プリンス・ザレスキーの事件簿
- 安楽椅子探偵 (187)
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その陰鬱な想像力に於いて彼程ポオに近い作家を知らない。『音のする家』や『ゼリューチャ』等を読めば判る様に、彼の筆致はポオよりももっと北方の骨太さに満ち、更に晦渋な形而上学にどっぷり浸かってはいるが、彼の描いてみせる、深い倦怠と頽廃した黙想に沈んだ奇怪な書斎の風景のイメージは正に、ポオの亜流の有象無象達が決して表現し得なかった静かな破滅の予兆を孕んで読者を待ち受けるタイプのものだ。 本書は安楽椅子探偵の代表と評されるザレスキーものと、これと恐らく同系列に置かれるモンクもの他を収めたアンソロジーだが、本格推理風の知的ゲームの一種として読めば、本書はアンフェアで、飛躍が多いと感じられることだろう。ポオの持っていた絶微の論理性は、彼にはどうも及ばぬところの様だし、また安易にペダントリーを振り回し過ぎるところも、ポオに比べるとやや下品だ。 しかし、現代に尚訴える力を持っているのは彼のその様なところではなく、恐らくは彼が持っていた、或いは大戦前の作家のみに許された、世界破滅に関する暗いヴィジョンの大渦なのだろう。訳された中村氏もコメントしているが、彼の文体は不必要なまでに幻惑的で、厳密な論理的一貫性を欠き、吐き気がする程衒学的な情報が氾濫している。しかしそれらを通して彼が描き通したのは、昼尚暗い寂れた部屋の一隅から見た軋みを上げるラグナロクの雰囲気であり、そこで打ち立てられたのは、暗澹たる幻視小説の系譜に燦然と輝く暗黒碑、世紀末の時代の怪奇小説に於ける呪わしい金字塔なのだ。 シールの作品は邦訳では本書以外では纏めて読めない為、実に貴重な一冊である。 | ||||
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その陰鬱な想像力に於いて彼程ポオに近い作家を知らない。『音のする家』や『ゼリューチャ』等を読めば判る様に、彼の筆致はポオよりももっと北方の骨太さに満ち、更に晦渋な形而上学にどっぷり浸かってはいるが、彼の描いてみせる、深い倦怠と頽廃した黙想に沈んだ奇怪な書斎の風景のイメージは正に、ポオの亜流の有象無象達が決して表現し得なかった静かな破滅の予兆を孕んで読者を待ち受けるタイプのものだ。 本書は安楽椅子探偵の代表と評されるザレスキーものと、これと恐らく同系列に置かれるモンクもの他を収めたアンソロジーだが、本格推理風の知的ゲームの一種として読めば、本書はアンフェアで、飛躍が多いと感じられることだろう。ポオの持っていた絶微の論理性は、彼にはどうも及ばぬところの様だし、また安易にペダントリーを振り回し過ぎるところも、ポオに比べるとやや下品だ。 しかし、現代に尚訴える力を持っているのは彼のその様なところではなく、恐らくは彼が持っていた、或いは大戦前の作家のみに許された、世界破滅に関する暗いヴィジョンの大渦なのだろう。訳された中村氏もコメントしているが、彼の文体は不必要なまでに幻惑的で、厳密な論理的一貫性を欠き、吐き気がする程衒学的な情報が氾濫している。しかしそれらを通して彼が描き通したのは、昼尚暗い寂れた部屋の一隅から見た軋みを上げるラグナロクの雰囲気であり、そこで打ち立てられたのは、暗澹たる幻視小説の系譜に燦然と輝く暗黒碑、世紀末の時代の怪奇小説に於ける呪わしい金字塔なのだ。 シールの作品は邦訳では本書以外では纏めて読めない為、実に貴重な一冊である。 | ||||
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オルツィ『隅の老人』と並び、安楽椅子探偵の嚆矢とされているプリンス・ザレスキー。そのプロフィールは、ロシア(と思われる)の貴族、王位を継ぐほどの地位にありながら、(身分違いのか?)不幸な恋の果てに流浪の身となり、イギリスの片田舎にある荒れ果てた修道院の一室で、たった一人の執事に身の回りの世話をさせながら、美術品にかこまれて瞑想の日々を送っている、といった、「いかにも」な一昔も二昔も前の探偵です。彼のもとに、唯一の友人である著者(シール)が風変わりな事件を持ちこみ、話を聞いただけで(出かけていくときもあるけれど)事件を解決してしまうという形で語られる、プリンス・ザレスキーの登場する全4編(他にもあるらしいんですが、著者が書いたものか疑わしいとのこと)!!!と、著者の創造したもう一人の探偵、カミングズ・キング・モンクもの3編、他1編が収録されています。著者の特徴といえるのでしょうが、どの作にも事件にはあまり関係ない(としか読めません、私には)ような文明論やら文化論、宗教論などがはさまれていて、もう読みづらいったらありゃしない!それがとても難解で、どれも30~40ページほどの短いものばかりなのですが、理解しながら読もうとするととても時間がかかります。しまいには読み流してしまいました。お手上げです。唯一、ザレスキー、モンク、どちらのシリーズでもない『推理の一問題』には、そんな大層な小難しいモノが書かれておらず、事件以外のヘンなところに頭を悩ませずに読めるのですが、ミステリとしてフェアかどうかとなると疑問が残!り!!ます。ミステリにおける歴史的価値は認めます(そのため星2つ、ホントだったら1つ)が、あまり人にはおすすめできません。ミステリを系統立てて読みたい、という人ならばどうぞ。 | ||||
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オルツィ『隅の老人』と並び、安楽椅子探偵の嚆矢とされているプリンス・ザレスキー。そのプロフィールは、ロシア(と思われる)の貴族、王位を継ぐほどの地位にありながら、(身分違いのか?)不幸な恋の果てに流浪の身となり、イギリスの片田舎にある荒れ果てた修道院の一室で、たった一人の執事に身の回りの世話をさせながら、美術品にかこまれて瞑想の日々を送っている、といった、「いかにも」な一昔も二昔も前の探偵です。彼のもとに、唯一の友人である著者(シール)が風変わりな事件を持ちこみ、話を聞いただけで(出かけていくときもあるけれど)事件を解決してしまうという形で語られる、プリンス・ザレスキーの登場する全4編(他にもあるらしいんですが、著者が書いたものか疑わしいとのこと)!!!と、著者の創造したもう一人の探偵、カミングズ・キング・モンクもの3編、他1編が収録されています。 著者の特徴といえるのでしょうが、どの作にも事件にはあまり関係ない(としか読めません、私には)ような文明論やら文化論、宗教論などがはさまれていて、もう読みづらいったらありゃしない!それがとても難解で、どれも30~40ページほどの短いものばかりなのですが、理解しながら読もうとするととても時間がかかります。しまいには読み流してしまいました。お手上げです。唯一、ザレスキー、モンク、どちらのシリーズでもない『推理の一問題』には、そんな大層な小難しいモノが書かれておらず、事件以外のヘンなところに頭を悩ませずに読めるのですが、ミステリとしてフェアかどうかとなると疑問が残!り!!ます。 ミステリにおける歴史的価値は認めます(そのため星2つ、ホントだったら1つ)が、あまり人にはおすすめできません。ミステリを系統立てて読みたい、という人ならばどうぞ。 | ||||
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