完璧な家族
- 監禁 (96)
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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ボストン市警の敏腕女性刑事「D.D.ウォレン」シリーズの第10作。第9作「棺の女」に登場したフローラとのダブル・ヒロインが複雑な一家殺人事件の謎を解く社会派ミステリーである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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無駄に長い。内容はうすっぺらい。 | ||||
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カリン・スローターも最初のうちは面白いと思って何作か読んだが、段々飽きてきた、この作家も同じ。女性が書いたミステリーは受け狙いが露骨。 | ||||
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ボストン郊外に暮らすバエズ一家を凶行が襲う。ホアニータとチャーリーの夫婦をはじめ、ホアニータの連れ子で13歳のローラ、その弟で9歳のマニーの4人が射殺された。しかし長女で16歳のロクシーと2匹の飼い犬の姿がない。果たして犯人はロクシーなのか。ボストン市警の刑事部長D・D・ウォレンたちはロクシーの行方を追う。 一方、凶悪な拉致監禁事件の生還者であるフローラ・デインはサラという女性を訪れていた。サラもまた生還者であるが、その彼女からロクシーを見かけたことがあると聞き、独自に捜索を始める……。 --------------------------- アメリカ本国では大ベストセラーとなっているD・D・ウォレン刑事シリーズの第10弾です。日本では第1作の『 あなただけに真実を 』と第8作『 無痛の子 』、第9作『 棺の女 』の3作品が邦訳出版されています。 この『完璧な家族』には前作『棺の女』に出てきた曲者、フローラ・デインが再登場です。ですので、『あなただけに真実を』と『無痛の子』はよいとして、『棺の女』だけは読んでからこの書に進んだほうが、より楽しめるはずです。 今回は里親制度や児童ポルノ、ラテン系のギャング団など、昨今の社会問題を取り上げつつ、二転三転する事件の真相をウォレンとフローラの二人が追う姿が交互に描かれます。ウォレンの捜査は三人称で、フローラの追跡は彼女の一人称で描かれます。 事件の複雑怪奇さもさることながら、物語全体を通して作者リサ・ガードナーが訴えるのは、家族の意味です。ロクシーたちは母ホアニータのアルコール依存症によって里子に出され、親の愛情を受ける機会を逸した過去があります。その彼女が家族とは何なのかを懸命に内省する作文が要所要所に挟まれ、そこに読者の虚を衝く言葉があります。 「完璧な家族というのは、ひとりでにはできないと思う。完璧な家族はつくりあげるものだ。間違いをおかして、後悔して、修復するもの。努力して手に入れるもの」(89頁) 「家族は目的地じゃなくて旅だということ」(420頁) この後者のことばは、『棺の女』にあった「生還はゴールじゃない、旅なんだ」(同書492頁)に通底するものです。つまりリサ・ガードナーは、何事につけ、たどり着くことそのものよりも、たどり着くための努力の道のりこそが人間にとって尊いものだと、手を替え品を替え訴え続ける作家だといえるでしょう。 D・D・ウォレン刑事シリーズの第11作『Never Tell』はなんと、来月(2022年4月)、小学館文庫から『 噤みの家 』のタイトルで邦訳が出るそうです。しかもフローラ・デインは引き続き、というよりも本格的に、ウォレンのバディとして再登場するのだとか。 今からとても楽しみです。 ---------------------- *326頁:「アレックスが飼ってきた穀物・グルテン不使用で無添加の犬用おやつ」という記述がありますが、「飼ってきた」ではなく「買ってきた」とするべきだと思います。 . | ||||
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「棺の女」(2016/12月)に続く「完璧な家族 "Look For Me"」(リサ・ガードナー 小学館文庫)を読み終えました。 ボストンの秋。十三歳の少女、九歳の少年、その母親と恋人が何者かに銃撃され命を落とします。捜査は、ボストン市警、D.D.ウォレンに託されますが、何故か十六歳の長女ロクシーが目の見えない二匹の犬と共に姿を消しています。彼女が犯人なのか?彼女は何処へいってしまったのか?警察は、即座にアンバー・アラート(緊急事態警報)を発出します。 一方、「棺の女」フローラが登場。彼女は、犯罪被害者を支援する自警団を立ち上げ、ロクシーを見つけるべくこの事件に深く関わり合っていきます。思いやりに満ちた傷ついた「生還者」として。 パズラーとしては、それほど高く評価することができません。いくつかのミス・ディレクションは、読者を翻弄するというより、いささか甘くみているのではと思えるほど巧みなものではありませんでした。<Who-Done-It>は、もうここしかないという結論へと落ち着いていきます。 しかしながら、四人が殺害された家族の持つ壮絶な過去、ネグレクト、機能不全、子供たちが里親に出されるシステムの不確かさを描く作者の真摯な視点は、絶望に打ちひしがれた子供たちへの思いを呼び起こします。家族を再構築しようとした母親・ホアニータ。「生還者」たちの家族を作ろうとするフローラ。すべての道筋が「ギリシャ悲劇」のようにクライマックスへとなだれ込みます。 それほど、「アルコール依存症」からの回復は一筋縄ではいきません。大いなる時間を費やしたとしても、一生を捧げたとしてもその壁を乗り越えることはできません。認めて、信じて、大きな力にその身を委ねたとしても、それはただの「はじまり」にしか過ぎません。その「はじまり」にようやく辿り着き、子供たちの<監護権>を取り戻したはずの母親の幸せが一瞬にして消え失せてしまう厳しい、厳しい物語。依存症者には、その依存症に巻き込まれたすべての家族には、この程度の「希望」しか持ち得ない。それでも私たちは今日、今、この時、この一瞬、ここにいられることに深く感謝して生き続けなければならない。 | ||||
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