怪物を捕らえる者は

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長編
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あらすじ

2026年02月27日 怪物を捕らえる者は (創元推理文庫)

聖母マリアの祠の裏、雪の下から16歳の少女の死体が発見された。遺体や服から移民の青年のDNAが見つかるが、刑事オリヴァーとピアが事情聴取をする前に彼は消えてしまう。捜査が難航するなか、田舎道で男が車にはねられて死亡する。男は裸足で、体には動物の咬傷や拷問の痕があった。彼はどこから逃げてきたのか――。ふたつの事件の捜査から導き出される、ドイツ警察を揺るがす最大の危機。大人気警察小説シリーズ最新作!(「BOOK」データベースより)

評判

怪物を捕らえる者はの評価:

9.00/10点 レビュー 1件。 A ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点9.00pt

怪物を捕らえる者はの総合評価:

9.29/10点 レビュー 7件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

全1件 1〜1 1/1ページ
No.1
(9pt)

今回も期待以上の熱い作品だった。

大人気警察小説「オリヴァー&ピア」シリーズ第11作。少女誘拐殺害と犬を使ったリンチ殺人の二つの事件の裏に潜む組織犯罪を解き明かす、フーダニット、ワイダニットの傑作ミステリーである。
クリスマスを控えた日、16歳のラリッサが行方不明になり、翌朝、雪に埋もれた遺体で発見された。DNA検査で浮かび上がったのが前科があり、移民申請中のアフガニスタン人の青年・マハムーディで、ラリッサが行方不明になる直前に一緒にいるところを目撃されていた。警察は重要参考人として事情聴取しようとしたのだが、マハムーディが姿を消してしまった。しかも、容疑者が移民申請中の前科持ちであるとの情報が漏れ、事件は政治問題化し、世間に反移民・ヘイトの嵐が巻き起こった。数日後、森から飛び出した男性が車に撥ねられて死亡する事故がり奇妙なことに被害者は真冬に裸足で、首には大型動物に噛まれた跡があった…。
少女誘拐、リンチ殺人だけでも立派な物語になりそうだが、二つの事件の捜査が重なり、絡み合ったところから物語は極めて複雑に展開し、政治と社会を揺るがしただけでなく、結束が固いオリヴァーのチームや警察にも深刻なダメージを与えることになる。いつも通り、捜査のプロセスに説得力があるので長いストーリーも読み進めやすい。やたらと多い登場人物もキャラの書き分けがしっかりしているので混乱することが少ない。最後の真相解明がちょっと「何、これ?」ではあるものの、まあ納得できる。
さらにシリーズならではのいつものメンバーのやり取り、それぞれの家庭の事情などに大きな変化があり、これまたシリーズ読者を喜ばせる。
本作も期待以上の素晴らしいミステリーであり、警察小説、現代社会ミステリーのファンならどなたにもオススメしたい。

iisan
927253Y1

Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.6
(5pt)

(2026-27冊目) 現代ドイツの姿見としての犯罪小説シリーズ

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 12月7日、16歳の女子高生リッシーの絞殺遺体が発見される。遺留品からアフガニスタン移民の青年ファウルドのDNAが採取される。ファウルドには以前、性的暴行事件の容疑者として逮捕された過去がある。だが、ファウルドは警察が事情聴取する前に行方をくらませてしまう。数日後、田舎道に男が突然飛び出し車にはねられて死亡する。拷問の跡があるその男はなぜ裸足で森から飛び出したのか? 2つの事件の背後に大きな組織の存在が見え隠れし始める……。
--------------
 ドイツのホーフハイム刑事警察署のオリヴァー・フォン・ボーデンシュタイン第一主席警部とピア・キルヒホフ主席警部たちの活躍を描くミステリ・シリーズ第11弾です。ドイツ本国の出版順で並べると、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276075">悪女は自殺しない</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276083">死体は笑みを招く</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276059">深い疵</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276067">白雪姫には死んでもらう</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276091">穢れた風</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276105">悪しき狼</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276113">生者と死者に告ぐ</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276121">森の中に埋めた</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/448827613X">母の日に死んだ</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276148">友情よここで終われ</a>』そして今回の『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276156">怪物を捕らえる者は</a>』です。
 日本で最初に『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276059">深い疵</a>』が邦訳出版されたのは2012年ですから、わたしとこのシリーズとのつきあいも既に14年になります。シリーズものは売り上げが落ちると出版社は平気で打ち切ってしまうものですが、10年以上の長きにわたってずっと翻訳され続けることの素晴らしさとありがたさをわたしは噛み締めています。

 さて、今回も700頁近い大長編作品ですが、物語の面白さもさることながら、いつもどおり酒寄先生の見事としかいいようのない翻訳に助けられて、8日で読むことができました。
 このシリーズの魅力は第一に、現代ドイツのかかえる課題を犯罪小説の形で鋭く問題提起している点にあります。これまでもホロコーストの負の遺産、代替エネルギーの光と影、児童性虐待などをテーマに据え、人間の欲望や暴力が仮借なき形で描かれてきました。
 今回は第一容疑者が移民である点を取り上げて、メルケル政権時代に積極的に受け容れた難民問題が、時代を経るにしたがって国民感情を大きく揺さぶっているさまが記されます。
 と同時に、民主的司法制度が決して万全で理想的とはいい難い形で運用されていることに、国民の間で大きないらだちが生まれている問題にも作者ノイハウスは斬り込んでいきます。
 一筋縄ではいかない複雑な社会制度を描くための入口として凶悪犯罪を紡いでいく。そこにノイハウスの覚悟みたいなものが感じられます。

 この重厚な社会派ミステリーの第二の魅力は、犯罪捜査員たちが第三者的立場で物語を歩み続けることができない点にあります。優れた探偵が超人的な推理力で犯罪を解決し、犯罪以前の日常生活へと帰っていく――そんな安穏とした物語はこのシリーズにはありません。『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276121">森の中に埋めた</a>』ではオリヴァーの幼馴染たちに疑惑の目が向けられ、事件解決後にはオリヴァーの美しき少年時代は薄汚れてしまいました。帰るべき日常が崩壊してしまう苦さがありました。
 今回も、事件解決のためにホームハイム刑事警察署は大きな痛みを味わわなくてはなりません。やはりここでも、主人公たちには事件前の世界に帰ることができない哀しみが残るのです。
「もう決して以前には戻れない。屈託無く生きることなどもうできない。人を信用し、なんでも信じた時代は永遠に終わったのだ」ある登場人物が吐露する言葉が胸を突きます。

 第三の魅力は、ドイツの習俗・習慣が描かれる点です。12月の事件なだけにクリスマスにまつわるさまざまなドイツ・スイーツが登場します。逐一ネットでその姿形を確認しながら読むのが愉しみでした。また、ドイツ国内に思いの外、日本文化が浸透している様子が綴られています。若者たちの間でコスプレコンベンションへの参加が盛んで、ドイツ選手権の最終審査は毎年フランクフルト・ブックフェアでおこなれていて、『攻殻機動隊』の草薙素子のコスプレを着る話だとか、東京のアニメジャパンに参加することを夢見る話が出てきます。またピアは、寿司パックを米粒ひとつ残さず食べています。日本のシイタケがドイツ国内で、第二次世界大戦中のBunkerを活用して地下栽培されているとは初めて知りました。

 本国ドイツではシリーズ第12弾『Alles wird Asche(すべてが灰となる)』が今年(2026年)8月に出来(しゅったい)予定です。再来年(2028年)には酒寄先生の訳で読めることを期待しています。

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怪物を捕らえる者は (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 怪物を捕らえる者は (創元推理文庫)より
4488276156
No.5
(4pt)

いっきに読める

面白かった
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4488276156
No.4
(4pt)

読み応えあり

登場人物の数に圧倒されましたが
読んでるいるうちに気にならなくなり
一気に読み終わりました
怪物を捕らえる者は (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 怪物を捕らえる者は (創元推理文庫)より
4488276156
No.3
(5pt)

ドイツ刑事司法の危機と移民問題を絡めて

このシリーズはすべて読んでいるが、錯綜する事件の絡みを解きほぐしていく展開と、最後まで犯人がわからずにスリリングに物語を紡いでいく著者の手腕に感心させられる。
シリーズ全体を通じてドイツの刑事手続や司法解剖のディテールが丁寧に描かれているのも興味深い。

本作では、法に従った裁きに満足できない犯罪被害者が犯人に私的報復をする「必殺仕置人」パターンの犯罪が描かれるが、これが組織的継続的に行われ、かつ警察組織内部にも協力者がいるという設定が注目される。捜査チームや警察上層部に裏切り者がいれば、極秘情報を内部のネットワークを通じて入手し、捜査陣の先回りをして被疑者に迫れる。しかも、今回は主人公オリヴァー個人と捜査チームの重大な危機につながる深刻な事態である。
日本でも重大な交通事故や少年事件、さらには責任能力が争われる事件で犯罪被害者の司法への不満が表明されることがあるが、司法制度は社会正義と人権をともに実現する社会インフラであって、被害者の復讐とは次元を異にする。本作の登場人物の中でも復讐心で法を超えて(自らも犯罪者になって)しまう人々だけではなく、法を超える手前で思いとどまる人々も描かれているのが著者のバランス感覚と問題提起であろう。

本書ではドイツや北欧ミステリーの最近の通例として、社会問題となっている移民問題も大きなモチーフとして用いられている。ここでもアフガン難民やモロッコからの移民など多彩な移民が登場し、事件の被疑者あるいは被害者となっている。SNSによる差別偏見の拡散はドイツでも深刻なようだ。
周知のとおり、ドイツではメルケル政権時代に人道的観点からシリア難民への門戸開放政策をとり、それ以前からの移民受け入れと重なって社会問題が大きくなった。2024年現在で移民の背景を持つ人口は2520万人でドイツ人口の30%にのぼるというから、日本とはケタ違いの移民受け入れを行っていることは認識する必要があろう。
怪物を捕らえる者は (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 怪物を捕らえる者は (創元推理文庫)より
4488276156
No.2
(5pt)

今回は読みやすかったように感じた。

オリヴァー&amp;ピアシリーズの11作目となる本作品。オリヴァーも58歳になりました。前作までのオリヴァーは家庭問題で振り回される事が多く、情けない、煮え切らないような点も目立ちましたが、今回はそういう事も無く、「深い疵」とか、「悪女は自殺しない」あたりの頼れるオリヴァーでした。ゾフィアも元気そうで良かった。
 今回はピアさんの家庭問題の問題が出てきました。ヘニング、色々と本当に助けてくれる…。興味ない人には全然興味ないのに。クリストフに話が伝わって嫉妬されない??とか思いました。
 最近読んでて思うのはエンゲル署長が頼りがいがあるというか、理解ある署長だなぁと。前の署長は自分に害が及ばないか?出世が…みたいな署長だったし、エンゲル署長も最初はそんな感じもあったけど、今は全然。
 事件は一つの殺人事件から、色々な他の事件が分かってきて…というこのシリーズではあるあるの展開。今回は移民がテーマです。チームが成熟しているので、連係もいい感じ。相変わらず歩く広辞苑(?)こと、ターリク有能。定時帰宅のベーンケに振り回されたりしてたのも懐かしい。
 それにしても作者は、今回のキーとなるあの人を、初めからこの展開になるよう仕込んでいたのだろうか?恐れ入りました。
怪物を捕らえる者は (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 怪物を捕らえる者は (創元推理文庫)より
4488276156

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