ブラックバード
※タグの編集はログイン後行えます
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
ブラックバードの総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
発作的に起こした銃乱射現場から連れ去った少女と中年殺し屋の生活。 評判が良さそうなので読んでみたが、平均以下のデキだった。 まず主人公の殺し屋がタマゴアレルギーという設定が、ストーリーの発端になっているのだけど、これがとってつけたような設定で作為むきだし。その後のストーリーも抽象的で、プロらしくない立ち居振る舞いでがっかり。 文章に凝るあまり全体を見失った感じ。 ラストも結局なんだったのか。 お薦めはできない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2008年に殺し屋に乱射現場から連れ出された8歳の少女と殺し屋の10年に及ぶロードトリップと少女の”成長”の物語。精神の荒野を生き抜き、もはや通常の生活ができない怪物に成長する少女の誘拐者に対する愛情が哀れである。 この小説を読みながら、「人が殺したかった」といい、少女を刺殺した最近の中学生の事件を思い出してしまった。倫理観が育っていない子どもには読んでほしくない本である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
犯罪者と少女の物語。いくつか思い当たるその手の映画がある。『レオン』。『ペーパームーン』。本書は、それらの映画と共通した風を感じさせる。少女の心の荒野。愛情に植えた小鳥のような心象風景。そして破天荒だが愛すべき存在として自分が頼るべきオヤジ、または父親的存在。 この物語での父親役は、職業的殺人者である。否。そもそもがサイコパスの殺人鬼である。8歳の少女と、この男の出会いは乱射現場。卵アレルギーのエディソン・ノース(おそらく偽名)は、マヨネーズを入れたハンバーガーに抗議したレストランで店員の対応に腹を立て、銃を乱射しまくる。なぜか泣いていた少女クリスチャンを連れ去る。二人の物語の幕開け。クリスチャンは<Xチャン>とエディソンに呼ばれる。 およそ10年の道行き。北米大陸を東へ西へと移り行き、異常者を使いまわす暗黒組織らしきものとの駆け引き、闘争、逃走に明け暮れる。元はその組織の一部であったエディソンは、少女Xチャンをも巻き込み、殺伐とした世界の同居人として、育てあげる。二人とも半端ではない危険に晒される。文字通りの満身創痍。 そもそも二人ともに満身創痍でスタートした人生という共通項を持つ。親に迫害され追いつめられた幼少期。男は父を殺し、少女は家に帰る意志は全く示さない。そんな二人のロード・ノベルだ。 国家レベルでの陰謀が、暗殺者たちを掻き集める。異常者たち。冷血。残酷。無慈悲。徒党と裏切り。疑心に満ちた油断のならない日々が物語を占有してやまない。タイトルのブラックバードとはこの正体のつかめない組織のことだろうか。カラスの群れではなくメドウラーク。それとも二人の不安を象徴する何者かであろうか。 男と少女の会話いつも行き違っているかに見える。それでいながら心に届き合うものが幽かに感じられたり、そうでなかったり。困難な話題と行方知れぬ意見交換。哲学的と言ってもいいくらいの会話。時には感性をぶつけ合う。ストレスと警戒心に満ちた日々が続く。 ゲームデザイナーである作者マイケル・フィーゲルは、この作品を1999年に書き始め、2017年に出版させた。18年を費やして少しずつ書き溜めていった壮大なデビュー作である。小説の中で経過する時間は10年。エディソンは徐々に歳を取り、8歳の少女は18歳に成長する。男と女の関係ではなく父と娘のような疑似家族と言える関係。それでいながらお互いが必要な。 状況小説と言おうか。実験小説と言おうか。その状況がドラマティックであり、この状況を仮定とした実験小説とも言える。そこが何よりもぼくの趣味である。形而上的小説のようでもある。哲学的な考察を繰り返している二人のようにも見える。決着点は最後に訪れるが、未だすべては続いてゆくようにも見える。続編が書かれてもおかしくないように見える。現在執筆中のものは他の物語らしい。またも実験小説の気配。 独り立ちしたXチャンにもいつか再会してみたい。そんな愛情を持たせてしまうキャラ中心の物語。ぼくは人間を軸にした物語が好きだ。この作家の文体が好きだ。ポップでいかしていて、リズミカル。それでいて妙に潔い。エディソンが好きだ。Xチャンが好きだ。これだけで十分ではないか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「ブラックバード("Blackbird")」(マイケル・フィーゲル ハーパーBOOKS)を読む。 予備知識なく前半は、スリラーだとばかり思って読んでいましたが、違っていました(笑)。「レオン」+「ニキータ」を期待して、或いは「悪党パーカー」がクレアとの間に生まれた非嫡出子を悪党の子に育成するような(笑)ロード・ノベルだとばかり思っていましたが、カバー写真からの私の勝手な思い込みでした。 D.C.にて、致命的な「卵」アレルギーの中年の殺し屋(笑)が、ある事をきっかけにその時8歳の女子を掻っ攫います。殺し屋、エディソンは、Xチャンと呼ばれる少女を連れて、合衆国を転々としながら老いぼれていきます。物語の舞台は、ワシントン、バッファロー、サンフランシスコ、シアトル、そしてコロンバス、オハイオ。多くの仕事仲間とイリーガルな仕事をしながら、Xチャンを仲間に引き込み、そしてそれなりに滅茶苦茶な事件が起きますが、かと言ってそれほど大したことが起きるわけでもありません(笑)。ただただ二人は逃げまくります。2008年から2018年までの惑いの10年。二人の主人公のモノローグによって交互に語られるストーリーは、いつものようにこれ以上は書けません。 メドウラークは、マキバドリのことだったのか?大いなる力(ハイヤー・パワー)が自分を助けてくれる?人は泳ぐことで泳ぎを覚えるんだ。赤い羽を持つ黒い鳥が正時を知らせる歌を歌った時。 アメリカ合衆国のある時代、ひとりのアノニマスがもうひとりの年若いアノニマスに力を継承しながら、そうすることによって一方は老いさらばえ、より「私らしく」なったアンチ・ヒーローの物語。サイコパスがサイコパスを育成する物語なのかと思えば、<情>など欠片もないこの世界の中で唯一伝えることができる"何か"と居場所を探るための物語だったのかもしれません。そして読者は、(読者の共感を度々拒否してしまうような)抑制された会話と物語展開によって、IDを失いながらも生きていかなければならない現実社会と「自分はいったい何者なのか?」という永遠の問いかけに向き合わされることになります。 「おまえは千ドルが大金だと思ってる、そうだろ?」わたしはうなずいた。(Kindle の位置No.4144-4145). 千ドルが大金だと思えなくなった時、少女は美しい女性に成長します。まるで「レオン」のマチルダが現在のナタリー・ポートマンに成り代わるように。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 4件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|