バックストリート

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No.1
(6pt)

メインテーマを霞ませるこだわり

ノンシリーズながら、逢坂剛ならではのフラメンコと独西現代史の蘊蓄がたっぷり詰まったハードボイルド・ミステリー。こんな蘊蓄は必要ないという反応も多いだろうが、そこが逢坂剛なのだというしかない。
個人で調査事務所を経営する岡坂は、フラメンコの店で知り合ったダンサー・神成真里亜と食事をした後、だれかに尾行されているのに気づいた。尾行者の正体を暴こうとした岡坂だったが、さらに、別の尾行者として公安刑事が現れ、岡坂にコンタクトを取ってきた。二組の尾行者たちの狙いは何か・・・。
メインテーマは、不妊症の金持ちを相手にした卵子提供斡旋ビジネスで卵子を求める側が特定の提供者にこだわってことから生じる混乱なのだが、その背景になるフラメンコの世界、ドイツ浪漫派とナチズムの関係の説明が詳細で、途中からはどれが主題だか分からなくなってくる。
人が殺される訳ではなく、ピストルをぶっ放すような派手な暴力がある訳ではない日本のハードボイルドの枠組みの中で、私立探偵が主役を張り、魅力的な女性が周辺を彩るハードボイルドとしてきちんと成立させているのは、さすがベテラン。フラメンコと現代史の蘊蓄に我慢が出来るなら読んで損は無い作品だ。

iisan
927253Y1