(短編集)
仮面の女
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阿刀田高さんは私がまだ中学生だった頃、ワニブックスから発売されていた“ワニの豆本“の『三分間怪談』を読んで以来、ファンというのか結構本を買って読んでいます。 もうすでに絶版のこの本を購入したのは『その遺産を探せ』が読みたかったからに他なりません。 あらすじを知り、是非とも読んでみたいと思いました。 本がきょう到着し、早速『その遺産を探せ』を読みました。 読んだ感想は…、他の方のレビューにもあるように、かなりブラック要素満載の印象的な作品です。 まだ他の収録作品を読んでいないのですが、おそらく『その遺産を探せ』がこの短編集の収録作品の白眉なのではないかと思います。 主人公の女性、千津子は母親を早くに亡くし、一代で財を成した貸ビル王の父親と、家政婦とで暮らしていた。 千津子は幼い頃に病気をしたせいで足に障がいがあり、しかも顔立ちは端正な美人だったが不注意で顔の半分から首筋まで熱湯を浴びて火傷を負ってしまい顔の半分には醜い痣が残っていた。 父親はハンディキャップを持つ千津子を溺愛し、常日頃から 「男にはろくなのがいないから結婚なんかするな」 と言い聞かせていた。 しかし、その父親も病気を患い他界する。 財産があるので生活には困らなかったが、父親が他界してさびしさもあったのか、千津子は以前何度かピアノの調律に出入りしていたイケメン男からアプローチを受け、父親の意思に背いて結婚してしまう。 男は千津子を愛しているように見えたが、やはり千津子の財産目当てで、眉子という馴染みの女もいた(他の方のレビューにもあるように、確かに男好きする魅力のある女性に描かれています)。 男は、千津子を殺して財産を奪い、眉子と暮らすことを考えていた。 千津子が服用している高血圧の薬を低血圧用の薬とすり替えてみたり、眉子の入れ知恵で千津子が使っている手芸道具の箱に蛇を仕込んでショック死させようとしたりもしている。 男は結婚してからはピアノ調律の仕事を辞め、起業準備と称して隠し財産探しで父親の遺品を漁っていたが、父親の遺品の中に春画と、未使用のラテックスのコンドームの箱が入った包みを見つける。 男は眉子との情事で一緒に春画を眺め、コンドームを箱から出した時コンドームの中にメモを発見する。 メモには オメデトウ、やっぱり結婚したんだね。いい相手なら万々歳だ。困った時には○○ビルの荷物用エレベーターの鍵穴を回して抜け、鍵は… という謎めいた文章が。 男は、これが父親が千津子に遺した隠し財産のありかだと思い、千津子には内緒で、眉子と共にビルへ行くのだが… ゾッとするような結末ではありますが、逆にお父さんグッジョブ!って気もしないではありません。 ラスト、男がモノローグで、千津子は生ゴムアレルギーだったのでコンドームは使えないことをなぜ父親が知っていたのか、と父親と千津子が父娘以上の関係だったかもと邪推してましたが、ゴムは別にコンドームだけでなく風船とか輪ゴムとかもあるし、ゴムアレルギーだと食物アレルギーを持っていることも多いので食物アレルギーで病院に行けばラテックス検査もするだろうし という意見も聞いたため、父娘以上の関係はなかったように私は考えるのですが…。 それとも、阿刀田さんはやはりそれを暗示していたのでしょうか…? そう考えるほうが阿刀田さんの小説っぽいですけど、私個人的には、父親と千津子は通常の父親と娘以上の関係ではなかったと考えますね(確かに父親の溺愛ぶりは半端ないかもですが)。 それにしてもこの短編集が絶版なのが惜しまれます。 Kindle版でもあるようですが、是非とも新装版として再版してほしいです。 | ||||
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中学2年のころから阿刀田氏の作品を読んで「ナポレオン狂」とか「来訪者」でショックを受けましたが、中3か高1の時に読んだ「その遺産を探せ」は阿刀田氏の作品にかぎらず今まで読んだすべての文章の中で一番ショッキングです。 とっても蠱惑的な眉子さんに当時15~6歳だった私は恋をしました。今も大好きです。その眉子さんに、人類史上もっとも酷い仕打ちが襲い掛かったあの結末はあまりに可哀想で、私の人生最大のトラウマです。美しい眉子さんをあのおぞましい場所から連れ出して助けてあげたい。(もしドラえもんに会えればタイム風呂敷でもとの状態に戻してあげられるとか、世界最高の医師団が駆け付けたら助かるかもとか、今も夢想します) たしかに眉子さんは金目当ての殺人未遂犯です。でもとても妖艶で魅力的な女性です。そんな眉子さんには絶対に苦しんでほしくありません。あの男よりも金持ちで優しい男と付き合って、長生きをして、一生幸せに過ごしてほしいです。 なので「眉子さんというとても魅力的な女性に出会えた点では好きな本」ですが「その魅力的な眉子さんに人類史上もっとも残酷な仕打ちをしたという点では一番憎い本」ということで、いまだに一番愛憎なかばする本です。 | ||||
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強烈な作風が特徴的な著者の短篇集です。 著者の作品は基本的に色気が強めです。 さほどきついわけではありませんが 読む際には若干の注意が必要です。 面白い作品がそろっていますが ブラック、と言うか地獄要素満載なのは 火遊びが過ぎた男女に襲い掛かる悲劇が 印象に残る「その遺産を捜せ」でしょう。 醜い妻を殺そうとした男とその愛人に 襲い掛かるのは「逃れられない死」なのです。 だけれどもある事実が出てくると 別の意味で背筋が寒くなるはずです。 なぜかと言うと…? 他にもと書く背筋が寒くなる作品が目白押しです。 ホラーの要素も存分にあります。 男と女を扱うだけで こんなにもなるものですね… ある程度ユーモアを解せない人には お勧めはしません。 | ||||
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