スパイは泳ぎつづける
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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スウェーデンに新たな国際派ミステリー作家が誕生したことを告げる、完成度の高いデビュー作である。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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どうしても北欧ミステリーというと「ミレニアム」「ヴァランダー」「特捜部Q」を並べてしまいます。 本作は国際的なシャープなスパイものでもなく、CIAが黒幕で動くアメリカスタイルのアクション小説に似通っていて残念でしたが、もう少し、北欧の土着性を織り込んだスパイものを期待します。 | ||||
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GW最後の2日間、あいにく天気がくずれてしまい、ふと8年前に読んで非常に面白かった本書のことを思い出して再読しました。 別のレビュアーさんも書かれているとおり典型的な「巻き込まれ形サスペンス (逃亡劇)」。 博士課程の学生マフムード・シャモシュとその元カノ・クララ(欧州議会勤務) が、思いがけず「訳あり情報の入ったパソコン」を手にしたばっかりに、かなり非情な民間組織から猛烈に追われまくるというストーリー展開。 明朝体(つまり通常活字の)章の合間々々に教科書体(?)の章が出てきて、その中で本書の影のキーマンの1980年から2013年現在までの物語が語られる。ちなみに冒頭(8ページ)はこのキーマンの話からはじまっていて、むろんマフムード&クララらの現代のメインストーリーとかかわりがある。 これも別のレビュアーさんが仰っているとおり、300ページを過ぎたところで超意外な展開があり、将棋で言えば未知の局面へ突入します。これをどう評価するかで意見の分かれるところですが、私的には、 「ええっ? そんなバカな! この先一体どうなるの?」と、先を読みすすむモチベーションはむしろ強まりました。 また、本作はスパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの傑作『誰よりも狙われた男』にストーリーの大枠が多少似ていると感じました。『誰よりも・・・・』は映画化されていて、そっちも面白いです。 さて『誰よりも・・・・』では、ドイツのハンブルクにふらりと現れた若者イッサを、イスラム過激派かも知れないと感じつつも、地元ドイツの慈善団体の女性弁護士や銀行経営者、諜報関係の人たちが何とかしてあげようと奮闘する。が、9.11以降の「テロとの戦い」という大義名分のもとに米 (CIA) & 英の諜報部がかなり強引に乗り込んできて・・・・という内容。 いっぽう本書『スパイは泳ぎつづける』では、イスラムテロリストと間違われやすい前歴ながら今はカタギの博士課程学生として現代社会に蔓延する「戦争請負い民間企業」の研究で社会に役立とうと努力しているマフムード青年が、地元スウェーデンの元カノ・クララと共に、米CIAの請負い民間企業(‼)に追われるハメにおちいる・・・・という内容。 繰り返しになりますが、要は300ページ過ぎに待っている超意外な展開をポジティブに受け止めるかネガティブに受け止めるかだと思います。別のレビュアーさんは、おそらくスパイ小説をかなり読み込んだ上級者のかたではないでしょうか。 私のような上級まで達していない普通の読者ならば、残り200ページ(全530ページ)も文句なしにグイグイ引っぱられるはずです。 そんな私でも本書が巨匠ル・カレの『誰よりも狙われた男』ほどの高いレベルには達していない気はします。とは言え北欧作家の処女スパイ小説としては、すでにかなりの水準には達しているのかなと感じました。再読に耐える作品だと思います | ||||
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スウェーデンの大学の博士課程の学生である主人公と、欧州議会に勤めるヒロインが、機密情報が隠されているPCを思わぬ形で手にした事から何者かに命を狙われ始める。 その後ろにちらつくCIAの下請け戦争企業の影。二人は逃げ切り、反撃に転ずる事が出来るのか? 前半は巻き込まれ形サスペンスの定石通りの展開で、それなりに読ませる。 ところが、300ページを過ぎた辺りで予想外の事が起こり、ここを境にそれまでとは違う印象の方向に話が変わっていきます。 意外性はサスペンスに必須の要素ですが、今回の場合、気持ちの良い方のそれではないですね。 このような変化球を使っても話の大筋は大きく変わる訳でもないし、ただ意外性を出すためだけの安易な発想に思えてしまいます。 というのも、キモであるPCの中の機密や敵の組織の正体などは序盤である程度分かっていて、ストーリー自体にはあまり意外性が無いから。 次の点もマイナス要因です。 主人公の、元空挺兵という設定がほとんど生かされていない。 合間に挟まれるCIAの陰謀の歴史。その生きた証ともいえる苦悩を抱えた凄腕スパイの男が、終幕も近いところで満を持して登場するのだけど、大した仕事もせずに呆気なく退場してしまう事には別の意味で驚く。 逆に、鼻持ちならないエリートロビイストが同時期に望んでもいない活躍を見せ出すが、この分をスパイの男の方にまわして欲しかった。 国際謀略ものという読者の大半が男性であろうジャンルの小説なのに、後半はほぼ女性キャラ(全員超優秀)しか活躍しなくなってしまうのも消化不良。 スウェーデンやドイツではベストセラーになっているようですが、全体的に意外性の使い方を間違えているという印象の作品でした。 | ||||
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