アルタッドに捧ぐ
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この作品は青春小説として全体の爽やかさは勿論、細部にある描写が輝かしく見えました。 例えば、会話。 モイパラシアが照れくさそうに言った。 「僕は死んでしまったね」 「どうして死んだりしたの?」 「列車だよ」 「どうしてまた列車なんかに」 「寝転んで星を見ていたからだよ」 「でも、どうして」 「それは分からないよ」 「星はどうだった?」 「奇麗だった」 「それは良かった」 「ところでアルタッドのこと」 「大丈夫、預かるよ」 「頼んだからね」 「約束する」 なんてことのない会話文の一つ一つ、描写の一つ一つ、選ばれた文字の一つ一つが世界全体を積み重ねていきます。ただ、結び方に関しては作品で提示した思想との決着が美味くつけていない印象をうけました。そこは堂々としていてほしかった。 | ||||
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著者と同じ1990年生まれということもあり、関心を持って読ませてもらった。 推薦文や煽り文句にもある通り、保坂和志に似た雰囲気の文体だ。 文章を綴ることへの気負いはないものの、要所要所の力の入った描写、言葉選びのセンスなどは目を見張るものがある。また人の意識や感覚が現実の描写を出入りし、侵食し、また流れるように戻ってくる――主人公・本間が執筆中の登場人物が思惑から外れ、不意に死んでしまったこと。その原稿より行き場を失った想像上のトカゲ、アルタッドが出現し、世話をするようになる――そんな筋書きからも、想像力と病理の隙間を縫うような独特の世界を垣間見ることが出来ることだろう。 静謐さと穏やかなモラトリアムを描いた「トカゲ萌え小説」と言ってもいい本作だが、欠点があるとすれば「物語がない」ことだろう。 物語の中絶に伴う思わぬ副産物(=アルタッド)を愛で、それを通じて「書くこと」――ひいてはその奥に潜む思想、思念、価値観など――について考え、回答を出す……言い換えると、物語はすべて「書くこと」、その根源に対し集約されているのだ。だが、主題に対する結論は本人の意識のみで終わってしまっている。そのアンサーは本間の創ろうとする小説でもって行われてこそ、人を……ひいては物語を描くことの本懐だと思うのだが、どうだろうか。まあ、読み手の需要の問題かもしれないが……。 終わり際のデッサンの描写は静かながらも熱量と美しさに溢れた指折りのシーンだ。全体のテーマこそ青臭い哲学をむき出しのまま扱ってしまっているが、処女作であればかえってその不器用さも好印象かもしれない。いろいろと難癖をつけてしまったけれど、より内省的な方向になるか、はたま幻想的な色彩を深めていくかはさておき、次作に期待したい。頑張れ! | ||||
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