(短編集)
教室の正義
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ライトな文体と反して中身は重ためな社会派小説が四編収録されています。 戦争を支持した元首相、警察の不正を内部告発した男とその家族の末路、先生と生徒の力関係が逆転した学校、小説に感化されて起こる殺人事件。どれも現実に似たようなことがあった気がして、架空の話というよりは強烈な風刺小説としてのめり込みました。題材が題材なだけに後味は悪くハッピーエンドで終わる話はありませんが、全編考えさせられる内容になっています。 もっとも面白かったのは表題作の「教室の正義」。主人公がとある生徒の不正を暴いたことがきっかけで告発が正義となり、ルールに反した者は教師であれ生徒であれ処罰される。学校が小さなチクリ社会となり生徒の目に怯える教師が現代のモンスターペアレントに怯える教師と少しかぶった。力関係の逆転なんて些細なことで簡単に起こり得るんだな…と苦い気持ちになりました。 現実と密着した深いテーマではあるものの、小説としては短編ごとのクオリティに差があります。面白いものもあればそうではないものもあった。あと個人的にはもう少し濃い目の文体が好きなので差し引き☆2.5。 | ||||
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『三毛猫ホームズの遠眼鏡』『プロメテウスの乙女』に続いて読了。2006年の時点で、これほど今の日本を見通していた著者。5つの短編の冴え渡った筆、鬼気迫るほどです。 生活のために権力や暴力に従うしかないメディアや学校。やりたい放題の特高/公安。あなたの"正義"って、誰かと話したことある?その"正義"のために暴力を使っていいのだろうか?というのは本質的な問題です。 薄っぺらで暴力的な日本伝統の"道徳"とは次元の違う、本物の社会の話。最初の1つが内田百間のようということで読みやめずに、次の短編に読み進んでください。この本はお薦めです。 | ||||
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岩波の月刊誌「図書」の本年5月号に「二十代の墓標」と題してこの本の著者,赤川次郎さんがコラムを寄せています.その中に次の一節があります.改行なしに引きます. 墓からは,忘れかけていた「幽霊」が這い出てくる.文科省が作った「教科書でない教科書」≪心のノート≫である.私は≪心のノート≫を批判する小説「教室の正義」を書いた.「心まで国に支配されてはならない」という思いは変わらない.当時文化庁長官だった河合隼雄氏が≪心のノート≫を使って授業をしたという新聞記事を読んで,河合氏に深く失望したのを憶えている.いじめや体罰の問題が起こると,「道徳を授業でしっかり教えろ」という声が起こる.あべこべである.「道徳」が教えられるものだという考えこそが,いじめや体罰を生むのだ. 私は赤川次郎さんの意見に賛成です.道徳は幼児のころは父母やら家族から習い始め,幼稚園・学校に上がれば先生やら周囲から,要するに社会から自然と学んでいきます.道徳が薄れた社会では子供が道徳を学ぶチャンスは少なくなってきて当然です.国費で≪心のノート≫を出版し,学童に配布すれば児らに徳義心が生まれるなど思うのは余りにも短絡していて情けない.≪心のノート≫は本書の副題「闇からの声」の活字化です.国力が傾き始めると,国は道徳を説いて国民を束ねようとします.国家主義への誘導ですから,吾らは注意しなければならない. 前置きが長くなりました.私は赤川次郎さんの小説を読んだことがありません.彼のコラム「二十代の墓標」に釣られて「教室の正義」を読みました.彼は作中人物の一人に,<正義>なんて,人の心の複雑さに比べたら,小っちゃいもんだわ.<正義>を守るために人の心を踏みにじるなんて,馬鹿げている,と言わせます.そう言われた主人公は,俺 ---- <道徳委員> なんてもの廃止させてやる,と応じました.道徳を声だかに喋る人間に徳義があるのかどうか,知れたものです.本書は他に短編4編を収録しています.いずれの短編も現体制に縛られたくない赤川次郎 の反骨を示す. | ||||
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社会派小説5編。 終夜運転:広島の爆弾投下の数日前の話と現代とが錯綜する。 紙の砦:内部告発を封殺する報道の体質。 教室の正義:正義は人のためであって,架空の決まり事のためではないという教訓。 大人の時間:国際社会で認められる人は,日本国内ではいじめにあうという未だになくならない話。 免罪符:「天使の代理人」という架空の話と現実の事件との関係を問う。 | ||||
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いやあ、なんて言ったらいいのか、のっけから、赤川さんは本気で怒っていますよ。 この作品集には「終夜運転」「紙の砦」「教室の正義」「大人の時間」「免罪符」の5篇が収録されている。それぞれが一話完結の短篇小説でありながら、〈闇からの声〉と作者が名づけている、広義の社会派的な題材の連作をなしているのが特徴だ。 今のままで本当にだいじょうぶなんだろうか? この国に未来があると言えるのか? 作者は怒りをたぎらせて、閉塞感のただよう日本社会の現状にたいして、そう問いかけているようだ。警鐘のメッセージが、作品の出来の良し悪しをこえて、ひしひしと胸に伝わってくるのを、私は感じました。 ほとんどの赤川作品の文庫本についている解説が、本書にないのはなぜだろう。米国のブッシュ政権にへつらう日本政府、マスメディアの報道の不公正と馴れあい、学校教育の現場の荒廃など、作者がさまざまな時事問題をとりあげて、確信犯的に地雷を踏みまくっているので、もしかすると、解説を引き受けてくれる人が見つからなかったのかもしれない。考え過ぎかしら? ディテールの粗さは気になりますが、テーマの目のつけどころは本質をぴたりと突いていると思う。 | ||||
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