夜がうたた寝してる間に
※タグの編集はログイン後行えます
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
夜がうたた寝してる間にの総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
『夜がうたた寝してる間に』は、異能を持つ3人の生徒たちが普通の学校で体験する、机が教室から放り出されるという事件の謎に迫る物語です。この作品は、異能ミステリという魅力的なコンセプトを掲げながらも、そのポテンシャルが十分に引き出しきれていない部分があると感じられました。 まず、物語における異能の使い方についてです。異能が存在する世界観がしっかりと設定されている一方で、その能力が物語のトリックや展開に十分に結びついていないように感じました。異能がもっと物語の核心に関わり、プロットと密接に絡むことで、さらに強力なドラマを生み出すことができたのではないでしょうか。たとえば、主人公の「時を止める」という異能について、物語終盤で使用される場面には少し必然性が薄く、カタルシスが不足しているように感じました。この能力がもっと感情のピークに合わせて効果的に使用されることで、物語により緊張感や驚きを与えることができたかもしれません。 次に、事件そのものについてですが、ミステリとしての深みにもう少し工夫があれば、より引き込まれる展開になったかもしれません。異能の持ち主たちが社会から偏見の目で見られる描写は物語において重要な要素ですが、事件の真相やその動機にもう少し意外性があれば、物語全体がさらに魅力的になったと思います。読者に「次に何が起こるのか」という期待感を抱かせるためには、もう少しプロットにサスペンスや意外性を加えることが効果的だったかもしれません。 また、異能を持つキャラクターたちの「生きづらさ」が描かれている点は非常に魅力的です。彼らの悩みや苦悩がしっかりと描写されており、そこにリアリティを感じました。ただ、その悩みや苦悩が物語全体にもう少し有機的に反映されていれば、さらに深みが増したのではないかと思います。例えば、主人公が時間を止める能力の代償として他人より早く年を取るという設定は非常に興味深いものでしたが、その設定が物語の展開にどのように影響しているかが少し曖昧な部分がありました。もし過去のエピソードや、能力を使う理由が明確に描かれていたなら、キャラクターの行動に対する読者の共感をより強く引き出すことができたのではないでしょうか。また、テレポート能力を持つ元陸上選手の苦悩についても、もう少し深く描写されていれば、キャラクターに対する感情移入がさらに促されたかもしれません。 SF的な側面についても、異能に対する科学的な説明や世界設定の掘り下げがあれば、物語全体の説得力がさらに増したと感じます。特に、時を止めた際の「空気の重さ」といった描写には興味深い要素がありましたが、それをさらに深く掘り下げることで、物語の中で「この世界のルール」をより読者に理解させることができたのではないかと思います。設定されたルールに基づいて物語が進行することで、物語に一貫性が生まれ、読者もその世界観により没入できるようになります。 また、対話の冗長さについても少し気になりました。キャラクター同士の会話が物語の進行を妨げることなく、むしろ推進力として機能する形で配置されていれば、読者がよりスムーズに物語に入り込むことができたかもしれません。異能や事件の謎解きに重点を置き、対話を効果的に使うことで、物語のテンポを保ちつつ、読者を飽きさせない工夫が必要だったと思います。 総じて、『夜がうたた寝してる間に』は、異能という独自の要素を持ちながらも、それをミステリやキャラクターの掘り下げに十分に生かしきれなかった部分が惜しい作品です。しかし、異能を持つキャラクターたちの生きづらさや、彼らが抱える苦悩には非常に興味深いものがあり、それらをうまく引き出すことで、さらに感動的で奥深い物語にすることができたのではないかと思います。今後、この設定を活かしてさらに深く掘り下げられた作品に出会えることを期待しています。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ネタバレ有り この作者の良さが感じられるいい作品だった。 この作者の魅力は、"日常"の中に埋め込まれた個々人の葛藤を正面から描き切ることにあると思う。 ストーリーはそのままに、群青劇として加筆することさえこの作者ならすらすらとやってのけそうである。 そう思うからこそ、物語が短く感じられた、というのが少し残念な点ではある。 これは、受賞作家の2作目ということのほか、様々な外的な事情によってこの仕上がりになったのだろうが、 特に犯人の心情・内面はもっと描いてほしかった。 その一方で、嫌な奴として描かれる学級主任に対しても、能力者への恐怖が原体験としてあるのでは?と想像させる文章には、どんな人間であっても単なる舞台装置として雑に扱わない誠実さを引き続き感じる。 超能力&ミステリ(犯人探し)要素が物語のコアに活かされてない、という批判については、 超能力で難解なミステリを解決、安易に和解、成長、ではない"日常(リアリティ)"を期待しているので、私は気にならなかった。(これは前作と同じだろう) | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
能力者であるということで学校内で差別を受けて、ある事件の犯人ではないかと根拠もなく疑われてしまう。 その中でも主人公は能力者であることを自覚しつつ周囲の人間と上手く関係を築くために、あっけからんなキャラクターを無理をして演じて、差別の対象であるにもかかわらず一般人と同じように暮らすことに並々ならぬ努力を注いでいる。 普段、本音を殺して空気を読んで周囲に合わせるという気持ちはすごく分かって共感できる。 中盤、一般人と同じようにクラスに馴染んでいる主人公が羨ましいため、同じ能力者の人が主人公に嫉妬を爆発させてしまう場面も、彼に同情してしまってすごく良かった。 この作者は前作といい本当に魅力的なキャラクターを作りますね。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前作「君の顔では泣けない」が秀逸だったので、今作を予約注文し到着後すぐに読み始めました。二日で読み終えました。 残念ながら、取り立てて光るところのない凡作でした。繊細な心情を表現する力は一定水準を超えているのですが、いかんせんすべての要素が中途半端であり、どのようなジャンルの小説なのかいまひとつ説明しにくい内容でした。 ネタバレにならない程度に瑕疵を列挙すると… ① SFにしては特殊能力が何も生かされない 4人だけ超能力者が出てくるのですが、その超能力が発揮される場面は皆無です。主人公含む超能力者が異端視される原因、という意味合い以上のものがありません。 ② ミステリにしては事件(?)も凡庸で伏線もなく犯人も意外性なし 最も犯人だと推測されるであろう人が何のひねりもなく犯人で、しかも事件を起こした意図が事件によって完遂しないという稚拙さです。 ③ 文学にしては地の文と会話文が乖離しているうえ、主人公の成長がない クライマックスがクライマックスたる条件を満たしていません。主人公は終始自分の居場所を探し続けていますが、ラストシーンに至っても何の成長や解決、展望が見込めません。 (最後少しネタバレ) 最後のシーンで時間を止めることで犯人に追いつきましたが、追いついたところで何も次につながる材料がないのです。そもそも犯人自身も小説内に出てくる未成熟な主要キャラ5,6人のうちの一人に過ぎず、それまで大した焦点をあてられてもいなかったため、感情移入できませんでした。 スマッシュヒットを続けることはやはりなかなか困難ですね。残念です。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 4件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|