「私を、異界へ喚んだのは、誰?」海に映る美しい月影をぬけ、ここへ連れてこられた陽子に、妖魔は容赦なく襲いかかり、人もまた、陽子を裏切る。

人は、自分の悲しみのために涙する。

天啓にしたがい王を選び仕える神獣・麒麟。

恭国は、先王が斃れてから27年。王を失くした国の治安は乱れ、災厄は続き、妖魔までが徘徊するほどに荒んでいた。

「希望」を信じて、男は覚悟する。慶国に新王が登極した。

王は夢を叶えてくれるはず。だが。

村人たちはそれぞれに凶器を握り締めた。「屍鬼」を屠る方法は分かっていた。

叔母から受け継いだ町屋に一人暮らす祥子。まったく使わない奥座敷の襖が、何度閉めても開いている(「奥庭より)」。

―この物音は、何か可怪(おか)しい。 何かが畳を擦る音、いるはずのない赤ん坊の泣き声。

帝都・東亰、その誕生から二十九年。夜が人のものであった時代は終わった。

その島は風車と風鈴に溢れ、余所者には誰も本当のことを話さなかった―作家葛木志保が自宅の鍵を預け失踪した。

学校の旧校舎には取り壊そうとすると祟りがあるという怪奇な噂が絶えない。

かつて花街だった古い町の実家に戻ってきた貴樹。書斎として定めた部屋の鏡を何気なくずらしてみると、芸妓のような女が見えた。

ラストまで一気読みの本格ホラー&ミステリー。原点にして最高傑作 その路地にさしかかったとたん、ひどく嫌な気分がした。

建物で起こる怪異を解くため、営繕屋は死者に思いを巡らせる。 これぞ怪談文芸の最高峰! 怖ろしくも美しい。

行者に祟られ、座敷童子に守られているという古い屋敷に、 後継者選びのため親族一同が集められた。

次々とSPRを訪れる女子高生たち。狐狗狸さんによる狐憑き、美術準備室に現れる幽霊、部室でのポルターガイスト現象。

血の匂いがするーー。複雑怪奇な洋館に隠された恐るべき秘密とは。

古い瀟洒な洋館で頻発するポルターガイスト現象。

強大な帝国・東乎瑠にのまれていく故郷を守るため、絶望的な戦いを繰り広げた戦士団“独角”。

絶対権力者・博陸侯の後ろ盾のもとで、 新たに異世界〈山内〉を統べる金烏代となった凪彦。

高校生の志帆は、かつて祖母が母を連れて飛び出したという山内村を訪れる。

殺し屋シリーズ最新作。世界で最も不運な殺し屋、ふたたび!! あの世界で一番不運な殺し屋が、また騒動に巻き込まれる――。

緑陵高校の生徒会長・安原の懇願を受け、麻衣たちは調査に向かった。

文化大革命で父を惨殺され、人類に絶望した科学者・葉文潔（イエ・ウェンジエ）。

山内の朝廷の実権を掌握した若宮。彼に仕える雪哉は、全軍の参謀役となった。

「この山を売ってはならない理由が分かるまで、売ってはいけない」 資産家である養父の奇妙な遺言とともに、ある「山」の権利を相続した安原はじめ。

激化する独ソ戦のさなか、赤軍の女性狙撃兵セラフィマが目にした真の敵とは──デビュー作で本屋大賞受賞のベストセラーを文庫化

殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家。消えた三つの他殺体を追う刑事。

江戸は神田の袋物屋・三島屋は風変わりな百物語で知られている。語り手一人に聞き手も一人。

逆境にもめげず簡単ではない現実に立ち向かい非日常的な出来事に巻き込まれながらもアンハッピーな展開を乗り越え僕たちは逆転する!無上の短編5編(書き下ろし3編)を収録。

「出ていって、悪いことが起こらないうちに」念願のマイホームを手に入れたはずの母親がそうつぶやいたときから、翠の身辺で不可解なことが相次いだ―。

下級女官にもかかわらず突如緑峰から求婚を受けた沙夜。

５２ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。

「春に翔ぶ」瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。二人を支える教師・北原の秘められた過去。

鷹央と小鳥遊。 二人の医師、運命の出会い。

泰山の裾野を切り開いて作られた綜国。十五になる沙夜は亡き母との約束を胸に、夢を叶えるため後宮に入った。

四国の山奥にある小さな村。そこには奇妙な仏像があり、大切に祀られていた。

後宮女学院設立。しかしそれは、新たな火種を生む結果となってしまい……。