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【葉真中顕】
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灼熱の評価:
7.00/10点 レビュー 1件。 B ランク
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人は信じたいものを信じる愚か者である
2019年から21年にかけて文芸誌に連載された長編小説。ブラジル移民の間で繰り広げられた「勝ち負け抗争」をテーマにした現代史サスペンスである。1934年、親族とともにブラジルに移民した12歳の比嘉勇は移住した殖民地で同い年の南雲トキオと出会い、意気投合し、無二の友として切磋琢磨しながら青年期を迎える。だが、日本の戦争の影響がブラジルまで及んできて、二人は別々の道を歩むことを余儀なくされた。さらに、ブラジルの日本人社会では日本が戦争に勝ったのか負けたのかを巡る「勝ち負け抗争」が起き、二人は決定的に対立することになった…。今の時点で振り返れば考えるだに馬鹿馬鹿しい「日本は勝った」という風説が優勢だったという状況は、いかにして生まれたのか。日本の勝利を信じるしか自尊心を保つ道がなかった移民たちの悲しみがじわじわと伝わってくる。いつの時代でも「人は自分が信じたいものだけを見る」という愚かしさは、現在のネット言論の異常さを見れば明らかで、情報量の多寡とは無関係であることがよく分かる。読み取るべき教訓が極めて多い作品である。歴史に埋もれてきた興味深いエピソードを、現代的テーマに沿って読みやすく仕上げた傑作エンターテイメントとして、多くの方にオススメしたい。
2019年から21年にかけて文芸誌に連載された長編小説。ブラジル移民の間で繰り広げられた「勝ち負け抗争」をテーマにした現代史サスペンスである。
1934年、親族とともにブラジルに移民した12歳の比嘉勇は移住した殖民地で同い年の南雲トキオと出会い、意気投合し、無二の友として切磋琢磨しながら青年期を迎える。だが、日本の戦争の影響がブラジルまで及んできて、二人は別々の道を歩むことを余儀なくされた。さらに、ブラジルの日本人社会では日本が戦争に勝ったのか負けたのかを巡る「勝ち負け抗争」が起き、二人は決定的に対立することになった…。
今の時点で振り返れば考えるだに馬鹿馬鹿しい「日本は勝った」という風説が優勢だったという状況は、いかにして生まれたのか。日本の勝利を信じるしか自尊心を保つ道がなかった移民たちの悲しみがじわじわと伝わってくる。いつの時代でも「人は自分が信じたいものだけを見る」という愚かしさは、現在のネット言論の異常さを見れば明らかで、情報量の多寡とは無関係であることがよく分かる。読み取るべき教訓が極めて多い作品である。
歴史に埋もれてきた興味深いエピソードを、現代的テーマに沿って読みやすく仕上げた傑作エンターテイメントとして、多くの方にオススメしたい。