてしまいます。

しかし、それだけに、です。

ふたりがパルチザンの少女スナイパー、ヴィカに出会って以降は、レフの恋の行方に話の重心が移り、彼とコーリャの友情の進展はそれほど描かれなくなります。
そのため、本当の友情が築き上げられる前に、話が終わってしまっている印象が否めません。
やはり、ふたりの絆が決定的に強まるようなエピソードが、もうひとつ欲しかった。
もちろんこの恋の話も素敵ではあるけれど、どんな物語でも、主題に加えてさらに友情と恋愛どちらもというのは、あまり上手くいかない気がします。

ふたりの友情の結末も、素直には受け入れにくい。
戦争の残酷さ不条理さは、全編の多くのエピソードから十分以上に伝わってくるので、このダメ押しの一手は果たして必要だったのかな、と。
個人的には、こういう終幕は望んでいませんでした。

ポケミス版にはなかった、評論家の方の「解説」。
少々ネタバレしているし、著者の他の作品のオチを書いてしまうし、内容も「訳者あとがき」とほとんど重複している上に、なんとそこから引用までしている。
ポケミス版の「訳者あとがき」(文庫版と同じもの)にあった、「本書は完全にフィクションである」という一文が文庫版ではカットされ「解説」の方には書かれているのも、何かよからぬ事情があるのではと勘ぐりたくなる。
この「解説」は完全に蛇足です。

百点満点ではないかもしれません。
でも、戦争というものの本質を、戦場以外を舞台にしながらなおかつ、主役のふたりのキャラクターのおかげで暗くなりすぎることなく、清涼感すらともない確実に伝えてくれる小説というのも、なかなか他にはないと思います。

読後に感慨深い満足感を味わえる、珠玉の戦争青春物語です。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)より
4150412480
No.67
(4pt)

もっと友情が見たかった

【若干ネタバレしているかもしれません】

数年ぶりに再読。

初読時はコーリャが嫌いでした。
そのせいで、読み進めるのをやめてしまおうかと思うほど。
金髪碧眼長身で、機知と行動力を持ちあわせた美青年。
女性経験は数知れず、微笑みとあか抜けた会話術で女の子はみんないちころ。
チェリーボーイのさえない主人公レフを、本意ではなくとも、常にコケにするような言動。
こんな男を好きになれる男性は、あまりいないでしょう。
好きな女の子のハートを手に入れるためには命をかけなければならない、コンプレックスのかたまり少年レフの方に感情移入してしまうのも、当然というものです。

ところが中盤あたりから、実はコーリャも様々なコンプレックスを抱えた複雑な人間だったということが、明らかになってきます。
今回は、あらかじめその点が分かっていたので、はじめから彼にも共感しながら読むことができました。
コーリャはレフを好きなのに、自業自得とはいえ、彼の方はあまり相手に好かれていないところなどは、かわいそうにすら感じてしまいます。

しかし、それだけに、です。

ふたりがパルチザンの少女スナイパー、ヴィカに出会って以降は、レフの恋の行方に話の重心が移り、彼とコーリャの友情の進展はそれほど描かれなくなります。
そのため、本当の友情が築き上げられる前に、話が終わってしまっている印象が否めません。
やはり、ふたりの絆が決定的に強まるようなエピソードが、もうひとつ欲しかった。
もちろんこの恋の話も素敵ではあるけれど、どんな物語でも、主題に加えてさらに友情と恋愛どちらもというのは、あまり上手くいかない気がします。

ふたりの友情の結末も、素直には受け入れにくい。
戦争の残酷さ不条理さは、全編の多くのエピソードから十分以上に伝わってくるので、このダメ押しの一手は果たして必要だったのかな、と。
個人的には、こういう終幕は望んでいませんでした。

ポケミス版にはなかった、評論家の方の「解説」。
少々ネタバレしているし、著者の他の作品のオチを書いてしまうし、内容も「訳者あとがき」とほとんど重複している上に、なんとそこから引用までしている。
ポケミス版の「訳者あとがき」(文庫版と同じもの)にあった、「本書は完全にフィクションである」という一文が文庫版ではカットされ「解説」の方には書かれているのも、何かよからぬ事情があるのではと勘ぐりたくなる。
この「解説」は完全に蛇足です。

百点満点ではないかもしれません。
でも、戦争というものの本質を、戦場以外を舞台にしながらなおかつ、主役のふたりのキャラクターのおかげで暗くなりすぎることなく、清涼感すらともない確実に伝えてくれる小説というのも、なかなか他にはないと思います。

読後に感慨深い満足感を味わえる、珠玉の戦争青春物語です。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)より
4150018383
No.66
(5pt)

面白いです。

笑いあり、涙あり。残酷で惨くあり、しかしユーモアも失われていない。
王道的な冒険や勇気の物語でもあるが、戦争として締めるべきところは締める。
訳も素晴らしくほぼ違和感なしに読むことができました。
バランス感覚に優れた非常に良い作品でした。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)より
4150018383
No.65
(5pt)

面白いです。

笑いあり、涙あり。残酷で惨くあり、しかしユーモアも失われていない。
王道的な冒険や勇気の物語でもあるが、戦争として締めるべきところは締める。
訳も素晴らしくほぼ違和感なしに読むことができました。
バランス感覚に優れた非常に良い作品でした。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV) Amazon書評・レビュー: 卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)より
4150412480