処刑の丘
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.50pt |
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1920年代の物語。当時の歴史がわかります。 | ||||
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これは珍しい、フィンランドの1920年代を舞台にした警察小説である。本国では、ミステリー関係の賞を受賞するなど好評で、シリーズ化されているという。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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殺人事件が起き警察が捜査する、というミステリ小説の形を取っているが、民間防衛隊が大手を振り警察は信用されず、警察官は警察内部の圧力により一向に解決の糸口を見いだせない。 ミステリというよりは、1920年頃のフィンランド、ラハティを舞台とする歴史フィクションと思える。 主人公格のオッツォ・ケッキ巡査は傍観者であり、実際の主人公はラハティに生きる一般市民だ。白軍の収容所から帰ってきてから廃人同様の父親アウグスト、その妻でサウナのマッサージ係をするヒルダ、工場労働者で次第に共産主義思想に傾いていく息子のイスモ、ロシアから逃げ娼婦のような生活をするヴェーラ、父親が殺され言葉を失ったヴィエノ、禁酒法を逆手に粗悪な蒸留酒ピルトゥ(日本で言えばカストリ)を密売する者、ピルトゥにすがる男達、噂をする住民達。彼らの体験、記憶、思い、将来像はそれぞれに異なり、平穏な社会生活を見いだせないでいる。 世界史の教科書などを開けば、フィンランドは1917年にロシアの支配下から独立をし、平和な社会を取り戻したかのように思えるが、実際はその直後、ソビエト政権に賛同する赤軍と、後にドイツ、スウェーデンが支援する白軍が対立する激しい内戦が起こっている。1919年にフィンランド共和国が成立し、内戦は終わるのだが、小説が描く1920年頃はまだ人々の悲しみも怒りも完全に治まってはいない。 こうした状況の中で起こった殺人事件は、悲壮な社会生活の一端にしか過ぎないように見えてしまう。 小説とは関係ないが、フィンランドはその後の第二次世界大戦でもソビエトとドイツに翻弄されることになるのだが、50年代にはオリンピックが開催されたり、マリメッコが世界的に人気になるなど、復興を遂げたのは驚くべきことである。 | ||||
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