ブラディ・リバー・ブルース



※タグの編集はログイン後行えます

※以下のグループに登録されています。


【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

7.00pt (10max) / 1件

7.00pt (10max) / 1件

Amazon平均点

2.43pt ( 5max) / 7件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
0pt
サイト内ランク []C
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

5.00pt

44.50pt

20.00pt

10.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)2002年12月
分類

長編小説

閲覧回数3,441回
お気に入りにされた回数0
読書済みに登録された回数2

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

ブラディ・リバー・ブルース (ハヤカワ・ミステリ文庫)

2002年12月31日 ブラディ・リバー・ブルース (ハヤカワ・ミステリ文庫)

急に開いた車のドアにぶつかり、ペラムは持っていたビールを落としてしまった。壜は壊れ、ビールは排水溝に。だがペラムの不幸はそれで終わりではなかった。ビールを台無しにした男たちが、その直後に組織犯罪告発の重要証人を射殺したのだ。ペラムは目撃者として、警察やFBIばかりか、殺し屋にも追われることになる。じつは何も目撃していないのに…映画ロケーション・スカウト、ジョン・ペラムを襲う最大の危機。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

ブラディ・リバー・ブルースの総合評価:5.13/10点レビュー 8件。Cランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

まだまだ序の口

まだ2作目だが、映画のロケーションスカウトであるジョン・ペラムのシリーズはその職業の特異性から常に見知らぬ町を舞台にし、そこで彼が”A Stranger In The Town”という存在になり、町中の人間から注目を集め、忌み嫌われて四面楚歌になる状況下で物語が繰り広げられるといった内容になっているのが特徴だ。
特に彼が町中の人間から注目を集めるのに、映画産業という華やかな世界に身を置いていることが実によく効いている。この設定は実に上手いと思う。

そして常に彼の敵になるのがその町の権威者。前作では保安官であり、町長が彼を眼の敵にしていたが、本書では警察官が撃たれるという事件からさらに警察官からの理不尽な圧力が増しており、また検察官にFBI捜査官とペラムを付け回す勢力はさらに拡充されている。そして本来正義の側に立つべき彼らが自身の狙っているホシを捕らえるためにはありもしなかった証人と証言をでっち上げ、それをたまたまその場に立ち会った人間に強要するため、しつこくネチネチと陰険な嫌がらせを繰り返すさまが描かれる。

しかしペラムが巻き込まれる展開は違えど、物語構成としては基本的に『シャロウ・グレイブズ』と同じである。上に書いた四面楚歌状態に、数少ないペラムの協力者がその町の女性―しかも美人!―であるところも一緒だ。
ワンパターン、マンネリは基本的に嫌いではないが、ディーヴァーが、という思いが強く、過剰な期待をしてしまう。池上冬樹氏が前作の解説で書いていたが、やはりディーヴァーも普通の作家だったのかと認識を新たにした次第。

しかしこの作品には後のディーヴァーの技巧の冴えの片鱗が確かにある。特に後半の読者の先入観を見事に利用した人物の描き方による仕掛けは実に素晴らしい。実にさりげなく誘導される筆致には後の傑作群への期待を高まらせてくれた。

そして時折挟まれる映画撮影のエピソードも知的好奇心をくすぐる。映画でよくあるアクションシーンが今では許可が下りにくくなっているとは知らなかった。
例えば本書では川に車が転落するシーンについて語られるが、撮影が行われている町では車が落ちることでオイル漏れやガソリン漏れで汚染と景観が損なわれることを嫌う。そのためそれらの撮影は無許可でゲリラ的に行われるらしい。しかし公開されたら解るだろうし、それこそ訴訟沙汰になると思うのだが。
ハリウッド映画が世界でロケするときによくその国の重要人物を困らせる事態まで招くが、なるほどこういうことだったのかと得心した。これではますますCGが多くなるはずだ。

さらに映画で使う銃火器についても実弾を使わなくてもあらかじめ許可申請と登録がなされており、それがなければ撮影許可、使用許可が下りないなんて話も興味深い。
しかしそれにしてもアメリカは映画撮影に対して日本よりも寛容だと思うが。

またペラムの仕事ぶりを読んでいて、はたっと気づいたことがあった。
よく地方の都市を舞台にしたドラマがあるが、これが地元民の目から見ると実に辻褄の合わない距離感を覚えることがある。例えば走って逃げていた犯人が次の場面ではいきなり車で30分くらいかかる所まで走って逃げているといった具合だ。しかし製作側としては自分の頭に描いたシーンで物語を繋げるだけなのだから、2つのシーンの距離感などは考慮なぞしないのだ。彼らとしては全体として出来上がる映像だけに興味があるのだ。その監督の頭にあるシーンを探すのが彼らロケーションスカウトの仕事なのだ。

さて今回の事件も単純な構図ながら、ところどころにミスリードが含まれている。最後まで読んで冒頭に書かれたジャン=リュック・ゴダールの「映画に欠かせないのは銃と女だ」のエピグラフを読むとこの一文に潜む色んな意味合いに思わずニヤリとしてしまう。

最後のシーンを読んだ時、私には次の一文が頭を過ぎった。

“警官にさよならをいう方法はいまだに発見されていない”

レイモンド・チャンドラーのある有名な作品の最後の一行だ。チャンドラーが込めたこの一文の意味とディーヴァーの描いたラストシーンのそれは全く違うものだが、ディーヴァーはこの一文を美しい風景へと昇華させてくれたように感じた。

しかしこの時点ではまだ佳作の段階。光る物を感じるが、もう一歩と云ったところ。将来化ける可能性を感じはするが、まさか今ほど大家になろうとは思えない作品だ。
しかし1作ごとに完成度が増しているディーヴァー初期の作品群。作者自身が転機となったと云っている『眠れぬイヴのために』の前に果たして良作はあるのか。次が愉しみだ。


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.7:
(2pt)

ディーヴァー マニア向け?

ロケハンを生業とするジョン・ペラム シリーズ第二弾。

暗殺事件との偶然の接点から、FBI特別捜査官、連邦捜査官らから犯人隠匿を疑われるペラム。強引に暗殺犯を指すよう強要する警察当局に加え、暗殺犯からも命を狙われる羽目になる。犯人を目視できていないペラムへの理不尽かつ執拗なプレッシャーに、読み進めながら怒りが込み上げる。

本作のペラムはどちからか言えば防戦一方。暗殺犯に撃たれ半身不随となった警官との友情物語(?)や、お約束のラブアフェアが続き少々退屈。友人が誤って暗殺犯に殺害されたことから物語が大きく動くか!、と思いきや、期待通りとはならず…。

暗殺犯とその黒幕は早々に分かっているので、サプライズが殆どない。暗殺犯と対峙するクライマックスとその顛末は、おっ!となるもののこれまでペラムが受けた嫌がらせを跳ね返すようなカタルシスが味わえない。

ディーヴァー作品の中では、珍しく凡庸である。全作品を読破したいマニア向けでしょ?
ブラディ・リバー・ブルース (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ブラディ・リバー・ブルース (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150795592
No.6:
(3pt)

主人公の一方的な危機的立場に違和感はあるが

軽いミステリータッチ。作者、相変わらず本線とは離れたところに焦点を向けさせるのがうまい。他作品では学習障害の児童であったり、ペラムシリーズの前作では映画業界の裏、この作品では脊髄に障害を負った人の病症に深く突っこんでいる。おそらく、これがライム誕生に繋がったのだろうが──。伏線というより、そちらにほうに「なるほど」と感心してしまう。もちろん、それらうまいからライムシリーズも長く続いているのだろう。この作品は、どんでん返しを楽しむというより、途中から、それらの「知識」を堪能するつもりで読んでしまいました。というか、この作品にディーヴァー流の「どんでん返し」といえるものはなく、「そうだったのか」とある女性の正体が明かされるくらいか。
 p301最後行〈ピーター・クリミングスは顔をしかめたが〉は〈ロナルド・ピーターソン〉の間違いでしょう。p319〈百五十ドル、調達できるか?〉は〈百五十万ドル〉でしょう。わざと〈百五十ドル〉と言っているなら、そこを描写しないと、読んでいるほうは〈?〉となってしまう。
ブラディ・リバー・ブルース (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ブラディ・リバー・ブルース (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150795592
No.5:
(3pt)

現代の西部劇的アクション・ヒーロー・ストーリー

ジェフリー・ディーヴァーの<ジョン・ぺラム>シリーズ3部作の第2作。’93年の作品である。

今回はミズーリ州の寂れた町マドックスが物語の舞台に選ばれている。ミズーリ川の流れるこのあたりはタイトルにあるようにブルース・ミュージックが盛んな土地でもある。
本書は、全編に渡ってそんなブルージーな雰囲気を漂わせながらも、前作『シャロウ・グレイブズ』よりも複雑なストーリー展開で、サスペンス度もアクション度もアップしている。

そもそもペラムが目撃もしていない殺人事件の目撃者とされてしまうという、典型的な“巻き込まれ”型の物語である。彼は地元警察の刑事や、連邦検察官、FBIの特別捜査官の取調べと称する追及や、殺し屋からも狙われ、何者か正体のわからない男からも脅迫される羽目になる。それらは渾然一体となって入り乱れ、いったい誰が敵なのか見方なのか分からない。

加えて、殺し屋を雇った黒幕の動機は最後まで分からないし、偶然に知り合った美女にせよ、その真の正体はまったく不明なのだ。

ストーリーは、事件の際、銃弾を受けて半身不随となった巡査とペラムとのさりげない友情のドラマや、映画撮影のスタントマンや監督との関わりを織り交ぜながら、やがて劇的に進展していく。

本書は、“息もつかせぬ疾走感” あふれる 近年のディーヴァー作品に比べると、やや落ち着いた仕上がりである。それでもツイストやひねりや驚きもあり、派手な銃撃場面や過激な殺人シーンも描かれていて、伝統的なミステリーのなかに西部劇的アクション・ヒーローの要素を加えた快作である。

ブラディ・リバー・ブルース (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ブラディ・リバー・ブルース (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150795592
No.4:
(3pt)

現代の西部劇的アクション・ヒーロー・ストーリー

ジェフリー・ディーヴァーの<ジョン・ぺラム>シリーズ3部作の第2作。’93年の作品である。

今回はミズーリ州の寂れた町マドックスが物語の舞台に選ばれている。ミズーリ川の流れるこのあたりはタイトルにあるようにブルース・ミュージックが盛んな土地でもある。

本書は、全編に渡ってそんなブルージーな雰囲気を漂わせながらも、前作『シャロウ・グレイブズ』よりも複雑なストーリー展開で、サスペンス度もアクション度もアップしている。

そもそもペラムが目撃もしていない殺人事件の目撃者とされてしまうという、典型的な“巻き込まれ”型の物語である。彼は地元警察の刑事や、連邦検察官、FBIの特別捜査官の取調べと称する追及や、殺し屋からも狙われ、何者か正体のわからない男からも脅迫される羽目になる。それらは渾然一体となって入り乱れ、いったい誰が敵なのか見方なのか分からない。

加えて、殺し屋を雇った黒幕の動機は最後まで分からないし、偶然に知り合った美女にせよ、その真の正体はまったく不明なのだ。

ストーリーは、事件の際、銃弾を受けて半身不随となった巡査とペラムとのさりげない友情のドラマや、映画撮影のスタントマンや監督との関わりを織り交ぜながら、やがて劇的に進展していく。

本書は、“息もつかせぬ疾走感” あふれる 近年のディーヴァー作品に比べると、やや落ち着いた仕上がりである。それでもツイストやひねりや驚きもあり、派手な銃撃場面や過激な殺人シーンも描かれていて、伝統的なミステリーのなかに西部劇的アクション・ヒーローの要素を加えた快作である。
ブラディ・リバー・ブルース (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ブラディ・リバー・ブルース (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150795592
No.3:
(4pt)

ディーヴァーはこのへんがいい

ロケーションスカウト(映画のロケ現場を探す人)ジョン・ペラムシリーズの第二弾。「青い虚空」のような反則スレスレのツイストを連発するのがディーヴァー節ではあるけれど,ジョン・ペラムシリーズは旧作ということもあり,抑制のきいた作品になっている。ペラムはある犯罪現場に居合わせてしまう。が肝心なことは目撃していない(ここ重要)。このため-FBIはペラムが犯人を目撃した上で金で黙らされていると思い
-犯人は見られたと思い
-"FBIが犯人だと思っている人物"はペラムを監視する必要があると思い三者三様の思惑でペラムに干渉してくる。皮肉なことにペラムは何も目撃していないのに,警察やらFBIやら犯罪者から追われる立場になってしまうのである。このシチュエーションが非常にうまく,その中でペラムがあがき回るのが物語の中心となる。ラストに向かってはややストーリーがまとまらないところも見られるが,あまりのどんでん返しの連続にリアリティのなさを感じてしまったら,このジョン・ペラムシリーズを読むといいでしょう。
ブラディ・リバー・ブルース (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ブラディ・リバー・ブルース (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150795592



その他、Amazon書評・レビューが 7件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク