わたしを離さないで

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評判

わたしを離さないでの評価:

4.11/5点 レビュー 714件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.11pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1,450件 1,121〜1,140 57/73ページ
No.330
(5pt)

フィクションの力を見せつける

何気ない会話、丁寧な過去そして現在の日常の描写。一見するとただのモノローグ小説のよう。が、それこそがこの小説の凄さだ。
主人公そして友人たちの置かれた状況と環境はこの世界にありえない。凄まじい悲劇だ。
それなのに、それを何気ない日常に組み込み、ぼんやりとした感傷のように仕上げてしまうカズオ・イシグロの凄さを感じる。
凄まじい悲劇の真っ只中にありながら、淡々と役割をこなし、その役割から逃げようとしない彼ら。その淡々さこそが、彼らの「普通ではない」事の証明なのか。
また、細かな感情描写。こんなに「僅かな会話がもたらす友人間の空気の変化」を全編で追い続ける小説も非常に珍しいと思う。
久しぶりに、フィクションの可能性をひしひしと感じた作品であった。
読み終わって見ると、本の装丁すらも選び抜かれたものだと感じ、隙の無い作品だと思った。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.329
(5pt)

フィクションの力を見せつける

何気ない会話、丁寧な過去そして現在の日常の描写。一見するとただのモノローグ小説のよう。が、それこそがこの小説の凄さだ。
主人公そして友人たちの置かれた状況と環境はこの世界にありえない。凄まじい悲劇だ。
それなのに、それを何気ない日常に組み込み、ぼんやりとした感傷のように仕上げてしまうカズオ・イシグロの凄さを感じる。
凄まじい悲劇の真っ只中にありながら、淡々と役割をこなし、その役割から逃げようとしない彼ら。その淡々さこそが、彼らの「普通ではない」事の証明なのか。
また、細かな感情描写。こんなに「僅かな会話がもたらす友人間の空気の変化」を全編で追い続ける小説も非常に珍しいと思う。
久しぶりに、フィクションの可能性をひしひしと感じた作品であった。
読み終わって見ると、本の装丁すらも選び抜かれたものだと感じ、隙の無い作品だと思った。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.328
(2pt)

つまらなかった

物語の設定が非現実であることを受け入れて読み始めましたが、小説の半ばまで学園生活と登場人物の描写が精緻というよりぐだぐた過ぎて、興が乗りませんでした。若い頃に出会っていればまた違う感想がもてたかもしれませんが。日の名残に感動して遠い山なみの光と浮世の画家を読んでからこの作品を読みましたが、まったくの拍子抜けでした。この世界観を感じることができる感性がわたしには欠けているようです。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.327
(2pt)

つまらなかった

物語の設定が非現実であることを受け入れて読み始めましたが、小説の半ばまで学園生活と登場人物の描写が精緻というよりぐだぐた過ぎて、興が乗りませんでした。若い頃に出会っていればまた違う感想がもてたかもしれませんが。日の名残に感動して遠い山なみの光と浮世の画家を読んでからこの作品を読みましたが、まったくの拍子抜けでした。この世界観を感じることができる感性がわたしには欠けているようです。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.326
(5pt)

読みやすくて、驚異的!

話題の本だったので読みました。
こんなことあってはならない!と思うほどの衝撃を受けました。
特に、ルースとキャリーが回復センターで再会するところでは
背筋がぞっとして凍り付くほどでした。
こんなことを考えつくカズオイシグロにただただ驚いています。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.325
(5pt)

読みやすくて、驚異的!

話題の本だったので読みました。
こんなことあってはならない!と思うほどの衝撃を受けました。
特に、ルースとキャリーが回復センターで再会するところでは
背筋がぞっとして凍り付くほどでした。
こんなことを考えつくカズオイシグロにただただ驚いています。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.324
(5pt)

空気までも感じさせる

カズオ イシグロの作品は以前から気になっていましたが中々手をつける機会がなく先日NHKの特集で読む決心をしました。ストーリーはそれゆえに何んとなく把握済みでした。文章の読みやすさもあり一気に読み終えました。主人公のゆっくりとした間を置いたような語り口で彼女たちの取り巻く環境が特殊でありながら全くそれを感じさせず、3人の登場人物に起きるちょっとした事件や、やりとりに自分を投影させながら読んでいきました。何気なく語られるエピソードや感情が特別なようで特別はなく、しかもそれは彼女たちにとってとても大切なものであるということが自分の生活においてもいろんなものを見過ごして本当は大切なものであることを適当にしているんではないかと感じさせられました。ただストーリーを追って読んで行くだけでも面白い作品ではありますが、空気感が素晴らしく、最後のシーンは小説の中で吹く風を自分自身も感じることができました。言葉の力をつくづく思い知らされた作品です。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.323
(5pt)

子供の頃から失いつづけてきたすべてのもの

切実な小説。
物語の核心に迫るまで少し冗長すぎるきらいはあるものの、
微妙な違和感・不自然さを積み重ねて、
読者に対して不安感を煽る手法は見事。

牧歌的な世界の青春小説的な味わいから一転して、
登場人物たちもはっきりとは認識していない世界のありようが
少しずつ、少しずつ明らかにされていく展開は胸をえぐる。

主人公の淡々とした語り口は、作品世界を静謐に保っているが
むしろその静けさがどこかしら諦念をも感じさせ、
またカタストロフィに向かって一歩ずつ刻み歩む姿に
抗いようのない未来を暗示しているかのようだ。
世界の美しさと残酷さが二重写しになって見える。

絵空事ではない現実が読者にも突きつけられている。
この世界はいずれあるかもしれない世界。
メタファー的にも読めるだろうが、私としては
彼女たちの人生に対して、言葉にならないリアリティを感じた。

決して後味の良い作品ではないし、このような世界観に
対して不快感を感じる方もいるだろう。
物語としても冗長な部分は多い。
だが、登場人物たちの希望と失望、そして生と死は
かけがえのないものであったと信じたい。

「子供の頃から失いつづけてきたすべてのものの打ち上げられる場所」
彼女の涙に映る原風景は、輝きながら散っていく。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.322
(5pt)

空気までも感じさせる

カズオ イシグロの作品は以前から気になっていましたが中々手をつける機会がなく先日NHKの特集で読む決心をしました。ストーリーはそれゆえに何んとなく把握済みでした。文章の読みやすさもあり一気に読み終えました。主人公のゆっくりとした間を置いたような語り口で彼女たちの取り巻く環境が特殊でありながら全くそれを感じさせず、3人の登場人物に起きるちょっとした事件や、やりとりに自分を投影させながら読んでいきました。何気なく語られるエピソードや感情が特別なようで特別はなく、しかもそれは彼女たちにとってとても大切なものであるということが自分の生活においてもいろんなものを見過ごして本当は大切なものであることを適当にしているんではないかと感じさせられました。ただストーリーを追って読んで行くだけでも面白い作品ではありますが、空気感が素晴らしく、最後のシーンは小説の中で吹く風を自分自身も感じることができました。言葉の力をつくづく思い知らされた作品です。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.321
(5pt)

子供の頃から失いつづけてきたすべてのもの

切実な小説。
物語の核心に迫るまで少し冗長すぎるきらいはあるものの、
微妙な違和感・不自然さを積み重ねて、
読者に対して不安感を煽る手法は見事。

牧歌的な世界の青春小説的な味わいから一転して、
登場人物たちもはっきりとは認識していない世界のありようが
少しずつ、少しずつ明らかにされていく展開は胸をえぐる。

主人公の淡々とした語り口は、作品世界を静謐に保っているが
むしろその静けさがどこかしら諦念をも感じさせ、
またカタストロフィに向かって一歩ずつ刻み歩む姿に
抗いようのない未来を暗示しているかのようだ。
世界の美しさと残酷さが二重写しになって見える。

絵空事ではない現実が読者にも突きつけられている。
この世界はいずれあるかもしれない世界。
メタファー的にも読めるだろうが、私としては
彼女たちの人生に対して、言葉にならないリアリティを感じた。

決して後味の良い作品ではないし、このような世界観に
対して不快感を感じる方もいるだろう。
物語としても冗長な部分は多い。
だが、登場人物たちの希望と失望、そして生と死は
かけがえのないものであったと信じたい。

「子供の頃から失いつづけてきたすべてのものの打ち上げられる場所」
彼女の涙に映る原風景は、輝きながら散っていく。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.320
(5pt)

空気までも感じさせる

カズオ イシグロの作品は以前から気になっていましたが中々手をつける機会がなく先日NHKの特集で読む決心をしました。ストーリーはそれゆえに何んとなく把握済みでした。文章の読みやすさもあり一気に読み終えました。主人公のゆっくりとした間を置いたような語り口で彼女たちの取り巻く環境が特殊でありながら全くそれを感じさせず、3人の登場人物に起きるちょっとした事件や、やりとりに自分を投影させながら読んでいきました。何気なく語られるエピソードや感情が特別なようで特別はなく、しかもそれは彼女たちにとってとても大切なものであるということが自分の生活においてもいろんなものを見過ごして本当は大切なものであることを適当にしているんではないかと感じさせられました。ただストーリーを追って読んで行くだけでも面白い作品ではありますが、空気感が素晴らしく、最後のシーンは小説の中で吹く風を自分自身も感じることができました。言葉の力をつくづく思い知らされた作品です。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.319
(4pt)

ETVでのKAZUO ISHIGURO

長崎で幼少期を過ごした筆者。メタファーになり得るほどのIDENTEITYには小説内には過不足はあるようだが、静観は出来ないイライラ感虚無感絶望感希望的観測自己満足感を痛切に投入されてしまった瞬間、あまりスペイサイドよりは島云々のアイランド系のモルトで感慨したい欲情にかられました。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.318
(5pt)

空気までも感じさせる

カズオ イシグロの作品は以前から気になっていましたが中々手をつける機会がなく先日NHKの特集で読む決心をしました。ストーリーはそれゆえに何んとなく把握済みでした。文章の読みやすさもあり一気に読み終えました。主人公のゆっくりとした間を置いたような語り口で彼女たちの取り巻く環境が特殊でありながら全くそれを感じさせず、3人の登場人物に起きるちょっとした事件や、やりとりに自分を投影させながら読んでいきました。何気なく語られるエピソードや感情が特別なようで特別はなく、しかもそれは彼女たちにとってとても大切なものであるということが自分の生活においてもいろんなものを見過ごして本当は大切なものであることを適当にしているんではないかと感じさせられました。ただストーリーを追って読んで行くだけでも面白い作品ではありますが、空気感が素晴らしく、最後のシーンは小説の中で吹く風を自分自身も感じることができました。言葉の力をつくづく思い知らされた作品です。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.317
(4pt)

ETVでのKAZUO ISHIGURO

長崎で幼少期を過ごした筆者。メタファーになり得るほどのIDENTEITYには小説内には過不足はあるようだが、静観は出来ないイライラ感虚無感絶望感希望的観測自己満足感を痛切に投入されてしまった瞬間、あまりスペイサイドよりは島云々のアイランド系のモルトで感慨したい欲情にかられました。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.316
(4pt)

読んで観て、また読み返す

映画を観にいく前の予習として購入。コシマキは出演者が印刷されたものでした。
映画のほうは、原作のエピソードを大幅に端折ってあるので、映像だけを記憶に残し、ゆっくり読み返すとよろしいかと。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.315
(4pt)

読んで観て、また読み返す

映画を観にいく前の予習として購入。コシマキは出演者が印刷されたものでした。
映画のほうは、原作のエピソードを大幅に端折ってあるので、映像だけを記憶に残し、ゆっくり読み返すとよろしいかと。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.314
(4pt)

わからない

自分の感受性では、最後まで本書を理解することができなかった。

他のレビューにあるようなリアリティについては気にならず、文章の良さもあってすんなり入り込むことができた。内容が退屈だということもなく、400ページ以上にわたってぎっしりと文字がつまっているが、割と短時間で読めた。

しかし、本書をどのように受け止め、どう表現していいのかがわからない。
確かに読了後、何かが心の中に残っている。しかし僕の感受性、表現力、語彙では、これが何かを表現できないばかりか、自分自身でもよくわからない。何だか、モヤモヤしている。


本書は極力ネタばれはない方がいいと思うので気をつけたいが、

しかし、以下、ちょっとだけネタばれになるかもしれない。


本書の中心となる3人は、運命を受け止め、抗うことなく生きているように見える。あるとき、ひとつの希望が見えた。その時の彼女らの反応はどうか。著者のまさに抑制のきいた文章のごとく、彼女達は自分達を抑制しながら行動する。
その心の動きは理解できる。どうしようもならないと運命を受け止めているとき、人はそのように行動するのかもしれない。でも、本心は、望んでいるのは、きっと違うのだろう。

次のセリフが、頭に残っている。
「よく川の中の二人を考える。どこかにある川で、すごく流れが速いんだ。で、その水の中に二人がいる。互いに相手にしがみついている。必至でしがみついているんだけど、結局、流れが強すぎて、かなわん。最後は手を離して、別々に流される・・・」
そこで、本書のタイトルを思い浮かべる。そう、あのカセットテープの。Never Let Me Go・・・わたしを離さないで。わたしを行かせないで。そんなことをしないで。

そして、彼女たちの出来事と、想いとを想像するのだけれど、その想像が最後まで辿り着けない。
まだ、僕には本書を理解することができない。
何か重要そうなことだと思うのだけれど。
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.313
(4pt)

わからない

自分の感受性では、最後まで本書を理解することができなかった。

他のレビューにあるようなリアリティについては気にならず、文章の良さもあってすんなり入り込むことができた。内容が退屈だということもなく、400ページ以上にわたってぎっしりと文字がつまっているが、割と短時間で読めた。

しかし、本書をどのように受け止め、どう表現していいのかがわからない。
確かに読了後、何かが心の中に残っている。しかし僕の感受性、表現力、語彙では、これが何かを表現できないばかりか、自分自身でもよくわからない。何だか、モヤモヤしている。


本書は極力ネタばれはない方がいいと思うので気をつけたいが、

しかし、以下、ちょっとだけネタばれになるかもしれない。


本書の中心となる3人は、運命を受け止め、抗うことなく生きているように見える。あるとき、ひとつの希望が見えた。その時の彼女らの反応はどうか。著者のまさに抑制のきいた文章のごとく、彼女達は自分達を抑制しながら行動する。
その心の動きは理解できる。どうしようもならないと運命を受け止めているとき、人はそのように行動するのかもしれない。でも、本心は、望んでいるのは、きっと違うのだろう。

次のセリフが、頭に残っている。
「よく川の中の二人を考える。どこかにある川で、すごく流れが速いんだ。で、その水の中に二人がいる。互いに相手にしがみついている。必至でしがみついているんだけど、結局、流れが強すぎて、かなわん。最後は手を離して、別々に流される・・・」
そこで、本書のタイトルを思い浮かべる。そう、あのカセットテープの。Never Let Me Go・・・わたしを離さないで。わたしを行かせないで。そんなことをしないで。

そして、彼女たちの出来事と、想いとを想像するのだけれど、その想像が最後まで辿り着けない。
まだ、僕には本書を理解することができない。
何か重要そうなことだと思うのだけれど。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.312
(5pt)

失われてゆくものの物語

これは「失われてゆくものの物語」。
この物語が描く「失われるもの」とは何か。
本当に様々な解釈で読む事ができるのです。

私たちが人生で触れるものは、観念的事柄であれ、具体的事物であれ、
全て、ひとつ残らず、失われてゆきます。
それだからこそ美しい、と思う人もいるでしょう。
愛おしさ、あるいはやりきれないほどの切なさを感じる人も、
失われるものそのものによっては、不安や恐怖を抱く人も…。
それがそのまま、この本の読後感となります。

それはつまり、読み手によって、また、人生の折々で読み返す度にも、
まるで違う物語となり得る、素晴しい小説。
緻密な筆致、隙のない構成も見事です。

まるでその世界を手に触れることができるような、緻密な描写。
誰しもが子供だった頃、ティーンエイジャーだった頃、
経験したような事ばかりではないでしょうか?
抑制のきいた文体で語られてゆく、想い出のエピソードの数々は
本当に些末な出来事がほとんどです。(しかし物語にとっては重要な…)
それと対照的に、この物語世界に終始して横たわる、非常にヘビーな「現実」。
そのコントラストが、
キャシー達をより「私たち側」のリアルな存在として感じさせ、
その世界の異様さを、あくまで叙情的に受け入れる事に成功させている、ような。

何にしろ、私にとっては非常に思い入れの深い一冊であり、
この先、一生にわたり幾度も読み返してゆくだろうことを予感させるのです。
この本を幾度失おうとも、その度に、取り戻すのです。なんちゃって。
(実際、一度なくして買い直しました)
わたしを離さないで Amazon書評・レビュー: わたしを離さないでより
4152087196
No.311
(5pt)

失われてゆくものの物語

これは「失われてゆくものの物語」。
この物語が描く「失われるもの」とは何か。
本当に様々な解釈で読む事ができるのです。

私たちが人生で触れるものは、観念的事柄であれ、具体的事物であれ、
全て、ひとつ残らず、失われてゆきます。
それだからこそ美しい、と思う人もいるでしょう。
愛おしさ、あるいはやりきれないほどの切なさを感じる人も、
失われるものそのものによっては、不安や恐怖を抱く人も…。
それがそのまま、この本の読後感となります。

それはつまり、読み手によって、また、人生の折々で読み返す度にも、
まるで違う物語となり得る、素晴しい小説。
緻密な筆致、隙のない構成も見事です。

まるでその世界を手に触れることができるような、緻密な描写。
誰しもが子供だった頃、ティーンエイジャーだった頃、
経験したような事ばかりではないでしょうか?
抑制のきいた文体で語られてゆく、想い出のエピソードの数々は
本当に些末な出来事がほとんどです。(しかし物語にとっては重要な…)
それと対照的に、この物語世界に終始して横たわる、非常にヘビーな「現実」。
そのコントラストが、
キャシー達をより「私たち側」のリアルな存在として感じさせ、
その世界の異様さを、あくまで叙情的に受け入れる事に成功させている、ような。

何にしろ、私にとっては非常に思い入れの深い一冊であり、
この先、一生にわたり幾度も読み返してゆくだろうことを予感させるのです。
この本を幾度失おうとも、その度に、取り戻すのです。なんちゃって。
(実際、一度なくして買い直しました)
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517