蝶の墓標
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読んでいて、いきなり、 今自分の皮膚? 血管の中の血?が粟立ったーー!という瞬間がありました。 ストーリー中にギラリと輝くような印象的なシーンがあり、 筆者の冷徹なようでいて熱さを内包した文章を追いかけるのが、そもそもの楽しみになってきています。 | ||||
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美しい物語だ。残酷で凄惨なシーンも多々あるのだが、繊細で美しい描写がそれを感じさせない。代わりに際立つのが夏野という少女の清廉さと哀しいまでの気高さそして美しさである。 物語は現在〜過去〜現在と語られる。第一章はシングルマザーで塾講師をしながら男の子を育てる里花の視点、続いて里花の異母姉である夏野の視点で過去の真実が語られ、最後に再び里花の物語となって終わる。 研究職を諦め結婚、出産後に無理解な夫と離れ、塾講師をしながら息子を育てる里花。彼女と元夫とのやりとりや感情や息子との生活はまるでドキュメンタリーのようだった。 特に夫への凍てついて行く愛情、夫への違和感。それは「古民家の床下にひっそりと埋められた骸骨」であり「見えなくてもそこに存在している」。「掘り出されてしまえば刹那に全てが崩壊する」ものであるから「日常生活を平穏に営むためには知らないふりをしているべき」という感情。 この感覚を私は知っている。とてもよく。意識の底に押し込めてあるだけだから、何かのきっかけで表に現れる。現れたらそこでお終い。けれどきっかけを作った方はそれをすっかり忘れている。 夏野によって語られる過去の真実。幼く愚かな同級生、馬鹿な教師の造型はとてもリアルで、それだけに夏野の気高さが際立つ。そしてそんな夏野とずっと心が通じ合っていた少年、要の崇高さ。 章の冒頭に挿入される美しい物語がなんであるのかは比較的すぐに分かる。けれども全体像が見えたときに浮かび上がる哀しくも美しい真実に、要の強さと悲しみを改めて感じて胸が詰まる。 夏野の親友(と言っていいのか)瑞葉は、純粋で真っ直ぐでそして哀れなほどに幼く愚かだ。幼い正義感の愚かさ、自分の馬鹿さ加減に最期のときまで気付かなかったことは、彼女にとって幸せなことだったのか。そうであろう、おそらく彼女は幸せのまま逝った。 愚かで幼い、けれど真っ直ぐなそんな瑞葉を夏野は愛した。それは自分にはないものを持つ瑞葉に惹かれたからだったのか。生に向かえるよう差し伸べた手を拒否するほどに自分を愛した純粋さを愛したからだったのか。 遺言に秘められたメッセージの真実に気付いた里花。彼女は本気で実行しようとしていたのか。それほどまでに異母姉である夏野をしたっていたのか。 我が子と同じ歳の子どもの存在で土壇場で復讐を思いとどまった里花は、我が子に救われたと言ってよいのだろうか。思いとどまったからこそ、そばにい続けたかつて慕った人と再会でき、一筋の明るい未来が開かれたのは確かだ。 前作『風よ僕らの前髪を』の最後がもどかしいほどの重苦しさと切なさで覆われていたのに比べ、この『蝶の墓標』は希望を感じさせて終わる。 テミスの天秤はどちらに傾くのべきなのか。 何か正しいのか。 正義とは何か。 私には分からない。 | ||||
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前作もそうでしたが、文字を読んでいるだけなのに情景が浮かび、色や匂いまで感じられそうな気がします。 幼いがゆえの残酷さや、まっすぐさがとても丁寧に表現されています。 次作もとても楽しみです。 そしていつかファンタジーも読んでみたい作家さんです。 | ||||
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前作が気に入ったので今回も購入。 前作よりもミステリー色が強くなってて 最後まで読んで「そーきたか!」ってなって 最初のページに戻ったりしました笑 買って良かった大満足! 次作も楽しみです。 | ||||
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前作から 新作を楽しみに待っておりました。今回も表装が素晴らしく、読み始める前から 期待に胸が膨らみました。 芙蓉はどんな花だったかしら?と調べたら「繊細な美」。でも「変幻」と言う花言葉もあって、ますます期待度がアップします。 香しく匂いたつ言葉と 儚い色彩を感じる美しい文章に魅了されながら 少女たちを守りたくなるような気持ちに包まれました。今作には 見守ってくれる大人が居なかった訳ではなく、悲しいストーリーなのですが、絶望を感じる苦しさはありませんでした。 各章の初めの絵本のようなお話が 何の伏線?と想像力を掻き立て、読み進むにつれて 「なるほど」とホッとさせてくれました。絶望だけでなく希望も感じられたからです。 元気な男の子のこれからの成長を楽しみに続編があったらいいのに、と思わせてくれます。 最後に前作「風よ 僕らの前髪を」と何か繋がりがあるのか?私には初読で掴めなかったので、他の方のレビューを待って 再読したいと思います。 今後もますます期待しております。 | ||||
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