戦争の傷跡を残す大阪で、河の畔に住む少年と廓船に暮らす姉弟との短い交友を描く。

「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件ゆえ愛し合いながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。

人は精がのうなると、死にとうなるもんじゃけ―祖母が、そして次に前夫が何故か突然、生への執着を捨てて闇の国へと去っていった悲しい記憶を胸奥に秘めたゆみ子。

母と若い愛人、娘とドイツ人の青年。ドナウの流れに沿って旅するふた組の恋たち。

亡き父の借財を抱えた大学生、井領哲之。

城田家にハンガリーからの留学生がやってきた。総勢十三人と犬一匹。

敗戦から2年目、裸一貫になった松坂熊吾は、大阪の闇市で松坂商会の再起をはかるが、折も折、妻の房江に、諦めていた子宝が授かった。

燎平は、新設大学の一期生として、テニス部の創立に参加する。

離婚して娘と暮らす遠間憲太郎は、陶器店を経営する篠原貴志子に少年のような恋をした。

両親を亡くした大学生の邦彦は、生活の糧を求めて道頓堀の喫茶店に住み込んだ。

喫茶店に掛けてあった絵を盗み出す予備校生たち、アルバイトで西瓜を売る高校生、蝶の標本をコレクションする散髪屋―。

春の午後、ひとりの主婦が惨殺された。難航する犯人捜査があらわにする人々の心の奥底にひそむ哀しみと、悦び。

装蹄師の平野敬は北海道の浦河で養老牧場を営んでいる。

工業デザイナーを目ざす私、昆虫に魅入られた写真家のロバ、不安神経症を乗り越え、医者を志す愛子、美容師として活躍する曜子。

継承される血と野望。

実業家・堂林の所有馬が次々と故障。競馬記者の小林が疑惑を追う中、堂林の馬ジェメロがデビューを迎える。

1975年、偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。17歳。

地方競馬の騎手、一色純也。中堅だが成績は三流だ。

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。

競馬はロマンだ! 競馬を愛してやまない著者が贈る夢の物語。 亡き兄が遺した競馬バーを営む倉本葵。

田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。

「前田さんは運がいいですな。

北海道浦河町で生産牧場を営む三上収、三上徹の親子。

すべては三沢の地からはじまった――。

あなたと生きる、その痛みごと。

天文年間、小土豪が群雄割拠する中国地方で没落した宇喜多家の嫡男・八郎は、その器量を見込まれ、豪商・阿部善定のもとで父母とともに居候していた。

妻・夏枝が逢い引きをしている隙に3歳の娘を殺害された辻口は、夏枝への復讐のために、密かに当の殺人犯の娘・陽子を養女にする……。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。

北海道は羊蹄山の東、支笏湖に連なる山間で競走馬を生産する風死狩牧場。起業に失敗した祐介はそこで働き始める。

箱根駅伝を走りたい―そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。

コロナ禍で甲子園が中止になった夏。 夢を奪われた選手と指導者はどう行動したのか。

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。

東京ディズニーランドでアルバイトすることになった21歳の若者。友情、トラブル、恋愛…。

省エネをモットーとする折木奉太郎は“古典部”部員・千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛まつり」へ参加する。

本能寺の変より四年前。織田信長に叛旗を翻し有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起こる難事件に翻弄されていた。

なぜ、人と人は争わねばならないのか? 日本史上最大の危機である元寇に、没落御家人が御家復興のために立つ。

東京・池袋で男の刺殺体が発見された。警視庁池袋署刑事課長の本宮は、捜査の過程で捜査一課長からある密旨を受ける。

その年の競馬学校新入生は、個性派揃い！騎手の息子魁人は、父の威光を鼻にかけない天真爛漫なアニメ好き。

「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。