真実の眠る川
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| ウィリアム・ケント・クルーガーを読むのは「このやさしき大地」(2022/10月)以来になります。私はそのレビューで”この美しく、やさしき大地。魂のオデッセイ”と書いたと思います。 1958年、5月、デコレーション・デー(現在のメモリアル・デー)。舞台は、ミネソタ州、ジュウェル。運命のアラバスター川。退役軍人らによるパレードの最中、郡保安官のブロディ・ダーンはアラバスター川で死体が見つかったことを知らされます。 嫌われ者の地主、ジミー・クインの遺体がナマズに食い荒らされたまま放置されていました。 ジミーの複雑な家族関係、荒ぶる人間関係。その夜、ジミーは酔っ払って釣りに出掛けていましたが、直接の死因はショットガンの鹿弾によるものでした。誰が犯人なのか?動機は?その詳細をここで明かすわけにはいきません。 保安官のブロディが主人公かと思い読み進めましたが、違っていました。スリラーの体裁を取ってはいますが、<全体小説>と言ってもいい内容ですので、多くの人物たちが登場して、それぞれの人生を垣間見せながら物語が展開されていきます。ブロディはこの<全体小説>の<狂言回し>と言っていい存在だと思います。ストーリーがそれほど進行しないうちに、ブロディは法執行機関側の人間でありながら、或る行動を私たちに見せることによって一筋縄ではいかない「真実の眠る川」を巡るオデッセイの幕開きを知らせてくれます。その大切なときめきが、炎のように心の中に燻り続けます。 アルコール依存、支配と被支配、いくつかの戦争による後遺症、差別と被差別。特に(「このやさしき大地」同様)スー族と白人たちの間に大きな川のように横たわる差別の歴史があって、米国に今でも内在する多くの苦難、病、社会病質が物語を凄まじい勢いで撹乱させていきます。 あまり物語とは関連はありませんが(実は関連しているかもしれない(笑))、27%あたり。 シカゴ博物館にかかるホッパーのあの有名な絵画が話題になります。自分たちはどこにいるのか?「ガン・スモーク」、カントリー局から流れる「夢を見るだけ」、プレスリーによる「Love Me Tender」、そして読んでいる本は「キャッチャー・イン・ザ・ライ」。人は大人になるに従い、"Innocence"とどう向き合っていくのか?私たちは私たち個別の"Initiation"をどう育んできたのか? ネイティヴ・アメリカン、クイン家の元使用人、ノア・ブルーストンとその妻、キョウコの存在がこの物語の大いなる要なのかもしれません。キョウコは、ナガサキで被爆し、米国へと流れてきたわけですが、その佇まいの美しさに私はこの国、日本の持つたおやかさを思ったりもしました。 そして、57%あたり。戦争未亡人であり、<ワゴンホイール>というカフェで働くアンジーは、そのカフェのドアから彼女の人生に入ってきた全員を愛していることに気づきます。「つむじ曲がり、無愛想、頑固者、心やさしき者、臆病者、愚か者、弱き者、素直な者、傷ついた物・・・・」。人の魂は、その居場所に救済されるのですね。 いずれにしろ、この世の真実は、「・・・正義がおこなわれるために必要な嘘なのだ」から(84%あたり)。 いつもより少し書き過ぎているかもしれません。お許しください。それだけ語りたいことが多く残されたフィクションだと言えるでしょう。 また、「このやさしき大地 "This Tender Land"」同様、本作でもジョン・スタインベックへのオマージュを感じることになりました。巻中、弁護士、チャーリーが西海岸でスタインベックに会ったことがあるというエピソードが何故私にこれほどのインパクトを与えるのでしょう。それは、サリーナスで生まれたスタインベックの小説を私もまたこよなく愛しているからに他なりません。 私たちは一人では生きてはいけない。だから、傍にいる人の手をやさしく取って、この闇に向かいましょう。 "Darkness, Take My Hand"(Dennis Lehane)。そして、涙を禁じ得ない獰猛な涙の川を渡ることで私たちは静謐なエピローグを迎えることになります。 ◻︎「真実の眠る川 "THE River We Remember"」(ウィリアム・ケント・クルーガー 早川書房) 2025/12/3。 | ||||
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