キリンヤガ
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絶賛一途の傑作という評価が多いし、この作品の上手さ、設定、展開、技術、どれも素晴らしいので傑作という評価に対して、技術的に異を唱えるつもりはないのだが、この作品を礼賛すると、どうしても私には反知性主義に加担することになると思えるので、好きになれず、また良い評価をすることができない作品だった。 正しく言えば、これほどSFを読んで反感を掻き立てられた作品もなかった。 なんというか、現実の世界で、経典に記載のない技術に基づく医療を拒否するとか、それと同一の意識構造、宗教にしろ思想にしろ、望むと望まないとにかかわらず、その時に生きている現実の時間・空間の状況を無視して、現実の状況を勘案しながらどのように信条と調和させていくのかという葛藤を避け、動物園のような、ひきこもりのような、現実との干渉を避けた隔離を自ら選んだだけの現実逃避(それも自分ひとりなら全く問題ないが、部族単位を強制しての自主的なアパルトヘイトのようなもの)としか思えなかった。 しかもそうした宇宙空間に自ら好んで人類から自らを隔離した別天地でも発生した独自の知能を抑圧し、その少女は自殺。 たんなる原始社会の持続の強制で、明治時代の日本人がこの社会を見たら、江戸時代に自主的に進歩を拒絶した鎖国のアナロジーを見るのではないか。 著者は、原理主義的な宗教を揶揄するつもりでこれを書いたのかもしれないが、あるいは日本人である私は鎖国時代の強烈なアンチテーゼとして読んだが、それならば著者の意図は十分に(あるいは著者の意図と反対に)達成され、この作品は「技術的には素晴らしいのだけれども、読後感はアンチテーゼの傑作の域を超えて著者への反感が醸成された」レベルの達成度で、以後二度と著者の本は読んでいない。 所詮作り事、絵空事のことで、こうしたマイナスの評価が、歌舞伎の悪役に対して、観客の武士が切りかかっていったという「どれだけ巧みに現実を模倣したか」を褒め称える神話があるし、そうした意味での著者の技術は素晴らしいのだが、…それでもなにかが異なっているし間違っている、という違和感があった。 それは1990年代の日本の仮想戦記に対して思った反感と違和感と似ており「その現実の根幹に触れると、戦後の体制で信条の自由があるから派生した文化状況そのものの基盤を覆すものなのではないか」という、その時は気づかなかったが、それに似た反近代の、それも間違いなく敗北と現実拒否にもとづく想像力の産物に対する反感であったと気づいたのはだいぶ後の事でしたが…。 | ||||
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人造のユートピアを主人公の祈祷師コリバが何とか維持、守ろうと奮闘するのが主筋。 このコリバ、現実世界に例えるなら インテリジェントデザイン論をゴリ押しする宗教右派 伝統に固執する教条主義者 論戦に勝つために詭弁を弄するを厭わないマキャヴェリスト といったすさまじいキャラクターだ。 どれも私が(現実では)大嫌いな属性である、にも関わらず私はこのキャラを好きになってしまった。 これぞこの小説の肝であり魅力だ。 彼とサブキャラクターが織り成す一つ一つの短編それ自体もシンプルに面白い。 既に高い評価を得ているが、もっとレビューが付いてよい作品。 SF要素は単なる舞台装置としてにとどまる作品なのでそこは注意。 | ||||
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欧米先進国的な生活に嫌気がさした欧米の教育を受けたインテリが協力者と共に伝統的な暮らしを復活させようとして奮闘するが、伝統的な暮らしが崩壊し、再び欧米先進国的な生活が蔓延して挫折するまでの話。 | ||||
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ある種の思考実験的な作品です。 舞台背景はSFですが所謂SFではありません。 各エピソードはそれぞれに個別のテーマがあり、どれも面白いです。 最終的には「当然のように」老人(未開文明)は西洋文明に敗れることになります。 無知蒙昧故に成り立っていた未開社会が「彼らの意思で」崩壊していく様こそ この作品のグランドテーマであり、ハイライトです。 それだけに主人公?である老人が西洋文明にどっぷり漬かって博士号を取得するほどのインテリであるにも かかわらず何故未開文明の維持に頑なに固執するのか? この背景を描いてないのが非常に残念。 彼を突き動かす原動力、衝動の因がわからないと彼の頑迷さがなおさら謎でモヤモヤします。 この辺が描かれていればパーフェクトと言える出来だったと考え、★4つとしました。 西洋文明に漬かりながら未開社会にこだわる老人と、未開社会故に先進文明に無心に飛びつく部族。 一見すると好対照にも見えますが実はそうではない。 部族人は片方しか知らないため比較対象がありませんが 老人はどちらにも精通しているため比較検討した上?で未開社会をあえて選んでいるワケです。 彼の価値観の大元がわかればもう少しこの壮大なテーマを楽しめたと思います。 | ||||
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未来の事を描きながらも、歴史について、今自分達が生きている世界について、十二分に考えさせられる本でした。 産業革命がヨーロッパで起こり、文明という怪物が世界中に植民地をつくる中で、支配する者と支配される者が生まれる。支配される者は支配する者を憎みつつも、彼らの享受する富や利便性や華やかさに魅了される。そして自分達の夢や希望が、自分達を支配する人達と同じ生活を営むことになった時、民族は自分達のアイデンティティを失い、この物語の主人公が言うところの偽物のヨーロッパ人に堕落してしまう。 何だか日本の歴史を見ているようでもあります(笑) 主人公は絶滅に瀕したアフリカの種族、キクユ族の一員であり、ヨーロッパの教育を受けた知識人です。彼は仲間達とともに地球を離れ、キリンヤガと名づけられた小惑星において、民族の伝統と宗教に守られたユートピアを築こうと奮闘するのですが。。。 ここから先は実際に読んでいただければと思います。 この小説の素晴らしいところは、一つ一つの章が独立した短編となっていて読み進めやすいこと。でも、各々のエピソードが関連し合っていて、全体として一つの物語を構成していることです。 『ユートピアはディストピア』としたのは、僕なりの解釈であり、それは読み返す毎に変わる印象かもしれません。 このレビューを読んで興味を持った方は是非手に取って頂けたらと。。。きっと各人が各人の考えを深めるきっかけになるんじゃないかと思います。 こういう小説を読んで仲間達と語り合えたら、本当にいい酒が飲めるのになあ。 夢かな。 | ||||
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