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グルーム
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グルームの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.29pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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ひとりの青年の狂気に満ちた独白と歪んだ社会を絡めて描いたノワール小説。兎に角主人公のサイコキラー並みの歪み方が凄く、この辺はフランスのお家芸の現代社会に対する厭世観に満ちていて迫力があります。アメリカで読み捨てペーパーバック扱いのジム・トンプスンやらデヴィッド・グーディスがフランスではハードカバーで取り扱われているという話を聞いたことがありますが、この小説を読むと何となく頷ける話に思えてくる、そんな小説でした。フランスでは魂の暗渠を描いた小説が好まれるとか。更に全体の雰囲気がヌーヴェルバーグの映画っぽい感じで著者は元々は映画監督だというのもよく判る作品に思えました。個人的にはフランスの小説の観念主体ぽい文章は好きではないのですが、この小説はスラスラ読みやすく作品全体にスピード感があるのも手伝って、1日で読んでしまいました。暗黒小説の極北としてトンプスン「オレの中の殺し屋」に匹敵する傑作。他に翻訳されている作品も是非文庫で復刊して頂けないかなと思います。 | ||||
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主人公ハイムの世界とハイムを取り巻く現実を描いたお話です。外の世界で傷ついては自分の妄想の中に逃げ込むハイムですが、現実は否応なくハイムと関わろうとしてきます。そうしてハイムはだんだん現実との折り合いがつかなくなってきます。小説の文章をお借りすれば、ハイムの行いを誰が責められるのか。彼が現実世界に飲み込まれそうな時、私達は笑って見過ごしたではないか、と。 “ベトナム(戦争)”や『地獄の黙示録』の単語が出てくるところをみると、この物語の舞台は1979年と推測できます。なのにとてもリアリティを感じます。日本では戦争で何もかも奪われる恐怖も過ぎ去り、本来なら心穏やかに暮らせる世の中になっているはずだと思うのですが、人生に退屈したり将来に希望が持てなかったり、自分を切り売りするような人が多いように感じます。まるでこの小説の世界そのものではないかと思うのです。 妄想癖のあるハイムや野次馬の男、警官やバラキ警視、ハイムの母親イルマなど、どの登場人物も私達の不安や無意識な部分を見事にデフォルメされており筆者の高度な観察眼が窺えます。 | ||||
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サイコものではよく、主人公を狂気の淵に誘うアイテムとして、ロックやクラシックなどの音楽が出てきますが。 ドアーズとか、ジェファーソン・エアプレインとか、ピンクフロイドとか。 割とそういう、サイケ系、アート系、プログレ系が、多かった気が。 しかし本作では、それがP−FUNK軍団。 ジョージ・クリントン団長の歌に浮かされ、徐々に狂っていく青年。 イヤーなんとも、「わかる」人にはわかる設定ですね。 そしてそのチョイスが、この作品を、単に 「怖い」 だけじゃなく、 「馬鹿馬鹿しい(褒め言葉)」 雰囲気にさせています。 そう、人間の狂気なんて、そんなに絵に描いたように、陰鬱なものとは限りませんからね……。 「P−FUNK」聞きながら読みましょう。 | ||||
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これは殺人の物語です。実に、あっけなく人が死にます。 警官も出てきます。赤毛の美人刑事が事件を追います。 日本では、ミステリー小説に分類されているようです。犯人はすぐにわかりますが、それでも読まずにはいられません。 登場人物はほとんどいかれた人ばかりですが、かれらを狂わせているのは、重すぎる現実です。現実と折り合えない人間がいるとしたら、人間よりもずっと、現実の方がおかしいことだってあるのです。苦笑しながら、作者は語っているようです。 ストレートなメッセージはありません。 だからこそ、自分の限界が試される小説です。 | ||||
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ファンクなサイコ小説、しかもフランス? ヘンな小説ですよね。 なんとなく古臭い感じしたら、オリジナルの出版は結構前だったんですね。 納得・・・アメリカのスプラッタなサイコ小説に比べると、 フレンチテイストでお上品。 でもどこかヘン。そうかボリス・ヴィアンの「墓唾」を 読んだときと同じ感覚かあ・・・・ | ||||
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チョコレートを食べ続ける警察官、イカレた主 人公に恋する女警官、息子を溺愛する母親、パラノイアの「ぼく」……。 登場人物全てが狂っている倒錯暗黒小説。オススメです。 | ||||
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正統派のサイコホラーだと思って読んでみたが、変に笑えるところが多い。トラウマを持ち息子がなにより大切、というサイコ犯には定番の母親は主人公を子供みたいに扱って、緊張感がない。空想上の世界に遊ぶ青年は異常なのだが、空想の宿泊客にコーラを注文されて、自宅の冷蔵庫から持ってくる主人公に読んでいて恐怖を覚えるわけもない。空想上では少年になっているので母親と口論する口調も子供だ。母親もいい年の息子を子供扱いしてるから、変にバランスが取れている。 中盤から登場する女刑事と仲の悪い上司のやりとりを読んで、この本は登場人物が全部ふざけていると判明。始めから馬鹿小説だと思って読んだほうが楽しめると思います。 | ||||
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