怪物を捕らえる者は
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
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評判
怪物を捕らえる者はの評価:
9.00/10点 レビュー 1件。 A ランク
怪物を捕らえる者はの総合評価:
9.29/10点 レビュー 7件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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12月7日、16歳の女子高生リッシーの絞殺遺体が発見される。遺留品からアフガニスタン移民の青年ファウルドのDNAが採取される。ファウルドには以前、性的暴行事件の容疑者として逮捕された過去がある。だが、ファウルドは警察が事情聴取する前に行方をくらませてしまう。数日後、田舎道に男が突然飛び出し車にはねられて死亡する。拷問の跡があるその男はなぜ裸足で森から飛び出したのか? 2つの事件の背後に大きな組織の存在が見え隠れし始める……。
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ドイツのホーフハイム刑事警察署のオリヴァー・フォン・ボーデンシュタイン第一主席警部とピア・キルヒホフ主席警部たちの活躍を描くミステリ・シリーズ第11弾です。ドイツ本国の出版順で並べると、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276075">悪女は自殺しない</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276083">死体は笑みを招く</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276059">深い疵</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276067">白雪姫には死んでもらう</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276091">穢れた風</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276105">悪しき狼</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276113">生者と死者に告ぐ</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276121">森の中に埋めた</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/448827613X">母の日に死んだ</a>』、『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276148">友情よここで終われ</a>』そして今回の『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276156">怪物を捕らえる者は</a>』です。
日本で最初に『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276059">深い疵</a>』が邦訳出版されたのは2012年ですから、わたしとこのシリーズとのつきあいも既に14年になります。シリーズものは売り上げが落ちると出版社は平気で打ち切ってしまうものですが、10年以上の長きにわたってずっと翻訳され続けることの素晴らしさとありがたさをわたしは噛み締めています。
さて、今回も700頁近い大長編作品ですが、物語の面白さもさることながら、いつもどおり酒寄先生の見事としかいいようのない翻訳に助けられて、8日で読むことができました。
このシリーズの魅力は第一に、現代ドイツのかかえる課題を犯罪小説の形で鋭く問題提起している点にあります。これまでもホロコーストの負の遺産、代替エネルギーの光と影、児童性虐待などをテーマに据え、人間の欲望や暴力が仮借なき形で描かれてきました。
今回は第一容疑者が移民である点を取り上げて、メルケル政権時代に積極的に受け容れた難民問題が、時代を経るにしたがって国民感情を大きく揺さぶっているさまが記されます。
と同時に、民主的司法制度が決して万全で理想的とはいい難い形で運用されていることに、国民の間で大きないらだちが生まれている問題にも作者ノイハウスは斬り込んでいきます。
一筋縄ではいかない複雑な社会制度を描くための入口として凶悪犯罪を紡いでいく。そこにノイハウスの覚悟みたいなものが感じられます。
この重厚な社会派ミステリーの第二の魅力は、犯罪捜査員たちが第三者的立場で物語を歩み続けることができない点にあります。優れた探偵が超人的な推理力で犯罪を解決し、犯罪以前の日常生活へと帰っていく――そんな安穏とした物語はこのシリーズにはありません。『<a data-hook="product-link-linked" href="/dp/4488276121">森の中に埋めた</a>』ではオリヴァーの幼馴染たちに疑惑の目が向けられ、事件解決後にはオリヴァーの美しき少年時代は薄汚れてしまいました。帰るべき日常が崩壊してしまう苦さがありました。
今回も、事件解決のためにホームハイム刑事警察署は大きな痛みを味わわなくてはなりません。やはりここでも、主人公たちには事件前の世界に帰ることができない哀しみが残るのです。
「もう決して以前には戻れない。屈託無く生きることなどもうできない。人を信用し、なんでも信じた時代は永遠に終わったのだ」ある登場人物が吐露する言葉が胸を突きます。
第三の魅力は、ドイツの習俗・習慣が描かれる点です。12月の事件なだけにクリスマスにまつわるさまざまなドイツ・スイーツが登場します。逐一ネットでその姿形を確認しながら読むのが愉しみでした。また、ドイツ国内に思いの外、日本文化が浸透している様子が綴られています。若者たちの間でコスプレコンベンションへの参加が盛んで、ドイツ選手権の最終審査は毎年フランクフルト・ブックフェアでおこなれていて、『攻殻機動隊』の草薙素子のコスプレを着る話だとか、東京のアニメジャパンに参加することを夢見る話が出てきます。またピアは、寿司パックを米粒ひとつ残さず食べています。日本のシイタケがドイツ国内で、第二次世界大戦中のBunkerを活用して地下栽培されているとは初めて知りました。
本国ドイツではシリーズ第12弾『Alles wird Asche(すべてが灰となる)』が今年(2026年)8月に出来(しゅったい)予定です。再来年(2028年)には酒寄先生の訳で読めることを期待しています。
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