アーサーとジョージ
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
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評判
アーサーとジョージの評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 C ランク
アーサーとジョージの総合評価:
8.50/10点 レビュー 4件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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ジョージの描写に、最初から微かに漂う違和感。それが彼の人種的特徴と、身体的特徴と、何より彼の持って生まれた性質に由来するものであることはすぐには明かされず、しかもジョージの話をしているときはジョージの視点から語られるから違和感の正体がなかなか分からない。これがなかなかにしんどい。ジョージ自身が頑強な精神を保ち続けてるからこそ、彼の辿った人生の異質さがよく分かる。
彼に自分と似た境遇・気質を見出す人は、読み進めるのを辛く感じるだろう。文体は淡々としているけれど、差出人の分からない悪意の手紙、何年も続く中傷、家族の疲弊、それから…外の世界にうっすらと膜が張られたような感覚、信仰への不審。私自身にジョージと重なる部分があるから、本当に堪えた。それに更に被せるようにして冤罪事件がやって来る。これは単なるミステリーではなく、本当に実在した人の話だ。彼は無実の罪である日突然捕らえられ、法廷に立たされ、身に覚えのない罪が自分にじわじわと近寄ってくるのを、最初は弁護士としての立場から自信をもって、しかし最後は絶望と諦観とともに眺めていた。「敵」は複数いる。徒党を組んでる訳ではなく、別々の観点から敵になった者たちが、無防備なジョージに一斉に襲いかかる。怖いのは、ひとつひとつの事象は(冤罪を別として)それほど極端なものではないが故に、真綿で首を締めるようにじわじわやられていくのだ。読んでいて苦しくなった。
アーサーの方は最初そんなに感情移入できなくて、歴史的に有名なシャーロックホームズの生みの親として伝記を読むみたいな感じでより客観的に楽しんでいた。コナン・ドイルについて何か知ってる訳ではなかったからそれだけでまあ面白かったんだけど、途中、そうジョージの物語が急展開を迎えたころ、アーサーの私生活にひゅっと心臓を掴まれるような場面があり、そこからアーサーの物語にも人間臭さが増してくる。
そしてやっぱりジョージと比べてしまうんだよなあ。読んでいるとアーサーの天性のある種の傲慢さというか、そういうものが辛くなってくる。横でジョージの物語が進行しているからこそ。同じ人間でもここまで物語は変わってしまうのか…と。二人の人生はあるとき交差するのだけど、その交差の仕方も偶然の産物で、あれがなかったらジョージの汚名は雪がれなかったんかい、と思うと苦しい。でも世の中にはこんな事例が山ほど隠れているんだろう。
アーサーがジョージに初めて出会った瞬間、あの描写がすごくよかった。それまで霞がかっていたジョージの姿が、クリアーに、且つ美しさと力強さを持って私たちの前に現れ始める。アーサーの観察眼によるものだ。ここで本当に、溜めに溜めてきた何かが救われた気がした。