ナイト・マネジャー

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ナイト・マネジャーの評価:

4.33/5点 レビュー 15件。 C ランク

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平均点4.33pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全27件 21〜27 2/2ページ
No.7
(5pt)

メロドラマをあくまで文学的に

ル・カレは『ティンカー・テイラー…』を読み、自分の理解力が足りないせいだと思うのですがイマイチ面白さが分からなかったので
苦手意識があったのですが、訳あってこちらを中古で購入しました。
背景のロケーションの多様さと、主人公のジョナサン・パインを筆頭に人物が皆魅力的。特にパインは完全無欠の『イギリスの精華』という
設定にも関わらず、読み進むと突っ込みどころが多々あり、不器用な側面にすっかり嵌ってしまいました。『現在形で愛せなかった』女性を
ストイックに思い続けるのは良しとして、似たような境遇の女性にまた惚れてどうするよ。しかも、また自分から彼女を巻き込んでるし…。
他にも細かい描写で色々と、妙に人間臭いというか、救い難いロマンチストというか、恐るべしジョナサン・パイン。私にとって、忘れ難いキャラとなりました。
 パインの心を掴む世代違いの女性二人は、絶世の美女であり心は自立した女性でありながら、何故か悪党にひっついているという、
同性の私から見るとこれって男性の妄想の産物ですね。ある意味この作品はロマンチックな妄想を具現化したような小説です。
ル・カレの小説作品が全般的にそうなのか、この作品が特異なのかは分かりませんが。
思わず絶句するような甘美なセリフをあくまで文学的なトーンで楽しめるという非常に美味しい作品でした。
ナイト・マネジャー〈上〉 (Hayakawa Novels) Amazon書評・レビュー: ナイト・マネジャー〈上〉 (Hayakawa Novels)より
415207860X
No.6
(5pt)

メロドラマをあくまで文学的に

ル・カレは『ティンカー・テイラー…』を読み、自分の理解力が足りないせいだと思うのですがイマイチ面白さが分からなかったので
苦手意識があったのですが、訳あってこちらを中古で購入しました。
背景のロケーションの多様さと、主人公のジョナサン・パインを筆頭に人物が皆魅力的。特にパインは完全無欠の『イギリスの精華』という
設定にも関わらず、読み進むと突っ込みどころが多々あり、不器用な側面にすっかり嵌ってしまいました。『現在形で愛せなかった』女性を
ストイックに思い続けるのは良しとして、似たような境遇の女性にまた惚れてどうするよ。しかも、また自分から彼女を巻き込んでるし…。
他にも細かい描写で色々と、妙に人間臭いというか、救い難いロマンチストというか、恐るべしジョナサン・パイン。私にとって、忘れ難いキャラとなりました。
 パインの心を掴む世代違いの女性二人は、絶世の美女であり心は自立した女性でありながら、何故か悪党にひっついているという、
同性の私から見るとこれって男性の妄想の産物ですね。ある意味この作品はロマンチックな妄想を具現化したような小説です。
ル・カレの小説作品が全般的にそうなのか、この作品が特異なのかは分かりませんが。
思わず絶句するような甘美なセリフをあくまで文学的なトーンで楽しめるという非常に美味しい作品でした。
ナイト・マネジャー〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) Amazon書評・レビュー: ナイト・マネジャー〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
4150408777
No.5
(5pt)

メロドラマをあくまで文学的に

ル・カレは『ティンカー・テイラー』を読み、自分の理解力が足りないせいだと思うのですがイマイチ面白さが分からなかったので
苦手意識があったのですが、訳あってこちらを中古で購入しました。
背景のロケーションの多様さと、主人公のジョナサン・パインを筆頭に人物が皆魅力的。特にパインは完全無欠の『イギリスの精華』という
設定にも関わらず、読み進むと突っ込みどころが多々あり、不器用な側面にすっかり嵌ってしまいました。『現在形で愛せなかった』女性を
ストイックに思い続けるのは良しとして、似たような境遇の女性にまた惚れてどうするよ。しかも、また自分から彼女を巻き込んでるし。
他にも細かい描写で色々と、妙に人間臭いというか、救い難いロマンチストというか、恐るべしジョナサン・パイン。私にとって、忘れ難いキャラとなりました。
 パインの心を掴む世代違いの女性二人は、絶世の美女であり心は自立した女性でありながら、何故か悪党にひっついているという、
同性の私から見るとこれって男性の妄想の産物ですね。ある意味この作品はロマンチックな妄想を具現化したような小説です。
ル・カレの小説作品が全般的にそうなのか、この作品が特異なのかは分かりませんが。
思わず絶句するような甘美なセリフをあくまで文学的なトーンで楽しめるという非常に美味しい作品でした。
ナイト・マネジャー〈上〉 (Hayakawa Novels) Amazon書評・レビュー: ナイト・マネジャー〈上〉 (Hayakawa Novels)より
415207860X
No.4
(5pt)

再度この名作を読み返してみた

この作品も10年ほど前に読んで今度が2度目になる。難解なまでの文学性濃厚な作品ということでは、他のルカレの作品と変わらない。ただ、今回読み返してやはりより惹かれたのは、ジョナサン・パインの崇高とまで呼べるソフイーへのプラトニックな愛情と、彼を支える英米の情報機関(の下請けとでも呼べばいいのだろうか)の純粋な正義感、そして、圧倒的な貫録で迫る「世界一のワル」オンズロー・ディッキー・ローパーの「魅力」であろう。既に10年以上たって作品の詳細はかなり忘れてしまっていたが、読み直してさらにこの作品が、娯楽作品としても評価を受けるにふさわしいということ以上に、その文学性の高さを非常に感じる。
ルカレの作品では、冷徹なまでの現実の詳細な描写と、官僚組織や国家に対する嫌悪感が常にベースにあるが、一方、多くの作品でルカレが必死に描くのは、ある意味こういった作品では、やや滑稽にすら見えるプラトニックな愛情である。「ナイロビの蜂」でも、「ロシアンハウス」でも、主人公を支えるのはこういったストイックな愛情である。この作品でもパインのプラトニックな愛情の対象は、冒頭に登場するエジプト女性ソフイーである。組織への裏切りで虐殺されるソフイー、その復讐のために彼は志願して、英国情報部のスパイとしてローパーの仲間に加わる。彼の正体がばれ、拷問を受けても彼は誰も裏切らない。その時彼を支えたのはなんと、想像の中で出てくるソフイーであり、彼女の励ましだ。パインに愛情を感じる、ローパーの愛人ジェドを裏切ることもない。彼女もどうもスパイのようだが、結局彼女の正体は最後まで明かされることはなかった。どうもローパーの腹心であるコーコランは何か彼女のそのような正体を感じて、彼女を逃がそうとする場面もある。どうも彼も彼女に愛情を感じていることをにおわせるくだりでもある。いつもながら、この作品の最後の50ページは、今までのゆっくりとしたリズムから大太鼓を打ち鳴らしながら終幕を告げる交響楽のように一気にクライマックスを迎える。パインを使った英国情報部のレナード・バーが孤立無援の中、英国情報部の上司たちにトリックをかけ、パインとジェドを救う。英国情報部にとって何の関係もない、ジェドまで救い出すこと(これをバーはローパーに対して条件として提示するのだ)にこの作品の背景となる女性へのやさしい愛情が感じられる。なぜ、この作品は映画化されないのだろうか。素晴らしい作品になると思う。
ナイト・マネジャー〈上〉 (Hayakawa Novels) Amazon書評・レビュー: ナイト・マネジャー〈上〉 (Hayakawa Novels)より
415207860X
No.3
(5pt)

再度この名作を読み返してみた

この作品も10年ほど前に読んで今度が2度目になる。難解なまでの文学性濃厚な作品ということでは、他のルカレの作品と変わらない。ただ、今回読み返してやはりより惹かれたのは、ジョナサン・パインの崇高とまで呼べるソフイーへのプラトニックな愛情と、彼を支える英米の情報機関(の下請けとでも呼べばいいのだろうか)の純粋な正義感、そして、圧倒的な貫録で迫る「世界一のワル」オンズロー・ディッキー・ローパーの「魅力」であろう。既に10年以上たって作品の詳細はかなり忘れてしまっていたが、読み直してさらにこの作品が、娯楽作品としても評価を受けるにふさわしいということ以上に、その文学性の高さを非常に感じる。
ルカレの作品では、冷徹なまでの現実の詳細な描写と、官僚組織や国家に対する嫌悪感が常にベースにあるが、一方、多くの作品でルカレが必死に描くのは、ある意味こういった作品では、やや滑稽にすら見えるプラトニックな愛情である。「ナイロビの蜂」でも、「ロシアンハウス」でも、主人公を支えるのはこういったストイックな愛情である。この作品でもパインのプラトニックな愛情の対象は、冒頭に登場するエジプト女性ソフイーである。組織への裏切りで虐殺されるソフイー、その復讐のために彼は志願して、英国情報部のスパイとしてローパーの仲間に加わる。彼の正体がばれ、拷問を受けても彼は誰も裏切らない。その時彼を支えたのはなんと、想像の中で出てくるソフイーであり、彼女の励ましだ。パインに愛情を感じる、ローパーの愛人ジェドを裏切ることもない。彼女もどうもスパイのようだが、結局彼女の正体は最後まで明かされることはなかった。どうもローパーの腹心であるコーコランは何か彼女のそのような正体を感じて、彼女を逃がそうとする場面もある。どうも彼も彼女に愛情を感じていることをにおわせるくだりでもある。いつもながら、この作品の最後の50ページは、今までのゆっくりとしたリズムから大太鼓を打ち鳴らしながら終幕を告げる交響楽のように一気にクライマックスを迎える。パインを使った英国情報部のレナード・バーが孤立無援の中、英国情報部の上司たちにトリックをかけ、パインとジェドを救う。英国情報部にとって何の関係もない、ジェドまで救い出すこと(これをバーはローパーに対して条件として提示するのだ)にこの作品の背景となる女性へのやさしい愛情が感じられる。なぜ、この作品は映画化されないのだろうか。素晴らしい作品になると思う。
ナイト・マネジャー〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) Amazon書評・レビュー: ナイト・マネジャー〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
4150408777
No.2
(5pt)

武器商人に挑む諜報部員

ルカレの作品は正直言ってそう読みやすいものではない。ちょっと気が緩むと登場人物や筋さえも追えなくなる。独白や心理描写も多くて、うっかりすると退屈してしまう。しかし、これほど読後感で読者を魅了する作者も少ない。味が分からない高級料理がやがてがつがつ食わざるを得ないような味で魅了し最後はその味をいつまでも忘れられないのとよく似ている。この「ナイト・マネジャー」も例外ではない。主人公のジョナサン・パインの過去も重厚な小説に出てくるような登場人物のそれであり、一種プラトニックな愛人とも言える殺されたソフイーのために英国諜報部のスパイとなって武器麻薬密輸商人ローパーのところに潜り込む。彼を送り込んだ諜報部も腐りきった上層部と実務部隊の争いがやがて激化し、裏切られていくジョナサン。それを救おうとする実務部隊の巧みな作戦。作者の筆力は全く衰えない。最後は決して100%ハッピーエンディングにならないところもいい。ジョナサンをローパーのところに送り込むべく作られる彼の過去。ここらへんはあの名作「リトルドラマー
ガール」を思い出させる。上司を陥れ、大きな獲物であるローパーを逃がしてでもジョナサンを守ろうとする実務部隊のリーダー、レナード・バーもまたいい味を出してくれる。米国側の実務担当ジョゼフ・スゥトレルスキもプロとして仕事をまっとうしようとするところがまたいい。最後に悪役ではあるがローパーの存在感が圧倒的だ。彼が生き残ったことでやがて彼をもっと中心においた作品がまた出来そうな気がする。ルカレの作品を読んだ後いつも誰かと彼の作品に関して論じたくなる。最高の料理を食べた後、誰かに話しかけたくなるのと似ている。

ナイト・マネジャー〈上〉 (Hayakawa Novels) Amazon書評・レビュー: ナイト・マネジャー〈上〉 (Hayakawa Novels)より
415207860X
No.1
(5pt)

武器商人に挑む諜報部員

ルカレの作品は正直言ってそう読みやすいものではない。ちょっと気が緩むと登場人物や筋さえも追えなくなる。独白や心理描写も多くて、うっかりすると退屈してしまう。しかし、これほど読後感で読者を魅了する作者も少ない。味が分からない高級料理がやがてがつがつ食わざるを得ないような味で魅了し最後はその味をいつまでも忘れられないのとよく似ている。この「ナイト・マネジャー」も例外ではない。主人公のジョナサン・パインの過去も重厚な小説に出てくるような登場人物のそれであり、一種プラトニックな愛人とも言える殺されたソフイーのために英国諜報部のスパイとなって武器麻薬密輸商人ローパーのところに潜り込む。彼を送り込んだ諜報部も腐りきった上層部と実務部隊の争いがやがて激化し、裏切られていくジョナサン。それを救おうとする実務部隊の巧みな作戦。作者の筆力は全く衰えない。最後は決して100%ハッピーエンディングにならないところもいい。ジョナサンをローパーのところに送り込むべく作られる彼の過去。ここらへんはあの名作「リトルドラマー
ガール」を思い出させる。上司を陥れ、大きな獲物であるローパーを逃がしてでもジョナサンを守ろうとする実務部隊のリーダー、レナード・バーもまたいい味を出してくれる。米国側の実務担当ジョゼフ・スゥトレルスキもプロとして仕事をまっとうしようとするところがまたいい。最後に悪役ではあるがローパーの存在感が圧倒的だ。彼が生き残ったことでやがて彼をもっと中心においた作品がまた出来そうな気がする。ルカレの作品を読んだ後いつも誰かと彼の作品に関して論じたくなる。最高の料理を食べた後、誰かに話しかけたくなるのと似ている。

ナイト・マネジャー〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) Amazon書評・レビュー: ナイト・マネジャー〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)より
4150408777