奇術師
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
評判
奇術師の評価:
6.00/10点 レビュー 2件。 C ランク
奇術師の総合評価:
8.00/10点 レビュー 20件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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それは精神的な共感で、”誰か”が彼のことを心配しており、またその”誰か”が不安な状態にあったりするとアンドルーにもそれと判るのだ。
生き別れた双子が居るのではないかとも思ったが、記憶にも、記録にも、彼の片割れの存在を示すものは無い。
ジャーナリストとなったアンドルーは、取材のために趣いた北イングランドの館で、彼をその取材に招いた女性ケイトから思いがけない話を聞かされることになる。
養子として育てられたために自身でさえ知らないアンドルーの家系をケイトが知っていたのだ。
ケイトは、お互いの曽祖父は共に奇術師であり、ライバル関係にあったと言い、更に父親に伴われたアンドルーが幼い頃に一度この館を訪れてもいると語る。
そしてその時、事故によってアンドルーが死ぬのを確かに見たと言うのだ。
アンドルーは自身に関する謎の答えを求めて、何故かケイトが所持している彼の曽祖父、大奇術師アルフレッド・ボーデンの回顧録を読み始めるのだが・・・
アルフレッドの回顧録とケイトの曽祖父にあたるルパート・エンジャの日記がページの大半を占めるのだが、互いの記述の中に羨望や尊敬と、その裏返しである憎悪などの感情を垣間見せる。
二人の祖先が共に得意にしていたのが「瞬間移動」のイリュージョンで、そのタネ明かしを求めるのが話の軸となっているのだが、二人のタネはそれぞれ異なっていて、ルパートのほうは当時の科学者ニコラ・テスラに製作を依頼した電気仕掛けという設定である。
A.C.クラークの「進みすぎた科学は魔法と区別がつかない」と言う言葉を思い出したが、本書はSFともファンタジーとも、更にはミステリーとも言える不思議な作風。
タネ明かしや謎解きという要素は確かに面白いのだが、それ以上に二人の奇術師としての矜持などが細やかに描かれたり、実在の人物であるテスラを登場させることによってリアルさを醸しだしているのが一気に読み通させる原動力となったように思う。
1996年の世界幻想文学賞受賞作の本書は、特にファンタジー好きでなくとも愉しめる良い小説だと感じた。