家禄九千五百万の筆頭旗本・横田真行は、江戸城を警護する御鉄砲百人組の頭だ。

船宿「川澄」の船頭である霧太郎は、南町同心の浦部から手札を受けて、小網町界隈を縄張りとする岡っ引きでもあった。

日本橋小網町河岸にある船宿「川澄」は、吉原に繰り出す客だけでなく、商談や休憩客で賑わい大繁盛。

大店の若旦那から一転、裏長屋住まいの棒手振りになった磯貝雀太郎。今は縁あって北町奉行所定町廻り同心の見習いである。

鮮やかな緋色の襦袢に“じれった結び”の髪、唇には濡れたような紅…派手な身形で男から銭を巻き上げる無法な娘の集団に「首斬り浅」こと山田浅右衛門吉利は目を瞠った。

斬首刑を受ける者が腰を下ろす場所、土壇場。

能勢伝七郎は、江戸城内で奥と表御祐筆を務めた家禄二百五十石の小旗本。

能勢伝七郎は家禄二百五十石の小旗本。

槍と料理が得意な新見文蔵は播磨林田藩の下級藩士で、お殿様の供として一月前に出府してきた。

家禄三百五十石の旗本家の次男だった角次郎は米屋の大黒屋に婿入りした。

御留守居役を勤める五千石の旗本・坂東の側室綾乃は、坂東に酷い仕打ちを受けていたが、雪の降るある夜、意を決して家を飛び出した。

安房館山藩一万石の二代目藩主・稲葉正武は四十四歳で隠居したが、後を継いだ三代目藩主は二十九歳で急逝してしまう。

棚橋家の次男・市之丞は、母の使いで面会した寺社奉行・阿部正精に、ある寺の復興に手を貸すよう頼まれた。

参拝者が絶えていた大恩寺の復興に一役買った寺侍の棚橋市之丞。

金貸しは、どうも性に合わない―。

春嵐の夜に神田で起こった火事は多数の死傷者を出したが二年後に町は復興した。

「金の切れ目が縁の切れ目」とばかり、武家の若妻・登世は理不尽にも離縁されてしまった。

旗本五千石轟家の家督を弟に譲り、二十三歳で隠居した三四郎。

江戸城を警護する御鉄砲百人組の頭で、家禄九千五百石の筆頭旗本・横田真行。

元南町奉行所の同心で、今は屋台の蕎麦売りの菊薗平次郎は、同心時代に捕らえ死罪になった男の遺児・長太郎の逆恨みに遭い、妻と娘を殺害された。

〜江戸を揺るがす死病は狐の祟り? / 混乱の八百八町で暗躍する極悪人を浅右衛門が裁く!〜 安政五年(一八五八)、開国と同時に異国渡りの病“コロリ”が江戸に蔓延する。