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プラスティック・ソウル



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【この小説が収録されている参考書籍】
プラスティック・ソウル

プラスティック・ソウルの評価: 3.60/5点 レビュー 10件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.60pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(5pt)

天才

 だとは思う、素直に。実験的色合いが強いですね、連載小説という意味あいにおいて。
 自分を分裂させて、客体として自己を見つめる。阿部和重がデビュー以来もっとも一生懸命取り組んできたことです。分裂しきれていない客体、みたいなものといえばいいのだろうか。
 語り手、というか、一人称というか、誰の視点か、というかが際限なく分裂していく。おまけにドラッグやニワトリなみの記憶力のせいで、話の展開や人間がことごとくずれていく。
 主人公はやんでいるが、結局その病は癒されることはなく、まるで世界の崩壊を思わせるようなラストシーンまでぐるぐるぐるぐる突き進む。やっぱり阿部和重はいいです。
プラスティック・ソウルAmazon書評・レビュー:プラスティック・ソウルより
4062102609
No.3:
(5pt)

天才

だとは思う、素直に。実験的色合いが強いですね、連載小説という意味あいにおいて。

 自分を分裂させて、客体として自己を見つめる。阿部和重がデビュー以来もっとも一生懸命取り組んできたことです。分裂しきれていない客体、みたいなものといえばいいのだろうか。

 語り手、というか、一人称というか、誰の視点か、というかが際限なく分裂していく。おまけにドラッグやニワトリなみの記憶力のせいで、話の展開や人間がことごとくずれていく。

 主人公はやんでいるが、結局その病は癒されることはなく、まるで世界の崩壊を思わせるようなラストシーンまでぐるぐるぐるぐる突き進む。やっぱり阿部和重はいいです。
プラスティック・ソウルAmazon書評・レビュー:プラスティック・ソウルより
4062102609
No.2:
(4pt)

批評性よりも同時代性

『グランドフィナーレ』以来なので1年半ぶりくらいに阿部和重の小説を読んだ。けれどこれは『シンセミア』よりも以前に書かれたようだ。特に彼の分岐点とかって言われるような作品のようだけど、それほど分析的に読むわけではないので気にしない。
そもそも「主体の分裂」など、彼の批評性に注目した書評は多いけど、何故そうなってしまうのかよく分からない。確かに語り手が突然変わったり、二重に話していたり、トリッキーな構成は目立つ。けれど小説がそれほど行儀の良い書かれ方をされている読み物だとは思えないし、もっと不可解なものも多い。
むしろ阿部和重の小説は読んですぐに彼の作品と分かるようなスタイルがあって、それを支える形式的な中に批評性があるのだと思う。だから数字がどうの、名前がどうのと記号的な解釈で読み解こうとするよりも、主人公の執拗なまでに過剰な自意識はいったいどれくらい笑えるものなのか、どれくらい普遍的なものなのか、どれくらい時代性に合ったものなのかに興味が湧く。
ともに大柄なためただでさえ抑圧的に見える編集者二人は、決して控え目とはいえない態度で、そうしたことを告げていった。
上のような文章などによって、自意識に支配された思い込みによって、限定された視点によって、視覚までもが狭まっていくような閉塞感に、ほんの少し笑みを浮かべてしまう自分はふと思う。「ここ、笑うところでいいんだよね?」。むしろそこが気になる。
プラスティック・ソウルAmazon書評・レビュー:プラスティック・ソウルより
4062102609
No.1:
(4pt)

批評性よりも同時代性

『グランドフィナーレ』以来なので1年半ぶりくらいに阿部和重の小説を読んだ。けれどこれは『シンセミア』よりも以前に書かれたようだ。特に彼の分岐点とかって言われるような作品のようだけど、それほど分析的に読むわけではないので気にしない。

そもそも「主体の分裂」など、彼の批評性に注目した書評は多いけど、何故そうなってしまうのかよく分からない。確かに語り手が突然変わったり、二重に話していたり、トリッキーな構成は目立つ。けれど小説がそれほど行儀の良い書かれ方をされている読み物だとは思えないし、もっと不可解なものも多い。

むしろ阿部和重の小説は読んですぐに彼の作品と分かるようなスタイルがあって、それを支える形式的な中に批評性があるのだと思う。だから数字がどうの、名前がどうのと記号的な解釈で読み解こうとするよりも、主人公の執拗なまでに過剰な自意識はいったいどれくらい笑えるものなのか、どれくらい普遍的なものなのか、どれくらい時代性に合ったものなのかに興味が湧く。

ともに大柄なためただでさえ抑圧的に見える編集者二人は、決して控え目とはいえない態度で、そうしたことを告げていった。

上のような文章などによって、自意識に支配された思い込みによって、限定された視点によって、視覚までもが狭まっていくような閉塞感に、ほんの少し笑みを浮かべてしまう自分はふと思う。「ここ、笑うところでいいんだよね?」。むしろそこが気になる。
プラスティック・ソウルAmazon書評・レビュー:プラスティック・ソウルより
4062102609

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