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【ジェフリー・ディーヴァー】
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シャロウ・グレイブズの評価:
7.00/10点 レビュー 1件。 C ランク
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平均点7.00pt
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映画産業大国アメリカならではの作品
映画の舞台となる町を探す、いわゆるロケハンを生業にしているロケーションスカウトのジョン・ペラムシリーズ第一弾が本書。解説によれば本書は1995年に『死を誘うロケ地』で訳出されていた旧版をディーヴァーが新たに手を加え改稿した作品らしい。ちなみに旧版は本国アメリカはもとより日本でも全く話題にならなかった。その前のもう一つのシリーズキャラクター、ルーンもまた映画業界を扱った作品だった。初期のディーヴァーはなぜか映画に纏わる話が多いが、それは自身の作品をいつかハリウッド映画に、といった願望から生じていたのだろうか。しかしどこか流れ者気質のルーンとは違い、ジョン・ペラムは過去に新進気鋭の映画監督として名を馳せた過去、そして冒頭に会話で語られているだけで真偽は判らないが、スタントマンもこなしていたロケーションスカウトと、映画産業に若くから関ってきた生粋の映画人である。そのためルーンシリーズよりも物語に映画産業の色合いが濃く表れている。そしてこの設定が物語を動かすのに実に有効に働いているのがディーヴァーの上手いところだ。ジョン・ペラムが新作映画のために撮影にあったロケーションを探しにニューヨークの田舎町を訪れる。刺激のない町に住む人たちは華やかな映画産業から関係者が来たことを噂で知り、ある者はペラムに取り入ってどうにか銀幕デビューを果たそうとし、またある者は彼と関ってこの田舎町を出るきっかけを摑もうとする。そして中には彼の来訪を面白く思わない輩もいる。恐らく田舎町が映画の舞台となるとはこんな騒動が起きるのだろう。そしてそれが一見平穏に見えた町の暗部を表出させることになる。ペラムを招かねざる客として、町ぐるみで彼を排除しようとする。町長はじめ保安官や有力者が彼に対して慇懃ながらも明らかに歓迎していない態度を示し、何かを隠している節を見せる。この四面楚歌の中、ペラムは相棒を殺され、麻薬所持の疑いをかけられ、また暴力で迫害を受け、あらぬ罪まで着せられそうになる。セオリーに則った物語展開だが、実にそつがない。そしてディーヴァーといえばどんでん返しが代名詞だが、本書でも最後の最後で思いもよらぬ真相が待ち構えている。確かに布石はあるものの唐突すぎ、またパンチも弱く、どんでん返しというほどの驚きはなかった。もっとなるほど!と手を打つような内容であれば点数はもっとよかっただろう。読者を最後まで飽きさせないサービス精神は窺えるが、巷間の口に上るほどの印象もないといった感じだ。というわけで作品の出来は佳作というのが妥当だろう。ペラムの造形は普通の人よりも経験が豊富で危機を察知し、臨機応変に対処するが、いわゆる万能なタフガイではなく、格闘すれば負けることもあるという、昨今の現実味ある主人公である。ただ彼には映画産業界に従事しているという特徴があり、またそれがこのシリーズの強みだろう。残る2作でいかに有効に活用して物語に溶け込ませているか、見ていこう。 ▼以下、ネタバレ感想
映画の舞台となる町を探す、いわゆるロケハンを生業にしているロケーションスカウトのジョン・ペラムシリーズ第一弾が本書。
解説によれば本書は1995年に『死を誘うロケ地』で訳出されていた旧版をディーヴァーが新たに手を加え改稿した作品らしい。ちなみに旧版は本国アメリカはもとより日本でも全く話題にならなかった。
その前のもう一つのシリーズキャラクター、ルーンもまた映画業界を扱った作品だった。初期のディーヴァーはなぜか映画に纏わる話が多いが、それは自身の作品をいつかハリウッド映画に、といった願望から生じていたのだろうか。
しかしどこか流れ者気質のルーンとは違い、ジョン・ペラムは過去に新進気鋭の映画監督として名を馳せた過去、そして冒頭に会話で語られているだけで真偽は判らないが、スタントマンもこなしていたロケーションスカウトと、映画産業に若くから関ってきた生粋の映画人である。そのためルーンシリーズよりも物語に映画産業の色合いが濃く表れている。そしてこの設定が物語を動かすのに実に有効に働いているのがディーヴァーの上手いところだ。
ジョン・ペラムが新作映画のために撮影にあったロケーションを探しにニューヨークの田舎町を訪れる。刺激のない町に住む人たちは華やかな映画産業から関係者が来たことを噂で知り、ある者はペラムに取り入ってどうにか銀幕デビューを果たそうとし、またある者は彼と関ってこの田舎町を出るきっかけを摑もうとする。そして中には彼の来訪を面白く思わない輩もいる。
恐らく田舎町が映画の舞台となるとはこんな騒動が起きるのだろう。そしてそれが一見平穏に見えた町の暗部を表出させることになる。
ペラムを招かねざる客として、町ぐるみで彼を排除しようとする。町長はじめ保安官や有力者が彼に対して慇懃ながらも明らかに歓迎していない態度を示し、何かを隠している節を見せる。この四面楚歌の中、ペラムは相棒を殺され、麻薬所持の疑いをかけられ、また暴力で迫害を受け、あらぬ罪まで着せられそうになる。
セオリーに則った物語展開だが、実にそつがない。
そしてディーヴァーといえばどんでん返しが代名詞だが、本書でも最後の最後で思いもよらぬ真相が待ち構えている。確かに布石はあるものの唐突すぎ、またパンチも弱く、どんでん返しというほどの驚きはなかった。
もっとなるほど!と手を打つような内容であれば点数はもっとよかっただろう。読者を最後まで飽きさせないサービス精神は窺えるが、巷間の口に上るほどの印象もないといった感じだ。
というわけで作品の出来は佳作というのが妥当だろう。
ペラムの造形は普通の人よりも経験が豊富で危機を察知し、臨機応変に対処するが、いわゆる万能なタフガイではなく、格闘すれば負けることもあるという、昨今の現実味ある主人公である。ただ彼には映画産業界に従事しているという特徴があり、またそれがこのシリーズの強みだろう。
残る2作でいかに有効に活用して物語に溶け込ませているか、見ていこう。
▼以下、ネタバレ感想