自らナポレオンの生まれ変りと信じ切っている男、はたまたナポレオンの遺品を完璧にそろえたいコレクター。

良家の若妻・真樹子は、そろそろ1歳の娘と朝の時間を優雅に過ごしていた。

郁子が頼まれたアルバイトの内容は、別人になりすまして横浜元町へ行きワンピースを一着買い求め、さらに店で小物入れを忘れて帰ることだった…(「奇妙なアルバイト」より)。

もともとの反社会的な要素に加えて、狂気の笑いでもあるのがブラック・ユーモア。

事業に失敗して精神病院に逃げこんだ男が退院してみると、妻はいきいきと働いていた。巨額の借金も返済したという。

こんなにしっかりしたアイディアを原稿用紙五枚ぽっちにしちゃうなんてもったいない。

毎年冬のひと夜外泊をする妻に疑念を抱く夫「女系家族」など、人間の裏の顔を描く11編。

恐怖は人間の最も古くからの感情だと言われている。真っ暗闇の中で野獣に襲われる恐ろしさを想像してみれば、容易に納得がいく。

文筆生活６０年。生み出した小説は900篇超。

「イソップ物語」って、本当はこんな話だったの?「アリとキリギリス」「狼と狐」をはじめ超有名な寓話から無名の寓話まで、安土桃山時代と江戸時代に日本語に翻訳されたイソップ物語をもとに、130余のストーリーを紹介。

懸賞で当たった映画の試写会で私が目にしたのは、自分の行動が盗撮された映像だった。

男に赤道を見に行こうと誘われた人妻「赤道奇談」など。

楽して簡単にお金を手に入れる方法はないものか。子どもを誘拐して身代金。

ふとした気まぐれや思いつきによって、人間を残酷な運命へ突きおとす“悪魔”の存在を、卓抜なアイデアと透明な文体を駆使して描き出すショートショート３６編を収録する。

列車の隣席に坐った女は、奈緒子がマダムをする店のマッチを手にしていた。

人は人生において、3回真剣に待つことがあるという。いつ来るか。

謎を解くためなら、手段を選ばない。コロナの時代に、とんでもないヒーローがあらわれた! 名もなき町。

スケッチ旅行といつわって親友の夫と逢う瀬を重ねる女流画家・安津子。

9マイルは遠すぎる ｱｰﾑﾁｪｱ・ﾃﾞｨﾃｸﾃｨﾌﾞ・ｽﾄｰﾘｰの定番。

コメディ映画だけが救いのマッサージ師・金子堅三は、客として出会った映画監督・海馬五郎に「弟子入り」することに。

わけもなく他人に怖れられる恐怖。

加賀友禅についての資料を集めに金沢を訪れた男が、かつてこの地を一緒に旅し、翻弄された女性に思いを馳せる(「鳥瞰図」)。

絶世の美女ヘレネと王子パリスが駆け落ちした。ヘレネを略奪した者は、求婚した者全員から報復を受ける。

碁打ち鳥飼馬鹿の中とは、妙法寺の住職には当たらない言葉であろう。

前へ七歩進んで、後ろに五歩さがる。くるりとターンして、カニ歩きで右に三歩。

昔から大ざっぱな性格の定雄は、人の名前を覚えるのが苦手だった。

国道沿いにあるコーヒー店。店の名前は絵里花。

青春の追憶と内なる魂の旅を描く表題作ほか6篇。著者初の短篇集。

白い犬の神秘、金色の月にひそむ秘密、赤い酒がもつ魔力、青いハイヒールが暗示する運命、緑色の目が映し出す青春の苦しみ…。

親友のS君が、とびきりの美女を射止めた。余りのねたましさに私は、これはよくないことの前兆ではないか、とすら考えた。

あなたは気付いたことは、ありませんか?気味の悪い偶然の重なり、形をとらない悪意の棘、得体のしれない不安感…。

女房の親父を納棺するときに見た足のかたちは私の死んだ弟のものとそっくりだった。

男がいて女がいて惚れてハレて一緒になる……のならおしあわせ。ところが世の中ままならない。

心から愛せる女性に初めて巡り合い、幸運にもその直後に妻が姿を消した。

「おばちゃまの目はどうして、そんなに怖く光っているの?」「それはお前を殺すためだよ」…不意に暗転するメルヘンの世界。