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神よ憐れみたまえ



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神よ憐れみたまえ

神よ憐れみたまえの評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

「終章」が無ければ、もう1ポイントなんだけど

2021年発表の書き下ろし長編。構想10年という力が入った作品だが、ミステリーであり、性愛小説であり、女の一生であり、すべてに今一つ物足りないもどかしさを感じる作品である。
裕福な両親の愛情に包まれ健やかに育っていた百々子が12歳の時、何者かに両親が殺害されるという悲劇が襲ってきた。純粋無垢に生きてきた幸せな日々が突然失われたものの百々子は、信頼する家政婦・たづの家族やただ一人身近に感じる叔父の佐千夫らに支えられ、美しく聡明で芯の強い女性に育ち、恋を楽しむようになっていた。だが、そんな日々の裏側には常に殺人事件の影がまとわりついており、さらに犯人のどす黒い想念が百々子の周りから消えることはなかった……。
事件の犯人が信頼する叔父だったことは物語の早い段階から明かされていて、謎解き・犯人捜しの面白さはない。さらに犯人捜しに執念を燃やす老刑事が登場するのだが、犯人対刑事の知恵比べというサスペンスも中途半端。途中までは百々子に対する佐千夫の妄執が主題になっているのだが、最後にはあいまいな決着がつけられ、背筋を凍らせるような情念の強さは感じられない。なので、波乱万丈な女の一生を描いたものということになるのだが、これも「終章」の独白できれいにまとめられて終わってしまいやや物足りない。ミステリーとしては薄味だが、構想の面白さ、文章力のすばらしさから十分に読みごたえがあるエンターテイメント作品といえる。
小池真理子ファンにオススメする。

iisan
927253Y1

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